まちの仕事人インタビュー
建築業界をアップデートする
IEDIA 代表取締役 前野 大悟 (まえの たいご) さん インタビュー

神奈川県出身。慶應義塾大学法学部を卒業後、外資系のコンサルティングファームへ入社。コロナ禍で、自身の生き方と働き方を見つめなおし、2021年『IEDIA』を起業。

戦略立案から実行まで

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

一言で言うと、良い意味での“親の影響”ですね。両親が海外好きであったことから幼少期から家族で海外に行く機会は多く、自分もいつか仕事で海外のプロジェクトに参加したいと考えるようになり、外資系の経営コンサルティングファームへ入社しました。しかし、2020年の緊急事態宣言により状況は一変。海外に行くこともできなくなり、2度目の緊急事態宣言を受けて「この状況は、いったいいつまで続くのか・・・」とキャリアの再検討を余儀なくされました。身動きが取りづらい中で、海外の情報を集めていたとき、ふと日本と欧米の住まいに対する考え方の違いに気づいたのです。日本では、『築年数の浅さ』『駅からの距離』『設備』など、家の“スペック”を中心に捉え、資産価値を気にしながら住まいを選んでいます。一方、欧米では、『楽しみ』『安らぎ』『充実』など、“数値化できない感覚”を重視して住まいを選んでいる。奇しくもコロナによってテレワークが進み、家にいる時間が長くなった日本人にとって、“住まい”についての捉え方をアップデートするタイミングが来たのでは?と考えるようになり、その一翼を事業として自分が担いたいと考えました。そこでかつてより親交のあった10歳年上の連続起業家の人に、共同創業者として協力してもらい、彼から事業を起こすノウハウと、誰もが一度はぶつかる数々の壁について教えてもらいながらのスタート。父は大学で研究者をしていますが、楽しそうに仕事に没頭する背中をずっと見てきたので、自分も「父のように自由に仕事をしてみたい」という想いもありましたね。現在は、私が代表者として『IEDIA』を運営しています。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

事業の軸は『建築業界のコンサルティング』です。お気づきかもしれませんが、起業した際に考えていた、“一般の人の住まいへの考えをアップデートする”ことに関する事業構想は、事業初年度に上手くいかず、軌道修正を余儀なくされました。どんなビジネスにも世に出るタイミングがあります。Amazonは世界で初めてECサイトを作った会社ではなく、Facebookも世界初のSNSではありません。つまり、サービスのスタートにはタイミングが重要だと考えたのです。そこで、まずは自分と仲間の得意領域のかけ合わせで事業を続けようと考えました。私は経営コンサルティングファームにいたため、精度の高い「企業戦略」を立てることができます。その他、仲間の力を借りることで「マーケティング」「IT」「実行」という事業の成長に関わる領域を、一気通貫してサポートする環境を整えることが出来ました。現在は、建材メーカーやハウスメーカーを中心に、コンサルティングに携わっています。特に建材メーカーは、材料費の高騰や人材不足の影響もあり、建材そのものの利用が減っており、苦境に立たされている企業が少なくありません。またネット上の情報量も膨大にあることから、建築士がすべての建材を把握しきれず、そもそも知られていないということも。私たちの「コンサルタント」「建築士」「エンジニア」によるチームがサポートすることで、企業の案件受注につながるIT化、DX化を後押ししています。

仕事を通して価値を残す

どんなお客さまからのご相談が多いですか?

『工務店』『建材メーカー』など、建築を支える企業からのご相談が多いですね。起業当初はご紹介からの相談が多かったのですが、最近は東京ビッグサイトなどの展示場で開催されている「経営支援EXPO」「デジタルマーケティングEXPO」「DX支援EXPO」などのIT系のEXPOに出展しており、現地でお声掛けいただいたことをきっかけに、コンサルティングに入らせていただく機会が増えています。メンバーに現役の一級建築士がいることで、“現場や業界の内情に理解が深い”と信頼を得ています。やり取りは、経営者の方へのヒアリングから始まり、そのまま定期的に同席いただけることもあれば、社長の右腕などの現場の責任者にバトンを渡していただき、その方と進めることも多いですね。中長期的に関わることが多くなるため、信頼関係は年々増しています。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

“仕事を通して価値を残す”ことにこだわっています。私にとって仕事は、自分の人生を豊かにするための方法であり、その豊かさは仕事での成果の積み重ねによって得られると考えています。起業してすぐに、自分の考えたサービスが世の中に求められるタイミングではないことに気づき、大いに悩みましたが、「1歳でも若いうちの方が、チャレンジしやすい」と考えて起業していたこともあり、すぐに気持ちを切り替えることができました。まずは、目の前にある自分にできることに注力していきます。もちろん、やりたいこともあきらめていません。タイミングを計りながら、プロジェクトを進めていきます。ありがたいことに案件が増えており、もっと会社に人材が必要になってきています。私のチームでは、メンバーの個性を大切にしつつ、“カルチャー”、“ストーリー”、“クリエイティブ”を共有したいと考えています。一緒に働くことに興味を持った方からのご連絡もお待ちしています。もちろん、コンサルティングのお仕事のご相談もお待ちしています。


インタビュー後記

「起業していきなり躓いた」と話す前野さん。しかし、そこからの軌道修正と、現在の規模に至るまでの事業をスケールさせるスピードには目を見張るものがある。メンバーに一級建築士など様々なプロがいることも心強い。建築業界で、ITを絡めた底上げを考えるのであれば、頼もしい相談相手であることは間違いない。

お問い合わせ

名前:IEDIA

HP:https://iedia.co.jp

*ご相談の際は、『新宿区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。