まちの仕事人インタビュー
AIと街の未来を自分たちの手で描く
ムーングラフィカ株式会社 代表取締役/ディレクター 吉岡 慎介 (よしおか しんすけ) さん インタビュー

1975年、千葉県生まれ。

インターネットに触れたことをきっかけに、「これからはコンピュータやインターネットの時代が来る」と感じる。

2006年に「ムーングラフィカ株式会社」として法人化。

ウェブ、映像、AIへ。経験をつなぎながら広がった仕事

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

インターネットに触れたことが、この仕事を始める大きなきっかけでした。

それまではコンピュータとは縁のない仕事をしていたのですが、インターネットの世界に触れ、「これからはコンピュータやインターネットの時代が来る」と感じました。

もともとはプログラマーになるつもりだったのですが、西千葉にあるデザイン事務所にウェブデザイナーとして就職しました。

当時はウェブ制作の立ち上げ期で、5人のウェブのクリエイティブチームの一員として仕事をしていました。

その後、Flashという当時注目されていたウェブアニメーションの表現技術に夢中になり、映像制作にも深く関わるようになります。

映像系の社会人学校にも通い、そこで学校長から「ウェブチームに加わらないか?」と声をかけられたことから、ウェブ制作の仕事もさらに広がっていきました。

そうして人とのご縁が重なり、2006年に「ムーングラフィカ株式会社」として千葉で法人化しました。

社名の「ムーン」には、子どもの頃から夕方や夜、深夜の時間帯が好きだったことや、街の中でいつも当たり前のように見えていた月への親しみがあります。幼稚園の頃のクラスが「月組」だったことも含めて、月には昔から不思議な縁を感じています。

法人化後は、まず千葉で2年活動し、その後、当時シェアオフィスの先駆けだった「co-lab三番町」へ移転しました。4年後には「co-lab渋谷アトリエ」に移り、さらに3年を過ごしました。子どもの誕生を機に千葉へ戻ってからは10年。2026年9月で設立20年を迎えます。

クリエイター専用のシェアオフィスだったco-labでは、第一線で活躍する建築家、エディトリアルデザイナー、グラフィックデザイナー、プロデューサーなど、多くのクリエイターに囲まれて過ごしました。そこで多くのことを学び、吸収した時間は、いまの仕事の幅や感覚にも大きくつながっています。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

現在は、「ウェブサイトの制作・運用」「映像制作」「AIアプリケーション開発」「音楽レーベルの運営」など、表現とテクノロジーを横断する事業を行っています。

中でも近年、特に力を入れているのがAI関連の仕事です。

ウェブサイトやウェブサービスの構築においても、AIの導入は急速に進んでいます。ただ、AIの力を最大限に引き出すために本当に重要なのは、ツールの使い方だけではなく、使う人自身のマインドや探究心だと思っています。

以前、イーロン・マスクが若い起業家へのアドバイスとして、「できるだけ人の役に立つことが大切だ」と話しているのを聞いて、とても共感しました。どれだけ多くの人に、どれだけ役に立てるか。その効用の総量を増やしていくことが、本当の仕事なのだと思います。

これはAIについて考えるときにも、同じことが言えるのではないでしょうか。AGI、つまり汎用人工知能にとって大切な価値観として、真理を探求すること、最大限の好奇心を持つこと、美しさを理解することが挙げられています。私はそれは、AIだけでなく人間にとっても同じだと感じています。

その実践のひとつとして、AIが詩を書き、曲をつくり、ミュージックビデオを制作するAIアーティスト『HEKATE』を発表しました。現在までに7枚の音楽アルバムをリリースし、TikTokでは16万フォロワー、YouTubeでは4万フォロワーを集めるなど、国内外から少なくない反響をいただいています。

さらに、千葉開府900年、そして千葉市が舞台として登場するSF小説の金字塔『ニューロマンサー』のドラマ化というタイミングを受け、都市体験プロジェクト『Chiba City Blues 2026』(以下「CCB2026」)も主催します。2026年10月〜11月に、千葉市地方卸売市場をはじめ、千葉市美浜・稲毛エリアを舞台に、大規模なイベントを行います。


フィクションのチバ・シティを、人間中心の未来へ書き換える

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どんなお客さまが多いですか?

お客さまの7割は県内で、学校法人やテーマパーク、企業から個人サロンまで、幅広いご依頼をいただいています。

ウェブ関係の仕事は、1度作って終わりになることはほとんどありません。まずはベースを作り、運用しながらアップデートしていく。そうして長いお付き合いになるお客さまが多いです。

一方で『CCB2026』は、普段の仕事で培ってきた技術や表現を、街の未来へ向けて開いていくプロジェクトです。

1984年にウィリアム・ギブスンが描いたSF小説『ニューロマンサー』には、テクノロジーのブラックマーケットの最前線として千葉市が登場します。

かつてフィクションが描いたサイバーパンクなチバ・シティを、自分たちの手で、人間中心のより良い未来=プロトピアへと書き換えたいと考えました。

イベントでは、「エコー」と「ループ」をコンセプトに、アートやマルシェを絡めつつ、音楽やプロジェクションマッピング、ホログラムなど、人とテクノロジーが交差する会場を創りあげていく予定です。

AI時代の都市と人間の生き方を、音と映像、そして街の中で体験的に探る社会実験として、ぜひ多くの方に参加していただきたいと思っています。


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仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

大切にしているのは、誰しも「美しさ」を持っているということです。そこにフォーカスし、それを必要としている人に正しく伝えることを心がけています。

それと、千葉にクリエイターを育てたいという想いもあります。

AIが当たり前になる時代だからこそ、人間の経験や感性、美意識がより重要になる。その力を千葉の街に根づかせ、より良い未来の原型をつくっていきたいですね。

CCB2026のクラウドファンディングがこれから始まります。ぜひ、ご参加、ご支援のほどよろしくお願いします。


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インタビュー後記

少子化、インフレ、戦争など、暗い話題の多い時代にあって、吉岡さんが見つめている未来は明るい。

AIを単なる効率化の道具としてではなく、人間の経験や美意識を拡張するための表現手段として捉え、さらにその実践を千葉の街へ開いていこうとしている。

自分たちの手で「より良い未来のプロトタイプ」を生み出そうとする姿勢は、とてもパンクだ。

お問い合わせ

名前:ムーングラフィカ株式会社

HP:https://moongraphica.com

AIアーティスト『HEKATE』:https://moon.gives

イベント『CCB2026』:https://ccb.moon.gives

*お問い合わせの際は、『千葉市民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。