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先日、王城ビルで開催中の
「ジャン=リュック・ゴダール展」に行ってきました!

ゴダールは、1950年代末にフランスで始まった
ヌーヴェルヴァーグを代表する映画監督のひとりです。

本展では、彼の最晩年の作品『イメージの本』を
インスタレーションとして再構成し、
作品の中に入り込んだような、
あるいはゴダールの頭の中を覗き込んでいるような、
不思議な体験をしてきました。

『イメージの本』は、5章構成の長編映画で、
一貫した筋はなく、ゴダール作品をはじめとして
さまざまな映画やニュース、記録映像などが
断片的にコラージュされています。
映像と音は分離され、速度や色彩にも加工が施され、
単なる繋ぎ合わせではない作品になっています。

ゴダールはこの映画を「手」にたとえ、
5つの章を「5本の指」として語っています。
作中でも「手」というモチーフはたびたび登場し、
人間は手によって創造・思考するのだ
というゴダールの視点を垣間見ることができます。

展示では、5章が各階に分けられ、
フロアごとに設置された複数のスクリーンに
『イメージの本』の映像が投影されていました。
スクリーンは薄布のような素材で、
他の映像の透過や鑑賞者の影、風などによって、
映像の見え方が常に変化します。
日常から切り離されたような王城ビルの雰囲気と相まり
幻想的な空間が広がっていました!

また、「手による思考」というテーマに呼応するように、
会場内には作中で引用された本が点在し
展示を見ながら手に取って読むこともできます。
私は試せませんでしたが、
映像を眺めつつ本を読み、頭でも手でも思考する…
そんな鑑賞の仕方も素敵だなと思いました。

映画は通常、観る時間が決められており、
その間、観客は固定されます。
しかしインスタレーション形式にすることで、
時間的制約から解放することができます。
映画館とはまったく異なる体験ができるのも、
本展の魅力のひとつです。

さらに、『イメージの本』が問いかけていた
「映画の形式」への挑戦は、
この展示によって「鑑賞の形式」そのものにまで
広がっているとも言えそうです。

会期は 8月31日まで!
お近くにお越しの際は、ぜひ足を運んでみてください!

ゴダール展:godardtokyo
王城ビル:ohjobldg

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35 いいね! ('25/07/24 12:01 時点)