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私の債権は回収不能なのでしょうか?
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/11
父が借地(借地権は未登記)に建物を所有(昭和60年に中古購入)しておりました。建物には子である私の金銭消費貸借に伴う抵当権がついております。また、この建物は老朽化しており、いまにも崩れそうな状態です。
実は地主から再開発に伴い土地建物を買いたいと言ってきて、話を進めている途中で父が他界してしまいました。父は事業をしていたため、最終的には負債が多いので親戚一同相続放棄をしました。私は債権者として相続財産管理人を立てて少しでも債権を回収したいのですが、地主は建物の老朽化に伴い金銭補償なく契約を解除すると言ってきました。
私の債権は回収不能なのでしょうか?
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
S様からお父様にお金を貸していて,お父様のご自宅に抵当権をつけているという理解をもとにご説明いたします。
相続放棄をしたのであれば,はじめから相続人ではなかったことになりますから,お金の貸主と借主の地位が同一人になって債権が消滅する(混同)ことはありません。
ひとりの債権者として相続財産にかかっていくことは可能ですが,全員が相続放棄して相続人が不存在の場合は,家庭裁判所に相続財産管理人の選任を申立て,その人を相手に貸金の返還や抵当権の実行を行うことになります。
また地主としても,相続人が不存在になってしまった場合は,地代を請求したり,契約終了を持ちかけたりする相手がいなくなってしまいますので,勝手に解除することはできず,同じく相続財産管理人の選任をする必要があります。
ところで,相続財産管理人には,通常弁護士が選任されますので,その報酬の確保が問題となります。そもそも負債が多いという時点で,プラスの財産はそんない多くはないでしょうから,相続財産の中から報酬を確保することは困難であることが多いと思われます。そのような場合には,裁判所は申立人に数10~100万円程度の予納金を用意させ,報酬に当てます。
相続財産の価値がある程度以上残っていれば,そこから報酬を工面すればよく,予納金も返ってきますが,実際にはなかなか無いケースだと思われます。したがいまして,回収は不可能ではありませんが,予納金を支払ってまで回収する価値があるかどうかはケースバイケースになると思います。
具体的な情報があれば,もう少し詳しいご説明ができると思いますので,一度弁護士にご相談ください。