立つときや座るときには、頭の頂点が天から吊るされているようなイメージで、まっすぐな姿勢をとることが重要と前回お話ししました。単純ですが、正しい姿勢の基本です。


楽に立つ、長く立つ、そのためには重心が正しい位置にあり、安定していなくてはなりません。モデルの卵さんたちが受けるレッスンに「壁立ち」というのがあります。壁に背中を当てて、まっすぐに立つ練習です。後頭部、肩甲骨、お尻、(可能ならふくらはぎ)、かかと、を壁に密着させた状態で立ちます。これは一般の方にも応用がききます。毎日5分、しっかり行うことで体が安定して立てるようになります(A図:上を向けば、肩こりは治せる! エイ出版社から改変)。


私流に少しアレンジすると、B図のように、手の甲も壁に密着させることで、巻き肩の矯正になり、猫背を治す効果を出すこともできます。


毎日5分、正しい姿勢を身につけるために壁立ちしてみませんか?


A図


  

B図



さらに隠されたポイントもお伝えしましょう

立位で安定したバランスを保つには、足の3点に均等に荷重をかけることだと思います。(下図参照)


ひとつは赤丸の部分で、足の第1趾と第2趾のあいだで、わかりやすく言えば、下駄や草履の鼻緒が当たる部分です。


2番目は青丸の部分で、足の第5趾(小指)の付け根です。


3番目は黄丸の部分で、かかとです。


この赤青黄の3つの点で囲まれた三角形が安定して着地していることで、立位バランスも安定します。まずは、左右どちらでもいいので、片足で立ってみてください。安定の度合いが簡単にテストできます。多くの場合、青丸の部分の荷重が弱く、力が逃げてしまっているので、立位や歩行が安定しないのです。


その対策としては、足の第5趾(小指)の筋力強化です。小指の地面をつかむ力(握力)を強化しましょう。そして立つときに青丸の部分を押し付けるようにして立つと安定することが多いようです。逆に青丸の部分に力が入りすぎて、赤丸の部分が浮いてしまう方もいらっしゃいます。そのような方は、赤丸の部分を押し付けるようにして立つと安定します。足を安定させる三角形をぜひ覚えておいてください。

 


監修

アレックス脊椎クリニック  院長

吉原 潔(よしはら  きよし)


PROFILE

日本医科大学卒業 医学博士。

卒業後は日本医科大学の付属病院および関連病院で研修・勤務する。日本スポーツ協会公認スポーツドクターでもあり、社会人リーグやプロスポーツ選手の治療に当たってきた。その後、帝京大学溝口病院整形外科講師、三軒茶屋第一病院整形外科部長を経て、現在はアレックス脊椎クリニック院長。脊椎内視鏡手術のパイオニアだが、スポーツ医学との接点が多く、フィットネストレーナーの公認ライセンスも所持(NESTA:全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会)。筋力トレーニングおよび体重管理にも造詣が深い。


ホームページ

アレックス脊椎クリニック  https://ar-ex.jp/spine

黒河内病院  https://kurokouchi.or.jp/index.html

腰博士 https://koshihakase.com

M+ POWER https://m-pluspower.com


著書

◆脊柱管狭窄症 腰のスーパードクターが伝授する 最新最強自力克服大全(わかさ出版)

◆脊柱管狭窄症 腰の名医20人が教える最高の治し方大全(文響社)

◆ひざ痛・変形性ひざ関節症(文響社)

◆腰の痛い人が読む本(エイ出版社)

◆腰痛を自力で治す本(ベースボールマガジン社)

ほか

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