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親が会社を売却する予定です。
掲載日:2024/02/20
親が会社を経営しており、高齢の為、会社を売却する予定です。譲渡先は長年付き合いのある大企業です。先日「株式譲渡契約書」の下書きを受け取りました。
契約後の手続きで質問があります。
契約書の内容
(譲渡する株式数および譲渡価格)
本件株式譲渡における対象株式数及び対象株式の譲渡価格は、以下のとおりとする。
譲渡する対象株式数 600株
対象株式の譲渡価格 金 6000万円(1株当たり10万円)
契約後の月末に決算です。
決算書を確認すると
資産の部:売掛金と現金預金が残っています。
負債の部:買掛金と長期借入金(全額代表者が貸している)が残っています。
常に黒字でしたので利益剰余金はプラスです
決算書の見方が素人なのですが
売掛・預金>買掛金・長期借入金
株式譲渡契約の手続きで一旦6000万円をもらい
その後、決算書の内容でお金の精算があるのでしょうか?
売掛金が多い為、それも先方に渡すのでしょうか?
又はその分は頂けるのでしょうか?
利益剰余金は頂けるのでしょうか?又はこちらの手元に残るお金は株式譲渡金の6000万円だけなのでしょうか?
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
私がお答えします。
株式譲渡とは、売主は株式を譲渡する対価として現預金を受け取り、買主は譲渡対象企業の経営権を取得するという中堅・中小企業のM&Aでよく使われる手法です。
結論としては、現金6,000万円と対象会社に貸付けていた金額が売主の手元に残ります。
このケースでいうと、株式譲渡完了時に譲渡対価として6,000万円を現金で貰い、
長期借入金を対象会社が清算するのが基本的な流れになります。
譲渡価格の最終決定につきましては、基本合意時の譲渡価格を基準に交渉を進めていきます。
実務的にはクロージング調整を行わないM&A案件も多々存在し、中小案件ではクロージング調整を行わない案件も多く見られます。
オーナー経営者がM&Aで株式譲渡をした場合、株主である個人が株式を譲渡した場合は、分離課税で株式譲渡所得に対して所得税、復興特別所得税、個人住民税の税金がかかります。現行の税率は20.315%(所得税15%+復興特別所得税0.315%+個人住民税5%)です。
総合課税の最高税率は約56%なので、役員報酬(給与所得)複数年分とM&Aの際の株式譲渡金額が仮に同額であった場合は、税率の差額分だけM&Aの方が多くの手取り金額を得られるというメリットがあります。
ご質問を多く頂いています。回答には時間がかかる場合があります。