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借地権について相談です。
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/05
借地権のある土地に30年前義父名義で家を建て、その義父が2年前に亡くなり義母が1人で住んでいました。
その義母がこの度施設に入居し、現在空き家となっています。
古い契約書(現在のは紛失)から計算すると、更新時期がおよそ2年後です。
地主に借地権買取を相談するも駄目でした。(他に売却はOK)
数社不動産に売却依頼も駄目でした。(とても売りにくい土地だとの事)
義母は年金暮らしで施設代の支払いがやっとの状況です。
私を含めた子供達も金銭に余裕はありません。
この状況で義母を自己破産させ、借地権付住宅を手放すことは可能ですか?
そうすると相続せずに済むのでしょうか?
生活保護も視野に入れてます。
医療費や、施設代の支払が困難ですから。
生活保護は借地権付住宅の処分に不利益になりますか?
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
施設に入所される義母様が、元の住居の地代の支払いなどが難しく、その処理に困っているとのことですね。
借地権付きの物件を処理するには、
①土地の賃貸借契約を解約すること、
②建物を解体すること、の2点が必要な状況です。
(売却を試みられたものの難しかったことを前提にしています。買い手が見つかるなら、建物を売却するのが一番良いです。)
このうち、①自体はそう難しくないです。契約書を確認の上、「●か月前(1年前)に申し出れば、契約を解除できる」という規定があれば、その契約通りに解約できます。記載がなくとも、更新年などを目安にオーナー側と協議できる可能性が高いです。
本件のような場合、②の解体費用のほうが、数百万円に及ぶ可能性が高く先に見積を取ってみるべきだと思います。基本的に、このまま行くと、地代も支払えなくなり、建物の解体費用も出せないなどと交渉すれば、義母様が自己破産することも前提に考えているなら、一部オーナー側から資金を出してもらっての和解などもできる可能性があるかもしれません。
以上が現状、今回の問題を解決する概要です。
ご相談のように、義母様を自己破産させるというのは、地代の不払いが続き、数年経てばできるかもしれませんが、「現在」ということであれば別に借金などがなければ基本的にはできません。相続せずにこの物件を処分したいとなると、相続の際に相続放棄という手続を取ることで可能ですが、仮に預貯金などがあっても、その財産も相続できなくなります。(都合の悪い財産だけ放棄するというのはできないのです。)
生活保護は借地権付住宅の処分に不利益になりますか?
特に関係ないですが、結局は、不動産をどう処分するか、特に今回は「解体費用」が生じるものなので、それをどこから捻出するのかが問題になります。その上で、生活保護というのはオーナーさんに対して、妥協させる要素になるかもしれません。
少し分かりづらくなってしまったかもしれませんが、
①現状、綺麗に解決したいなら、解体費用の見積もりをとって、解体するのが1番良い(ただし、解体費用が持ち出しになる)
②そうでなければ、オーナーさんには迷惑になりますが、このまま放置して、義母様が自己破産また相続の際に相続放棄というのも、法律的には一つの解決策です。
とりあえずは、①で動いてみるのが良いのではと思います。