第282回 氷川風土記「女性の活躍」

令和7年10月21日、自民党の高市早苗総裁が衆参両院本会議の首相指名選挙で第104代首相に選出されました。
憲政史上初の女性の首相です。

女性の活躍は、古代の朝廷においてもその姿を見ることができます。
日本史の中で有名な方はほとんど女性天皇かもしれませんが、氷川神社に縁がある女性の姿も記録に残っております。

奈良時代から平安時代にかけて、地方豪族の娘が朝廷の女官「采女」として仕えることがありました。
采女とは天皇や皇后に近侍し、食事など身の回りの庶事を専門に行う女性です。
その采女として、8世紀成立の国史『続日本紀』に武蔵国出身の女性が登場します。

彼女の名は「武蔵家刀自(むさしのいえとじ)」。

奈良時代後期に実在した女性で、西角井家の系図には武蔵不破麻呂の娘とあります。
武蔵不破麻呂は『続日本紀』に「武蔵国足立郡の人外従五位下丈部直不破麻呂等六人に姓を武蔵宿禰(むさしのすくね)と賜う」「外従五位下武蔵宿禰不破麻呂を武蔵国国造となす」などの記載があり、氷川神社の神官・角井家の祖先として西角井家の系図に記される人物です。
一説には、平安時代に菅原孝標女が記した『更級日記』に出てくる「竹芝伝説」のモデルとも言われます。

武蔵家刀自は称徳天皇の御代である神護景雲元年(768)に、不破麻呂らとともに武蔵宿禰の氏姓を父親と共に賜ったほか、桓武天皇の御代である延暦6年(787)に「武蔵国足立郡采女掌侍兼典掃従四位武蔵宿祢家刀自卒」とあり、この年に亡くなったようです。

実は「従四位」というのは、父親より上の位。
奈良時代の従四位は、律令制度下で太政官の左右大弁や近衛府の中将など朝廷の要職に就くための重要な位階で上級官僚に相当します。
その位を与えられた彼女は掌侍(後宮の礼式などをつかさどった官職)と典掃(宮中の掃除や設営のことをつかさどる官職)の2つの職につき、内裏内部をまとめる重要な立場にいたのです。

武蔵一宮氷川神社に縁がある女性が古代朝廷で活躍していた史実は、現代社会においてはあまり知られていないかもしれません。
武蔵家刀自の活躍は大切に語り継いでいくべき史実です。

〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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