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夫名義の別荘を売却したいのですが前妻の子供と連絡がつきません。
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/06
先日夫が亡くなりました。お互いバツイチ同士の再婚で夫には前妻との間に子供が1人いて私には子供が1人います。
今回の問題は夫名義の別荘です。自宅の住宅ローンは銀行の生命保険で何とかなると思いますが、河口湖の別荘は私の生活には必要でなく維持していくのは大変なので売りに出そうと思います。
前妻の子供は音信不通でどこにいるのかわからず探しようがありません。連絡がつかず葬儀も私と私の子供2人で火葬のみで済ませた関係上、前妻の子供は実父が亡くなったことは知らないと思います。
夫の医療費に莫大なお金がかかっていて今家にお金がありません。その上別荘もこのご時世すぐには売れないと思います。こういう場合はどうすればよいでしょうか?
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
ご主人の連れ子さんも法定相続人ですから,遺言が無い以上は,別荘も2分の1ずつの共有になっています。
そうしますと,そのまま売却するならお二人で協力して行う必要がありますし,どちらかが単独取得するには遺産分割協議等をして協議書を作成しなければなりませんので,いずれにしても連絡をとる必要があります。
なお,連れ子さんに連絡がついたとして,家庭裁判所に対して相続放棄の申述をしてくれたら単独相続することができますので,協議は不要になります。
普段連絡をとっていなくても,戸籍をさかのぼって調査すればそこから住民票上の住所を探し出すことはできますので,まずはそこに手紙を送るという方法があります。
一方,住民票上の住所地にいないとなると,当人とは協議はおろか調停もできませんので,その場合には裁判所に不在者財産管理人の選任を申し立てて,裁判所が選んだ弁護士等の不在者財産管理人との間で分割協議をするという方法が考えられます。
不在者財産管理人の報酬を負担することにはなりますが,裁判所の許可を得れば共有不動産の売却を行うこともできます。
その他に,連れ子さんが生死すら不明という場合には失踪宣告という制度を使うこともできます。
生死が7年明らかでない場合(普通失踪)や,戦争や災害などの生死にかかわる危難から生死が1年明らかでない場合(特別失踪)は,裁判所が失踪宣告を出すことで,法律上死亡したという扱いにできるというものです。
連れ子さんが失踪宣告を受けた場合,さらにその相続人を相手にしなければならないケースもあります。
さて,何らかの方法で遺産分割ができ,別荘を売却する準備が整ったとしても,買ってくれる人がいなければ売ることはできません。
なかなか別荘に買い手がつかないというのは,ご指摘のとおりです。
使用する利益よりも維持費や固定資産税の方がかかるというのであれば,どんなに安くても,場合によってはこちらから手数料を払ってでも譲り受けてくれる人または業者を探すことになると思います。
以上のように,別荘の処理は大変な課題がありますので,なかなか手を出しづらいかと思います。
とはいえ,この課題はそのままいずれお子様にも引き継がれていくものですし,代が下るにつれて関係者の人数も増えていってより手続きが煩雑になる可能性もありますので,お早めに対応されることをお勧めいたします。