
1973年 日本医科大学大学院卒業。 医学博士。ベルギー国ルーバンカトリック総合大学医学部病理学研究室助手。
1977年 アメリカ合衆国国立衛生研究所 (NIH) 特別客員研究員。
1986年 WHO テンポラリーアドバイザー。
1997年 日本医科大学大学院加齢科学系教授。付置老人病研究所分子病理学主任教授、同所長。
2006年 一般社団法人老人病研究会会長(現在に至る)。
2009年 日本医科大学名誉教授
2013年 新宿漢方クリニック院長 (現在に至る)。
これまでの経歴について改めてお伺いしてもいいですか?
日本医科大学と同大学院で臨床病理診断学、電子顕微鏡診断学を専攻し、その後ヨーロッパやアメリカの施設で経験を積み、日本医科大学に戻り大学院教授に就任しました。
2007年に文部科学省戦略的基盤研究社会連携事業助成金を獲得して『街ぐるみ認知症相談センター』を開設しました(現日本医科大学武蔵小杉病院)。その活動の一環として開催した認知症国際フォーラム『東洋医学が認知症に挑む』で三焦鍼法を知ることになったのです。
ーということは、川並院長はそのキャリアの大半は西洋医学に携わっていたということですか?
その通りで、分子病理学の研究をしておりました。ところフォーラムで三焦鍼法に初めて触れて、これまでにない大きなインパクトを感じました。
天津中医薬大学の韓景献教授に施術法や様々なエビデンスを開示していただき、これはすごいなとなったわけです。そうしたことで現在では、一般社団法人老人病研究会を中心に三焦鍼法治療を全国の鍼灸師と医師に普及する活動をし、現在までに230余名のGold-QPD鍼灸師を育ててきました。
三焦鍼法(さんしょうしんぽう)は初めて聞いたのですがどういったものなのでしょうか?
三焦鍼法とは中国の天津中医薬大学の韓景献教授チームが、抗加齢・健康長寿のために開発した治療法です。
そもそも三焦とは中医学の五臓(肝・心・脾・肺・腎)六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦)の三焦に由来します。三焦気化の調節(気エネルギーの産生と活性化調整)という角度から老化を遅らせ、老年病の予防と治療を目的とします。つまり、簡単に言えば、三焦は、
(1)人体の生命活動の原動力である『気』、『気』の母である『血』、体を潤す『津液』という要素を作り出す。
(2)三焦は『気』『血』『津液』を体中に循環させる役割を果たす。
(3)臓腑(内臓)機能の協調バランスをとる役割を果たす。
現代医学でいう、自律神経の役割の一部を担っているといえます。この施術法は一般の鍼施術と違い、認知症やメンタル疾患にも高い効果を示す事実が、さまざまな治療エビデンスから明らかになってきました。西洋医学で容易に解決できない病気を、三焦鍼法により快方に向かわせることができるのです。
コロナ後遺症には三焦鍼法しかない!
ー三焦鍼法に関してお伺いしてきましたが、タイトルにもある通り、コロナの後遺症にも効果があるということですか?
まさにそこが、読んでいただく方にお届けしたい点です。
少し難しい話になりますが、コロナ後遺症は新型コロナウイルスによって引き起こされた症状です。ウイルスは、特殊な鍵穴を介して細胞内に侵入します。その鍵穴受容体は脳、気道、肺、心、胃腸、肝などほとんどの臓器細胞や血管内皮細胞に存在するため、全身に感染する可能性があります(現時点では詳細は不明です)。ウイルスは細胞に侵入して増殖し、周囲の細胞に老化を促し炎症を起こします。症状としては疲労倦怠、息切れ、動悸、ブレインフォグ、疼痛、五感の異常(味覚、嗅覚、視覚)などからなり、自律神経不調の特徴に一致します。
しかし、この自律神経の不調症状に先端医学は対応できないか、覚せい剤類似の副作用をもつ薬物を使わざるを得ないのが現状です。面白いことに、三焦鍼法はその盲点をカバーできる数少ない治療法と言っていいのです。後遺症患者に三焦鍼法を実施すると、初回施術から顕著な効き目を感じる患者もおり、すぐに会社復帰できると感じる方さえいます。平均5〜6回で症状にかなりの落ち着きが現れます。三焦鍼法の特長に『やる気の復活』もあり、これまで体験したことのない1万歩ウォーキングをしたヒトさえいます。いずれにせよコロナ後遺症患者の症状と重症感はきわめて多彩で、三焦鍼法に対する反応もかなり多様です。弱い刺激から標準の三焦鍼法刺激を受け入れる状態になるにつれ、症状の緩和が長く続きやがて解放される印象があります。週1~2回のペースでじっくり施術することが肝要です。
三焦鍼法を受けるなら新宿漢方クリニックへどうぞ!
ーこれまで知らなかった三焦鍼法のことが分かり始めてきました!すごいですね!三焦鍼法の施術を受けられるところはどこにあるんですか?
新宿漢方クリニックは、社団の東京事務所として三焦鍼法の治療と教育における中心的存在となっております。私が育成に関わった全国230余名のGold-QPD鍼灸師の治療事例の情報がここに集まってきます。そのため、豊富な治療事例の情報に裏打ちされた施術を提供できます。さらに必要なら漢方と通常薬の処方、さらに食事コンサルテーションなど幅広い対応をしております。
一方、全国からのご要望に応じ、その地域近隣のGold-QPD鍼灸師の紹介もしております。
現在は、一般社団法人老人病研究会の「三焦鍼法実践セミナー」を介し、オンライン講座、Zoomミーティング、対面手技トレーニングにより鍼灸師教育を実施中です。また、Gold-QPD生涯教育講座を準備しつつあります。
(三焦鍼法実践セミナーの受講申請書受付はこちら http://gochojunet.com)
インタビュー後記
私の浅薄な知識では、鍼灸は健康促進のためにするものだという認識でしたが、ここまで治療という観点で行われる三焦鍼法には驚きが隠せませんでした。
何よりも、その三焦鍼法の日本における第一人者である川並院長ご自身が西洋医学における先端医療の研究医でいらっしゃったという事実。
30年の経験が180度変わるほどの衝撃とはいかほどのものなのでしょうか。
今回のインタビューは、一人でも多くの苦しまれている人の力になりたいという川並院長の想いが伝わってくるものでした。
今月からマスクからも解放され、少しずつかつての世界に近づいてきたという印象がある中ですが、そんな日常にも確実に後遺症という暗い影が存在します。
先端医学でははっきりとした治療法を見つけることが出来ず苦しい想いをされている方は是非三焦鍼法ほしいと思います。