まちの仕事人インタビュー
弁護士界の「一休さん」勝つまで戦う正義の弁護士
さくら共同法律事務所 弁護士・弁理士 野崎 智裕 (のざき あきひろ) さん インタビュー

弁護士・弁理士。さくら共同法律事務所所属。1989年生まれ。東京都中野区出身。小学校から高校は東京の公立学校に通い、京都大学文学部行動環境文化学系社会学専修卒業。大学時代は体育会系バスケ部で副将を務める。大学卒業後、一念発起して京都大学大学院法学研究科法曹養成専攻(ロースクール)に入学。同大学院を修了後、司法試験合格。弁護士登録後に杉村萬国特許法律事務所に入所。同事務所では多くの知財事件を担当。より社会課題の解決ができる環境に身をおきたいと考え、さくら共同法律事務所に入所。弁護士・弁理士でありながら重度訪問介護従業者(大阪府)の認定も受けており、社会課題を多面的に解決するべく活動中。

京都大学文学部からロースクールに通い、弁護士になっている野崎さん。少々変わった経歴かと思いますが、なぜ弁護士を目指そうと思ったのでしょうか。

ある弁護士との出会いがきっかけですね。私の幼い頃からの夢は正義の味方でしたが、もともと弁護士になろうとはまったく考えてなかったんです。昔は警察官やジャーナリストを目指していたんです。「社会問題を解決したい」そういう思いで大学に入学しました。そのため大学入学後、社会問題になっていそうなところにはとにかく顔を出していました。それこそ釜ヶ崎で炊き出しをしてみたり。そんな動きをしている中で一番触れてきたのが介護でした。資格も取って、バイトとして介護士をしていたんですが、弁護士になろうと思ったのはこのときです。きっかけは私があるALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の介護をしていたときのこと。ALSはアイスバケツチャレンジでも有名になりましたけど、全身の筋肉が失われていき、最後には呼吸するための筋肉までもがなくなるという病気です。ALS患者の介護では24時間見守っていく必要があります。なぜなら、進行度によっては1時間に1回は痰が絡みますし、放っておくと最悪死に至りますから。だから看護師や介護士が定期的に痰吸引をしなければいけないんです。ただ、私の担当していた患者さんにはもともと介護認定が8時間しかおりていなかった。そうすると当然痰を吸引できない時間ができるので、命が危険です。しかしあるときからその患者さんの介護認定が24時間になったんです。事情を知っている方になぜ変わったのかを聞いたら弁護士が行政と交渉して時間を延ばしたとのことでした。このとき弁護士になろうと決めたんです。目の前で苦しむ患者さんを助けることは非常に尊いことですが、病気とは直接関係ない問題で患者さんが命の危機にさらされることもあります。今の話でいえば介護認定時間の問題ですね。こういう社会問題の解決ができるのは弁護士ならではだと思いました。介護業界では「光の当たらないところに光を当てる」という言葉がありますが、私は「光の当たらないところに光を当てる」弁護士になりたいと思い、司法試験を受けることに決めました。

形は違えど正義の味方でいたいという気持ちは幼い頃から一貫して持ち続けていたのですね。弁護士になった後、特許事務所に入所されていますが、なぜファーストキャリアが特許事務所だったのでしょうか。

ロースクールや司法修習などで弁護士業界の知り合いはたくさんいたのですが、他の職種の方々と接する機会は限られていたので、他の職種の方々とも一緒に働いて、刺激を受けたいと思ったからです。それと、知的財産権は科学技術を発展させるもので、夢があります。それも特許事務所で働きたいと思った理由の一つです。私が入所した杉村萬国特許法律事務所は100年以上の歴史がある日本トップクラスの特許事務所です。私の入所当時は弁護士部門を新しく立ち上げるという時期で、自分から積極的に行動することが奨励されていたのもあり、いろいろなことを経験させていただきました。

その後、さくら共同法律事務所に入所されました。さくら共同法律事務所を選んだ理由を教えてください。

社会問題に取り組むような公益性の高い事件を多く扱っていたからですね。特許事務所での仕事は新技術を守るという意味では、未来を創る仕事でしたので非常にやりがいのある仕事でした。ただ、やはり根っこの部分では社会問題を解決していきたいという気持ちがくすぶっていたんだと思います。弊事務所のパートナーである河合が熱心に社会課題を解決しているというネット記事を見て、最初は「本当にこんなすごい人物がいるのか」と思っていましたが、実際に入所してみると、本当にそういう人でした。あとは、総合法律事務所として離婚問題から企業法務、刑事事件まで幅広い相談をいただける事務所というのも魅力でした。どこかの分野だけ扱って、それ以外については「専門外なので全く分かりません」というのではクライアントの問題を本当の意味で解決することは難しいと思っていましたから。


