まちの仕事人インタビュー
食でつなぐ、新しい働く場
ボンディッシュ株式会社 代表取締役社長 上形 秀一郎 (かみがた しゅういちろう) さん インタビュー

ボンディッシュ株式会社を経営している上形秀一郎さん。東京都千代田区一ツ橋に本社を構え、ケータリング事業と社員食堂事業を展開している。大学時代から起業に挑戦し、その後はデロイトトーマツグループで経営や事業成長について学んだ。現在は飲食業界の可能性に着目し、「食を通じて企業や働く人を支えたい」という想いのもと事業に取り組んでいる。ボンディッシュ株式会社では、都内5カ所のセントラルキッチンを拠点に、企業向けケータリングやキッチンレス社員食堂サービスを展開。食を単なる栄養補給ではなく、人と人をつなぐコミュニケーションの場として捉え、新しい働き方を支える仕組みづくりに挑戦している。

今の仕事を始めたきっかけを教えてください。

私はもともと大学時代から経営に強い興味を持っていました。子どもの頃はサッカー選手を目指していましたが、怪我をきっかけに将来について考えるようになりました。大学では経営を学び、ドラッカーをはじめとした経営学に触れる中で、「会社をつくり、社会に価値を提供すること」の面白さに惹かれていったんです。

卒業後はデロイトトーマツグループに入社し、さまざまな企業の経営課題に向き合いました。その経験を通じて、多くの経営者と出会い、事業を成長させる視点や考え方を学ぶことができました。一方で、外から支援するだけではなく、自ら経営の最前線に立ちたいという想いも強くなっていきました。そんな中で出会ったのがボンディッシュ株式会社です。もともと個人投資家として関わっていた会社でしたが、食の持つ可能性や事業の将来性に大きな魅力を感じ、自ら経営に携わることを決意しました。


会社設立までの経緯を教えてください。

ボンディッシュ株式会社は2003年に設立されました。もともとはレストラン事業からスタートし、その後ケータリング事業へと発展してきた会社です。私は創業者ではありませんが、個人投資家として関わる中で事業の成長可能性を強く感じていました。当時の私は、スタートアップへの出資や経営支援を行っており、いくつかの企業の成長にも携わっていました。その経験から、「支援する側」ではなく「経営する側」として事業を伸ばしたいという想いが芽生えていったのです。

ボンディッシュはケータリングにおいて高い品質とノウハウを持っていました。一方で、日本ではまだケータリング業界そのものの認知が十分とは言えませんでした。だからこそ、大きな可能性があると感じたのです。2018年に副社長として参画し、その後経営を担うようになりました。食の力で企業を支えるという新しい市場を切り拓いていきたいという想いが、今の原動力になっています。

会社の特徴を教えてください。

当社の最大の特徴は、ケータリング事業のノウハウを活かした「キッチンレス社食」です。一般的な社員食堂は現地に厨房を設置し、その場で調理を行います。しかし当社は都内に複数のセントラルキッチンを持ち、そこで調理した食事を企業へ届ける仕組みを構築しています。そのため、大規模な厨房設備がなくても社員食堂を導入することができます。

例えば高層オフィスビルやスペースに制約のある企業でも、会議室や空きスペースを活用して社員食堂を実現できます。厨房付き社員食堂と比較して、初期費用を10分の1に抑えながら、働く人たちに温かく美味しい食事を提供できるのが大きな強みです。また、単にお腹を満たすだけではなく、栄養バランスや見た目の華やかさにもこだわっています。食事を通じて社員同士のコミュニケーションが生まれ、職場の活性化につながるようなサービスを目指しています。

お客様と従業員にとって一番良い選択をする

お仕事で大切にしていることを教えてください。

私が経営において最も大切にしているのは、意思決定の優先順位をぶらさないことです。社内では明確な考え方を共有しています。まず第一にお客様、次に従業員、その次にステークホルダー、そして最後に未来の地球環境です。

企業経営ではさまざまな判断が求められますが、その時に何を優先するのかが非常に重要です。お客様に喜んでいただけるサービスを提供し、従業員がやりがいを持って働ける環境を整える。その結果として会社が成長し、株主や社会にも価値を還元できると考えています。

実際に大きな経営判断を行う際も、この考え方を基準にしてきました。目先の利益だけではなく、関わるすべての人が長期的に幸せになれる選択をすること。それが私の経営の軸になっています。

この仕事のどんなところが好きですか?

飲食の仕事の魅力は、お客様の喜びを直接感じられることだと思います。例えば、提供した料理を美味しいと言っていただけること。社員食堂で食事を楽しそうに囲んでいる姿を見ること。そうした瞬間に大きなやりがいを感じます。

私はこれを「非金銭的な報酬」と表現することがあります。もちろん事業として利益は大切ですが、それ以上に誰かの役に立っている実感を得られることが、この仕事の大きな魅力です。特に食には人を笑顔にする力があります。企業の懇親会やランチの時間を通じて、人と人との距離が縮まる場面をたくさん見てきました。そうした価値を生み出せることが、この仕事の一番好きなところです。


今後やりたいこと等、展望を教えてください。

当社のビジョンは、受託飲食の分野で日本一を目指し、ケータリングの分野では世界に通用するサービスをつくることです。

コロナ禍を経て、オフィスの役割は大きく変化しました。単に仕事をする場所ではなく、人が集まり、交流する場所としての価値が求められています。その中で食事の役割はますます重要になっていると感じています。

今後はさらにセントラルキッチンの拡充を進め、より多くの企業にサービスを提供していきたいと考えています。また、日本の食文化やおもてなしの精神は世界でも高く評価されています。和食とケータリングの組み合わせには大きな可能性があると感じており、将来的には海外展開にも挑戦していきたいですね。食を通じて働く環境をより豊かにする。その挑戦をこれからも続けていきたいと思っています。

成功哲学を教えてください。

私が大切にしている言葉は「毎日感謝、毎日挑戦」です。感謝の気持ちを持つことで、自分一人ではなく多くの人に支えられていることを実感できます。経営者として成長できたのも、多くの先輩や仲間、お客様との出会いがあったからです。

そしてもう一つが挑戦です。社会や市場の変化が激しい時代だからこそ、現状維持ではなく常に新しいことに挑戦し続ける必要があります。挑戦をやめた瞬間に会社も個人も成長が止まってしまいます。

だからこそ、感謝の気持ちを忘れず、新しい価値づくりに挑み続ける。この二つを毎日の行動指針にしています。会社の成長も、自分自身の成長も、その積み重ねの先にあると信じています。




インタビュー後記

上形さんのお話を伺い、最も印象的だったのは「食を通じて人をつなぐ」という考え方でした。社員食堂というと単なる福利厚生の一つというイメージを持っていましたが、ボンディッシュ株式会社では、コミュニケーションを生み出す場として食事を捉えていることに驚かされました。

また、経営判断の基準として「まずお客様、次に従業員」という考え方を徹底されている姿勢にも強い信念を感じました。感謝と挑戦を大切にしながら、飲食業界の新しい未来を切り拓こうとする上形さん。今後、社員食堂やケータリングの世界にどのような変化をもたらしていくのか、とても楽しみになったインタビューでした。

お問い合わせ

ボンディッシュ株式会社

東京都千代田区一ツ橋1-2-2 竹橋ビル16階

TEL:03-5725-8905

HP:https://www.bondish.co.jp/

*お問い合わせの際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。