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認知機能が低下した株主への対応
(1年前の記事です) 掲載日:2023/07/28
都内で小さな製造業を営む経営者です。自分は元気だからと事業承継を後回しにしていました。
しかし、コロナ禍を経て何が起こるかわからないということをまざまざと見せつけられたので、重い腰を上げ、我が社をM&Aで売却することにしました。
私の会社は、私が90%の大株主です。
残り10%の株式のうち、2%を保有する親戚Aの認知機能がここのところ低下しており、うまくコミュニケーションが取れません。
コンサルタントから、M&Aでは株式100%譲渡が基本ですと言われており、親戚Aの株式2%の取得に頭を悩ませています。
どうすればよろしいでしょうか。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。
弁護士に相談することをおすすめします。
後継者不在プラス経営者高齢化の問題の裏で、株主の高齢化の問題も顕在化しています。
現在の会社法では株主1人で起業が可能です。
しかし、約35年前の平成2年商法改正前においては、株式会社を設立するうえで最低7人の株主を必要としました。
その結果、名義だけの株主が発生し、事業承継のタイミングでそのケアが必要になるケースが出てきています。
以前も区民ニュースでお伝えしましたが、中小企業のM&Aにおいては株式の100%譲渡が基本です。
したがって、たとえ1%であっても買い手企業に譲渡できるよう準備しなければなりません。
今回2%の株式をもつ親戚Aの認知機能が低下しており、うまくコミュニケーションが取れないということです。
この場合、弁護士的には、成年後見制度の活用を思いつき、家庭裁判所にご相談ください、とのアドバイスが思い浮かぶかもしれません。
しかし、成年後見制度においては、本人や当該株主の家族がその利用を反対することが往々にしてあります。
また、成年後見の審判は3ヶ月程度かかり、それだけでM&A取引をストップさせてしまいます。
そうすると成年後見制度を利用せずに、なんとか問題にならないよう策を講じることも検討しなければなりません。
契約書でフォローしたり、当該株主の家族から反論されないような施策をしたりと検討できることはいくつかあります。
具体的にはM&Aに詳しい弁護士に相談することをおすすめします。
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