まちの仕事人インタビュー
小さな安心が見つかるカフェ
Parklet Café 相澤 郁美 () さん インタビュー

川崎市高津区・武蔵新城。

商店街を抜け、公園に隣接する小さな路面店の前に立つと、大きな窓越しに店内が見えます。

「こんにちは」と自然に声が飛び交う穏やかな空気の中、人の流れが窓辺に吸い込まれていくようなあたたかさがあります。


ここが、2024年11月にオープンした Parklet Café(パークレット・カフェ)です。

代表の相澤郁美(あいざわ いくみ)さんは、20年以上にわたり子育て支援の活動を続けてきました。

今回は、カフェをひらいた理由、店づくりへのこだわり、これからのビジョンについて伺いました。


① カフェをオープンした想い


相澤さんは、約10年間の保育士経験を経て子育て支援団体を立ち上げ、多摩市と川崎市で20年以上活動してきました。


「川崎に引っ越してきて子育てを始めたとき、知り合いが誰もいなくて、何を調べればいいのかもわからなかったんです。子育てがとても孤独で…ママ友づくりも苦手で、行きたい場所に行けない時期がありました。」


こうした経験が、「誰でも出入りしやすく、気負わずいられる居場所をつくりたい」という強い原動力になったそうです。


さらに、相澤さんが運営する子育て支援者を育成するみらくRuスクールhttps://www.instagram.com/miraku_ru2023?igsh=MWNxdGUzaHBzZ2V6cg==)の卒業生たちが、学んだことを実践し、地域で活躍できる場が必要だと感じたと話します。


「支援者が成長できる居場所と、地域の親子が気軽に来られる居場所を、ひとつの拠点で叶えたかったんです。」


こうして、カフェとコミュニティを融合した新しい拠点づくりが始まりました。

② どのような特徴のあるカフェですか?


● “地域とつながるカフェ”という立地


パークレット・カフェは、公園に隣接しています。

工事中の段階から通りがかりの人に「何ができるの?」と声をかけられるほど、地域の人がよく行き交う場所です。


「ここは“開いている”場所なんです。窓を開けると中も外も自然につながって、挨拶が生まれます。そんな環境に惹かれました。」


● 小さな子どもも安心して食べられる家庭料理


看板メニューは、野菜がたっぷり入った甘口のトマトカレーです。

子どもが“食べられない”を乗り越えられるよう、やさしい味に仕上げています。


みらくRuスクールの卒業生の中から、食に強い関心を持つメンバーでチームを結成しました。

毎月の試食会を通して、コンセプトづくりから味付けの検討まで、みんなで意見を出し合いながら商品づくりに取り組んできました。


コンセプト

おとなもこどもも安心して食べられる、やさしい味わい


● 気分で選べる過ごし方


支援センターや親子カフェにありがちな、“コミュニティに入らなきゃいけない”という空気をなくしたかったといいます。


・コーヒーだけ飲みたい日

・今日は誰かと話したい日

・子どもとゆっくり過ごしたい日


その日の気分で選べるように空間をデザインしました。


店内には

・テーブル席

・親子でくつろげる小上がり

・窓口から買えるテイクアウトコーナー

があり、公園でコーヒーを飲みながら子どもを見守ることもできます。


「“ほんのちょっとが叶う店”を目指しました。」


そして実は…コーヒーにも“こだわり”があります。

私たちが使うのは、オーガニックよりもさらに自然に近い

100%野生のコーヒー豆」。


「野生のコーヒーって何?」と思われる方も多いと思いますが、

それは、コーヒー発祥の地・エチオピアで自然のままに育つ天然のコーヒー。

農薬を一切使わず、現地では胃腸薬としても飲まれているほど身体にやさしいんです。


また、栽培のために木を伐採しないため、環境にも配慮された伝統的な製法。

“搾取のないコーヒービジネス”を目指し、エチオピア政府の依頼から始まったこの取り組みは、

貧困を生む社会構造を変える流通の仕組みをつくっています。

売上の一部は、エチオピアの水の浄化装置設置のためにも使われています。

この豆を扱う村越さんのコーヒーへの情熱と、

そのコンセプトに深く共感し、当店でも扱わせていただくことになりました。


③ 今後どのような活動を予定していますか?


● 支援者が育つ“学びと実践のサイクル”づくり


相澤さんは、これからは自身がプレイヤーになるより、次の担い手を育てることに力を入れたいと考えています。


「学んだ支援者さんたちが、ここで実践しながら成長できる循環をつくりたいんです。」


講座やワークショップ、親子イベントなどを、単なる“レンタルスペース”ではなく、共に育つ場として展開していく予定です。


● 地域の人と一緒に育てる店


オープンと同時にクラウドファンディングにも挑戦し、多くの地域住民が支援してくれました。


「資金のためというより、“この場所を一緒に育ててもらいたい”という想いが強かったんです。」


店の前を通るだけでも会話が生まれ、挨拶が増え、地域同士がつながっていく。

カフェはすでに、コミュニティとしての役割を果たし始めています。


④実施中のクラウドファンディングについて教えてください

小さなカフェから、未来を変える

本当に必要な支援ほど、想いだけでは続かない。

だからこそ私たちは、「支援を、持続可能な仕組み」にする挑戦を始めました。

20年間、保育士として、そして子育て支援の現場で活動してきたからこそ、子育てや地域の課題解決を“想い”だけで終わらせず、価値として届け、未来へとつなげていくことが大切。

その第一歩が、武蔵新城で始まる「Parklet Café(パークレットカフェ)」です。

ここは、ただのカフェではなく、孤立しがちな育児に、小さなつながりとあたたかな連鎖を生み出す、未来を育てる拠点です。

日々の暮らしの「ほんのちょっと」を叶える場所

そのままの自分でいられる、やさしい居場所

 「お客さん」から「支える人」へと一歩を踏み出せる場所

ママや周りの大人たちの笑顔が、子どもの健やかな成長を支え、その子どもたちが、地域の未来をつくっていく。そんな“まちぐるみの子育て文化”を、ここから育てていきたいと考えています。


小さなカフェから、未来を変える。

その第一歩を、ぜひ一緒につくりませんか?


👉 応援・ご支援はこちらから

https://camp-fire.jp/projects/876187/view

⑤その他の情報・裏話


・オープン準備中に相澤さんがギックリ腰になり、プレオープン4日前に負傷したまま開業日を迎えたという“波乱の船出”。

・工事は当初より2か月遅れ、キッチンが立ち上がったのはプレオープン1週間前という綱渡りのスケジュール。

・従業員の育成、スタッフ研修、接客マナー、お酒やコーヒーの提供方法など、すべてゼロから整えながら運営している最中です。

・今後はお菓子やおつまみなどコーヒーやお酒をのみながらくつろげる“小さな楽しみ”をメニューに増やしていく予定。

・商店街にも加入し、地域イベントとの連携も進めていくそうです。


インタビュー後記

Parklet Caféには、相澤さんの歩んできた20年の思いが柔らかく息づいていました。地域の親子も支援者も、ふらりと立ち寄れる“やさしい拠点”として、すでに小さなつながりが生まれはじめています。準備期間のハプニングさえ前向きに変えてしまう相澤さんの明るさに、この場所の未来が重なりました。ここからどんな物語が育つのか、楽しみになる取材でした。


お問い合わせ

Parklet Café

〒213-0014 神奈川県川崎市高津区新作5丁目16−1


HP:https://parkletcafe.com/

営業時間

カフェ営業:11:00〜15:00(L.O 14:00)

アペロ:11:00〜17:00

レンタルスペース:coming soon