
代表:成島 理紗(なりしま りさ)
事業:一人暮らしの女性専門のお片付け・インテリアサービス
書籍監修:KADOKAWA出版「ひとり暮らしかんぺきBOOK」
今回取材に伺ったのは、一人暮らし女性を専門に整理収納サービスを提供する成島さんです。ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」で新垣結衣さんが演じたことで知名度の上がった家事代行サービスとは一味違います。定期的に通って家事を手伝うのではなく、根本的に散らかりづらいお部屋を作ってしまうことがゴールです。元々はお片付けが苦手だったという成島さんが起業に至った経緯と想いに迫ります。
事業内容について
整理収納サービス
私のサービスは、いわゆる家事代行とは違って、“一緒にするお片付け”です。
お客様からご依頼をいただいたら、事前にヒアリングシートや間取り図、お部屋の写真を見せていただいて、頭の中である程度、改善の方向性を考えておきます。
実際に伺うと、まずはしっかりお話を聞かせてもらうところから始めます。引き出しの使い方や家具の配置にどんな意味があるのかなど、写真では分からなかったことを丁寧に確認します。思い出の品や推しグッズなど、大切なものもあるので、いきなり“捨てましょう”とは言いません。
そのうえで、“これが必要かどうか”“どこに収納するか”を一緒に決めていきます。
大きな家具の配置替えや、模様替え、買い替えのご提案もします。たとえばロフトベッドが片付けにくさの原因になっていた方には、ベッドの候補を3つほど選んで、それぞれの特徴をお伝えしたうえで選んでもらいました。
片付けは、ダイエットと似ていると思います。一日だけがんばっても、またすぐ元通りになってしまう。だから私は“根本改善”を大事にしています。“散らかりづらい仕組み”を一緒につくるのが目標です。
アンバサダー事業
もうひとつの軸として、収納用品メーカーさんのアンバサダーをしています。
たとえばフィッツケースでお馴染みの収納メーカー『天馬』さんのアンバサダーとして、月に一度、テーマ商品の紹介コラムを書いたりしています。
お片付けの現場では、『どんな収納グッズを買えばいいか分からない』と悩む方が多いです。そこで、その方に合うものを私なりに選んでご紹介することがあります。
企業さんが直接おすすめするよりも、私のような現場の人間が“これは合ってそう”とお伝えしたほうが、お客様も抵抗がなく、自然な流れで受け取ってくださることが多いです。
営業というより、“これは本当にいいな”と思えるものだけを、お客様のために紹介するようにしています。
会社を立ち上げるまでの経緯
祖父が建設業をしていた影響で、自分も小さい頃から家に関わる仕事をしたいとずっと思っていて、大学でも建築関係のことを学んでいました。ただ、私の場合は大きいものを作るよりも、家の内部の方が好きだったので、インテリアや住宅設備に関わる仕事ということで大手住設メーカーに就職しました。ショールームで直接お客様に商品説明をして買っていただくという営業をしており、今でもその経験が活きています。
会社勤めをしていた頃は、毎晩のように遅くまで残業していました。帰宅するのは22時や23時。部屋はいつも散らかっていて、家では寝るだけという生活を続けていました。
ある時すごく毎日が嫌になって、思い切って家の中のものを全部捨ててみたら、部屋が一気にすっきりして、“何もないって気持ちいいかも”と初めて思いました。そこからラグを新しくしたり、自分の好きな家具を置いたりしていくうちに、“この家に帰りたい”という気持ちが出てきて、働き方も変わっていきました。
それがきっかけで、”お片付けは人生を整えること”だと思うようになりました。
自分自身が小さい頃からお片付けがとても苦手なことをコンプレックスに思っていて、それを克服した時に仕事もプライベートも整って、前向きになることができたので、そういう女性を増やしたいと思ったのが、サービスを開始したきっかけです。
まずは会社員として働きながら、整理収納アドバイザーとインテリアコーディネーターの資格を取得し、基本的な収納の理論を学びました。それから小さなセミナーを開いたり、アメブロで発信を始めました。セミナーと言っても何十人規模というわけではなく、5人くらいの方をホテルのラウンジにお呼びして、部屋の写真を持ってきてもらって片付けの相談を受ける、そんな地道なスタートでした。
2019年に会社を辞めて、フリーランスとして本格的に始めたのですが、その数ヶ月後にコロナが流行しました。2020年春はまったく仕事がなくなって、お給料がゼロの月もありました。でも“今できることをやるしかない”と思って、ひたすらブログを書き続けていました。すると突然追い風になったのが、ステイホームでした。みんなが外に遊びに行けず、家にいる時間が増えたことで、自分の部屋と向き合うようになり、『なんでこんなに家が散らかってるんだろう』と気付いたようで、一気に検索されることが増えました。
仕事で大切にしていること
お片付けができないことは、“だらしない”とか“能力が低い”と思われがちです。
でも私はそうではないと思っています。
私自身もお片付けが苦手だったからこそ分かりますが、出来ないのはただ時間がないだけかもしれないし、やり方を知らないだけかもしれない。だから、そこに“罪悪感”を持たないで欲しいと思っています。
物を捨てられない人は、実はちゃんとモノを大事にしてきた人だと思います。
だからこそ、いきなり“捨てましょう”とは絶対に言いません。
“どうしてこれがあるのか”“これをどうしたいのか”を一緒に考えることを大事にしています。
私は、物と暮らしに対して悩んでいる方の隣に座って、一緒に整えていく人でありたいと思っています。
これからのビジョン
フリーランスから数えると6期目を迎え、お客様の累計は200人以上になりました。大手の片付けサービスはファミリー層も、男女も関係なく、手広くやられていますが、私は一人暮らしの女性に絞ったことでお客様からの認知度や信頼を得られたのだと思います。
現状の課題は、人手が足りず、早く来てほしいお客様もお待たせしてしまっていることです。1ヶ月、2ヶ月先まで予約が埋まってしまっている状況なので、一緒にお客様のお部屋を整えてくださる方を増やすことを検討しています。ただ、サービスの質は落としたくないので、誰でも採用ができるわけではありません。お客様の多くはお片付けが苦手なので、軽々しく「捨てちゃえばどうですか」みたいなことは言わず、寄り添ってあげて欲しい。最初から私が納得できるレベルでできる人を見つけるのは難しいので、これからお片付けを仕事にしていきたい人向けにセミナーを通じて育成していくことを考えています。
あともう1点考えているのが、不用品を循環させるエコシステムの構築です。お片付けの際に不要なものが結構出るのですが、まだ使えるものも多いです。中古品として販売したいとか、誰かに使って欲しいという声があり、むしろ捨てるのも手間がかかるということもあり、それを解決したいと考えています。まだ具体的にはなっていませんが、捨てるのではなく、活かすことで社会貢献できたらいいなと思います。
インタビュー後記
仕事から疲れて帰ると、真っ暗で散らかった部屋にがっかりした経験は誰しもあると思います。成島さんもその1人で、部屋を一気に片付けてみたことから、早く家に帰りたいと思うようになり、仕事を早く終わらせることや、家で自炊することを意識するようになったそうです。そんなご自身の経験があるからこそ、お客様の気持ちに寄り添ったサービスになっているということがよくわかりました。昨今はサウナブームで「ととのった」という言葉を聞く機会が増えましたが、家に帰ってもいい気分でいられるように部屋も「ととのった」状態にしてみてはいかがでしょうか?
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*相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。