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認知症の母のマンションを兄が売却しようとしています。
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/10
認知症で入院中の母の財産を狙う兄が、母名義ののマンションを不動産会社に売却依頼をしてしまいました。母の印鑑や印鑑カードや住民票などの書類は、母の部屋から無断で持ち出しています。
不動産会社のお客様相談へ売却をやめるよう兄に言いましたが、担当の営業マンは「必要書類はあるので売却はする、お兄さんの言う通りにお話を進める」と強気の返事でした。
認知症で判断能力のない人が所有しているマンションは本人が’’うん’’といっても、認知症なのですから、兄は後見人でもないし売却活動は違法だと思うのですが私は間違っていますか?どうしたら、売却をやめさせることができますか?教えて下さい。至急止めないと売れてしまったら、大変なことになると思うのですが・・・。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
認知症にも様々な程度がありますから、単に認知症であるというだけで直ちに売却できないということにはならず、売却の意思表示の時に判断能力があれば売却できてしまいます。
認知症であるかどうかにかかわらず意思能力(自己の行為の結果を判断できる能力)が無いと認められる場合には売却の意思表示自体が無効となりますので、契約後や移転登記後であっても財産は保護されますが、後になって契約当時に意思無能力であったことをどのように立証するかという問題は残ります。
後見申立てをして後見人が選任されれば、登記がなされて選任以降の売買は取り消せるようになりますが、ご相談の状況では後見人の選任が間に合うかどうか悩ましいところです。後見人を選任する家庭裁判所は忙しいので、事情をきちんと伝えれば早急に手続きを進めてくれるかもしれませんが、通常なら1か月以上はかかります。
そこでお勧めしたいのは、後見申立てと同時に財産の保全手続として財産管理者を選任してもらうと共に後見命令を出してもらうすることです。詳細はわかりませんが既に必要書類が揃っている状況なのだとすると、数日の猶予もないでしょうから、この方法以外無いように感じます。
一般に後見申立て等の手続は裁判所でも案内してくれますのでご自身でなさることも不可能ではありませんが、ただでさえ忙しい裁判所をさらに急がせて財産を守ろうとするわけですから、後見事件に詳しい弁護士に依頼してすぐに動いてもらうべきです。こうしている間にも事態は進展します。それぞれの段階に応じてとりうる対応も変わってきますので、一刻も早く詳しい弁護士に相談してください。