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M&A仲介業者との契約で注意すべきこと
(1年前の記事です) 掲載日:2023/06/16
都内で食品加工業を営む経営者です。
後継者不在で困っていたところ、M&A業者からM&Aの提案を受けました。
そこで、M&A業者と契約するうえで最も注意すべきことを教えてください。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
M&A業者との契約で最も注意すべきは「報酬」についてです。
なかでも報酬の内容、成功報酬の計算方法、最低報酬、テール条項については注意してください。
1 報酬の内容について
M&A業者が設定する報酬は、①着手金、②中間報酬、③成功報酬があり、その他にも④月額報酬、⑤相談料などがあります。
①~⑤すべて請求することはほとんどないと思います。
契約書で①~⑤のどれが請求されるのか、どのタイミングで請求されるのか、その価格はどのくらいかをしっかり確認してください。
2 成功報酬の計算方法
M&A業者は、成功報酬の計算方法として「レーマン方式」を採用しています。
一般的なレーマン方式は
基準となる価額 乗じる割合
5億円以下の部分 5%
5億円超10億円以下の部分 4%
10億円超50億円以下の部分 3%
50億円超100億円以下の部分 2%
100億円超の部分 1%
を基準に計算されます。
仮に買取価額を基準とすれば
・買取価額8億円の場合、
(5億×5%)+(3億×4%)=3700万円
の3700万円が手数料となります。
・買取価額2億円の場合、
(2億×5%)=1000万円の1000万円が手数料となります。
注意してほしいのが、「基準となる価額」が何かについてです。
株価レーマン、オーナー受取額レーマン、企業価値レーマン、移動総資産レーマンなどの種類があり、そのどれを使うかで手数料に1000万円以上の違いが出ることもあります。
必ず確認するようにしてください。
3 最低報酬
M&A業者によっては最低報酬を設けているところもあります。
上場しているM&A業者の最低報酬は2000万円ともいわれています。
成功報酬が最低報酬に満たない場合、最低報酬の価格が請求されます。
4 テール条項
テール条項とは、M&A業者から紹介を受けた取引の話が一旦は白紙になった場合において、当該業者との契約期間が満了した後その業者の関与なしに、M&A取引の話が復活して取引が成立したときは、一定の期間内についてのものは報酬が発生する条項です。
これはM&A業者が探してきた相手方との間で、その業者の関与なしで取引成立させて、報酬逃れを生じさせないための条項です。
中小企業庁はテール条項は2~3年以内を目安とするとしています。しかし、個人的には3年は長いと感じます。
長くなってしまいましたが、M&A業者と報酬で揉めるケースは近年増加しております。
また、M&A業者との契約においては、報酬面だけでなく、専任条項や業務範囲など注意すべき点は少なくないです。
契約書をよく読み、わからないところがあったら弁護士に相談するなどして、納得したうえで契約を締結するようにしてほしいです。
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