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障害者の成年後見人をお願いしたいのです。
(1年前の記事です) 掲載日:2022/12/31
障害者の成年後見人はどこまでの仕事をしてくれるのか教えて下さい。
義理の母が亡くなりました。相続人は義姉の長女・私の妻(次女)・義弟の長男の3名です。実は長男が障害者で成年後見人をつけなければ実家の不動産処分が出来ないという事は存じ上げています。
しかしどういう手続きをすればいいのか分からないのです。そして誰にお願いすればいいのかいいのかも教えて頂きたいです。相続財産は幾らかの現金と自宅不動産だけです。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
この手続きは、司法書士か弁護士に依頼出来ます。成年後見人の仕事は、義弟さんに代わって遺産分割協議に参加することです。
H様の場合、自宅の不動産を売却し、現金の相続手続きを行うためには、成年後見人の選任を家庭裁判所に申し立てる必要があります。
この手続きを依頼できる専門家は、司法書士か弁護士です。不動産の相続登記から、売却までを段取りするという意味では、司法書士が適任かと思います。司法書士は、成年後見の申し立てだけでなく、不動産の名義変更の専門家だからです。
なぜ、成年後見人の選任申し立てが必要なのかというと、遺産分割協議に、障害を持っている義弟さんは参加できないからです。
ご家族がお亡くなりになって、相続が発生する場合、遺産を承継するためには遺産分割協議が必要となります。遺産の承継について相続人で話し合って、分配方法を決めるためです。
これは、遺産の中に不動産が含まれていて売却を検討している場合も同じです。不動産を売却するためには、一旦お義母様名義から、相続人名義にする必要があり、そのためには遺産分割協議が必要だからです。
ところが、障害を持っておられる方は、判断能力が十分ではないため、遺産分割協議に参加できません。そこで、このような場合、障害を持っておられる方の代わりに遺産分割協議に参加する「成年後見人」の選任を行い、成年後見人が代わりに遺産分割協議に参加しなければいけないこととされています。
以上より、障害を持っておられる義弟さんのために、成年後見人の選任申し立てを行う必要があるわけです。
この、成年後見人がどこまでの仕事をしてくれるかですが、上記の通り、成年後見人は義弟さんに代わって遺産分割協議に参加し、義弟さんに不利にならないように遺産の分配を行うのが仕事となります。
しかし、一旦成年後見人が選任されると、遺産分割協議後も義弟さんの財産管理をずっとし続けることとなります。例えば、施設への入所契約を行ったり、預金の管理を行うなど、生涯にわたって、成年後見人が財産管理を行うこととなります。
誰が成年後見人になるのかについては、最終的には家庭裁判所の判断となるため、必ずしも希望通りになるとは限りません。しかし、今まで義弟さんのお世話をしてきた家族を候補者とすることも、専門家を候補者とすることもできます。成年後見人の業務は、遺産分割協議が終わった後も継続しますので、慎重に選ぶ必要があります。
最後に、H様のお手続きには、①成年後見人選任の申し立て②不動産の相続登記③不動産の売買による所有権移転登記と、ケースによっては、④家庭裁判所への特別代理人選任申し立てなどの手続きも必要となることがあります。家庭裁判所の意向を確かめながら、最終的な不動産の売却へ向けて、手続きを選択したり、スケジューリングしたりする必要が出てきます。スムーズに売却を進めるため、手続きに習熟した司法書士へ相談することをおすすめいたします。
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