事務所エントランス

素敵な古時計が置かれている

確かに正義の味方は分け隔てなく困っている人がいれば助けるものですもんね。野崎さんはどのような案件を担当することが多いのでしょうか。

私に限らず弊事務所には、どこの事務所もやりたがらない難易度の高い相談が舞い込むことが多いです。それも大型案件ばかり。手前味噌にはなってしまいますが、クライアントからは「最後の砦」と認識されているように思います。私は普通の弁護士なら絶対に嫌がる泥臭いこともクライアントのためなら迷わずしますし、「勝つまでやる」「何回でもやる」をポリシーにしているのでそういう面で頼っていただいているように感じます。たとえば、Aという内容の訴えについては敗色濃厚という案件でも、別の角度のBという内容で逆に相手を訴え返してクライアントが求める着地点になるべく近づけることなんかは日常的にやっています。私は真正面から一つの論点の勝ち負けを争うことだけが弁護士の仕事ではないと思っています。むしろ一休さんのようにトンチを効かせて多角的に戦術を練れる弁護士の方が最終的にはクライアントのためになれると考えてますし、私自身も意識するようにしています。極論、戦う土俵を法律の中だけで考える必要もないと思ってるくらいです。裁判所の外での戦いの可能性まで考えられる弁護士でありたいと思っています。

「勝つまでやる」というポリシーを持っている弁護士ほど頼りになる味方はいませんね。野崎さんが担当してきた中で印象的な案件というのはありますか。

私の考え方に影響を与えた事件が印象的ですね。あるネット企業を弁護したときの話です。内容は、その会社のプロデューサーに対して誹謗中傷や、殺害予告が頻発していて、その嫌がらせを私に止めてほしいという依頼でした。ただ、当時の法制度や裁判例だと誹謗中傷を止めることは難しかったんです。1回目の裁判では見事に負けてしまいましたし。ただ、誹謗中傷を受けている被害者が泣き寝入りをするなんて絶対におかしいと私は思っていましたから、1回負けても二度三度、角度を変えて訴訟を提起し、合計5回にわたり裁判をおこないました。その甲斐もあって、最終的には犯人を特定し、事件を解決することができました。この事件をきっかけに、ひとつの訴訟では勝てなくても、何回でも切り口を変えて訴えることで、クライアントの求める着地点に近づけることができるのだと学びました。「勝つまでやる」という私の信念は、今思えばここからはじまったように思えます。そういう意味で私の中で印象的な案件といえますかね。


ひとつの訴訟提起でも大変な労力の中、勝てるかもわからない案件で、5回も訴訟提起するのは相当な信念がないと難しいですよね。こういう人にはぜひ相談してほしいという方はいるのでしょうか。

どの弁護士も受けてくれない、他の弁護士では対応できないという本当に困った状況にある方は、ぜひ私に相談してほしいです。私の原点は正義の味方であり光の当たらないところに光を当てることなので。他の弁護士がやりたがらない仕事でも喜んでお受けします。ご相談をいただいた方から、「誰も引き受けてくれないから野崎さんに相談した」「他の弁護士ではダメだったけど、野崎さんならなんとかしてくれると思って相談した」というお声をいただいたときはとてもうれしかったですし。困っている方にとっての最後の砦になれればいいなと思っていますね。

これほどまでに頼もしい弁護士に私はお会いしたことがないです。最後に読者に一言お願いします。

いろんな弁護士に断られた事件でもあきらめないでください。どんな難しい事件でも、どこかに勝つ糸口が隠れているものです。ある角度からは解決不可能に見える問題でも別の角度からは光明が差すことだってあります。もしどうしても解決の道が見つからないと悩まれている方がいればご相談ください。私はあなたが勝つまで絶対にあきらめないですし、最後までとことん戦い抜きます。

インタビュー後記

野崎さんは一本芯の通った本当にかっこいい弁護士です。単にかっこいいだけではありません。野崎さんに弁護をしてもらえば、どうにかしてもらえそうという頼もしさも感じました。お人柄もピカイチです。世間一般でイメージされるような弁護士とは違い、人間臭くて気さくに話ができる。いい意味でギャップにあふれる魅力的な方でした。弁護士といえば世間的にはエリート中のエリート。プライドが高い人もいるでしょう。でもそういう弁護士はクライアントを勝たせるために、スタンディングデモをするでしょうか。株主総会に乗り込むでしょうか。おそらくそこまでできる弁護士は少ないと思います。弁護士なら、綺麗に舗装された道を歩くことだってできたはずです。それでもなお、正しいことのためには泥臭い獣道だって喜んで進んでいく。野崎さんはそういう弁護士なのだと思います。弁護士に頼るのはあなたが人生の岐路に立っているときでしょう。そんなときに頼れるのは、「プライド」と「信念」どちらを大事にする弁護士なのか。語るに及ばないのではないでしょうか。

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さくら共同法律事務所

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*お電話相談の際、『新宿区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。