【地域に香る“小さな幸せ”を届ける、オレンジの香りとクロワッサン】 ～プティ・ボヌール　　和賀 花恵さん　～

きっと地元の人を元気にできる

お店をオープンしたきっかけを教えてください

ホテル勤務時代、コロナによって宴会が相次いで中止になり、自分が磨いてきた接客術が「必要とされる場所を失った」と感じました。そのとき心に蘇ったのが、海外旅行で体験した“ホテルの朝食”です。ワイングラスで提供されるフレッシュオレンジジュースと芳醇なクロワッサンは、非日常を連れて来てくれる魔法のようでした。「この体験を地元東和の日常に届けられたら、きっと地元の人を元気にできる」。これがお店をオープンしたきっかけです。

お店の特徴を教えてください

お店のメインは、搾りたてのオレンジジュースとクロワッサン。旅先のパリのカフェで出会った“本物の味”を地元東和でも気軽に楽しめるようにしたいという思いから、この組み合わせにしました。

クロワッサンはフランスから取り寄せた生地を店内で焼き上げています。サクッと香ばしくて、中はふわっと。季節や湿度で焼き加減が変わるので、毎日が真剣勝負です。

また、向かいには東京藝術大学の学生の皆さんの作品を展示するギャラリーを併設しています。学生達が自由に展示できるスペースで、地域の方が気軽にアートに触れられる場所にもなっています。

「お見送り」を何より大切にしています。

お仕事で大切にしていることは何ですか？

お客様がお帰りの際の「お見送り」を何より大切にしています。ホテル勤務時代に身に付けた「お客様のお姿が見えなくなるまでお見送りする」という習慣は、今も変わりません。

わずかな会話や所作が、思いがけず深いコミュニケーションへとつながることがあります。たとえば、「今日はちょっと元気がなくて寄りました」とおっしゃった方が、搾りたてのジュースを召し上がったあと「また頑張れそうです」と笑顔でお帰りになる――その瞬間こそが、私にとって何にも代えがたい喜びです。

 この仕事は好きですか？

はい、大好きです。朝、お店に入ってクロワッサンが焼き上がる香りを嗅ぐと、「今日もがんばろう」って自然に力が湧いてきます。

地域のお客様が「ここに来ると元気が出るのよ」って言ってくれたり、子どもたちがアートを眺めて嬉しそうにしていたり。そういう光景を見るたびに、「このお店を開いてよかった」と心から思います。

今後の見通しを教えてください

地域の皆さまにとっての心地よい居場所であり続けることを第一に考えています。ふらりと立ち寄って、元気になって帰っていただける――そんな場所でありたいと願っています。

また、週に約100キロも生じるオレンジの皮を廃棄せず、活かす方法を模索しています。これにより、食品廃棄物の削減（SDGs目標12「つくる責任 つかう責任」）に貢献したいと考えています。

例えば、オレンジピールを使用した自家製ジャムの開発や、地域の農家やクラフト作家との連携による再利用の可能性を探っています。ご活用いただける方がいらっしゃいましたら、ぜひご連絡ください。

さらに、ギャラリースペースでは、アートイベントを開催し、東京藝術大学の学生と地域の方々がつながる機会を増やしていきたいと考えています。これにより、質の高い教育（SDGs目標4「質の高い教育をみんなに」）と、パートナーシップ（SDGs目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」）の推進を目指します。

これからも、地域の皆さまと共に、持続可能な社会の実現に向けて歩んでまいります。

インタビュー後記

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