まちの仕事人インタビュー
【児童発達支援という選択肢】親子が共に輝ける場所を作りたい
株式会社共輝 代表取締役 神立 雅裕 (こうだて まさひろ) さん インタビュー

設立:2018年

住所:板橋区赤塚新町

事業:児童発達支援、保育所等訪問支援、相談支援


今回取材に伺ったのは、児童発達支援の教室を運営する株式会社共輝。「発達支援」という言葉を聞くと、「障がい」のように捉えてしまいがちですが、必ずしもそうではないと言います。子育てに悩むすべての親御さんに知って欲しいと語る神立社長の想いについて、教えていただきました。

事業の内容について

私たちは、児童発達支援という福祉サービスを通じて、お子さん一人ひとりの特性に合わせた支援を行っています。現在は板橋区内に赤塚教室と下赤塚教室の2拠点を構え、主に未就学児(0歳~6歳)を対象にした支援を展開しています。いわゆる「障がいの診断」を受けたお子さんに限らず、子育てに悩みを感じているすべてのご家庭が対象となります。「ちょっと育てづらい」「言葉が遅い気がする」「落ち着きがないかも」といった不安を感じたときに、気軽に来ていただける場所を目指しています。

走り回って遊べる部屋もあります


通所にかかる費用は、3歳以上の子は幼児教育無償化の対象のため無料で、3歳未満の子は1回1,500円程度です。これは児童福祉法に基づく制度で、利用料の9割を国と自治体が負担しています。収入に応じた上限設定もあるため、安心して利用いただける仕組みとなっています。

お子さん自身には「楽しい場所」と感じてもらうことを大切にしていますが、実際には保育士や公認心理師、言語聴覚士など専門性のある職員が、一人ひとりの状態に合わせて教材や声かけ、接し方を変えています。具体的には、遊びの中に自然と「気持ちを伝える」「自分で決める」「感情をコントロールする」といった練習を盛り込んでいます。

また、親御さんとも時間を共有し、マジックミラー又はモニター越しに様子を見ていただいたり、直接お話したりと、家庭との連携も大切にしています。お子さんが集団の中に入っていけないと、親のしつけが悪いと言われてしまうこともあり、辛い思いをしている方は多いです。相談相手がいないことに悩む親御さんたちが気軽に話をできて、通っているうちにだんだん笑顔になっていく場所を目指しています。

事業所の名前「共輝(ともき)」には、“子どもだけでなく、親も一緒に輝ける場所にしたい”という想いも込めました。

マジックミラー越しに

外から子どもを見守れます

事業を始めた経緯

私はもともと調理師として働いており、教育や福祉の分野には全く縁がありませんでした。そんな私が児童発達支援の道に進んだきっかけは、仕事や家庭を通じて困っている人が、社会とうまくかみ合わずに孤立してしまう現実に何度も直面したことです。

見た目には分からないけれど、数字だけが理解できない人、言葉が出にくい人、自分の気持ちをうまく表現できずに苦しんでいる人。そういった方々と接する中で、「もっと早く適切な支援を受けられていたら違ったのかな」という気持ちが生まれました。

また、私自身も3歳まで言葉出ず、今でもコミュニケーションが苦手で人と仲良くしたいのにそれがうまくできない寂しさのようなものがあります。障がいかどうかにかかわらず、早いうちからの教育で「人と仲良くしたい」という気持ちがあるなら人との距離感や接し方を身に付けてもらいたい。そうした個人的な思いもあって、「一人ひとりの特性に合った関わり方ができる場所をつくりたい」と思うようになりました。

子どもたちが模様を付けたかたつむり


私たちは一人ひとり違うリズムで、違う色を持っています。その特性は決して「できないこと」ではなく、「その人らしさ」なのだと思います。けれど現実には、その特性が社会の枠組みとの違いで、「うまくできない」「わかってもらえない」と感じてしまうことがあります。その人と社会がうまく合わなければ、その人が本来持っている力が発揮される前にかき消されてしまうのです。

例えば、靴はサイズ、用途が合わないと、どんなにいい靴でも歩きにくいです。私たちにとってもそれは同じで、「その人にぴったりの環境や関わり」があることで初めて安心して「社会」へ歩き出せるのです。

私は会社を立ち上げ、その人にとっての歩きやすい「靴」を合わせる役割を担いたいと思いました。社会の中で、もっとのびのびと自分らしく歩いて行って欲しいのです。


大切にしていること

子どもにとって

たくさんのおもちゃがあって楽しい場所。そして、自分の気持ちをちゃんと聞いてもらえる場所。大人の言うことをただ聞くだけではなく、「今、どう思ってる?」と対話を重ねる中で、気持ちの折り合いを学んでいきます。

保護者の方にとって

「他の子と比べられない」「怒らなくていい」「謝らなくていい」そんな気持ちになれることが大事だと考えています。日々のちょっとした出来事を職員に話すことで、少しずつ笑顔が増えていく。そういう変化を大切にしています。

職員にとって

運営していく中で、一番大変なのは「人」の部分です。理想としては、さまざまな年代・性別の職員が在籍し、子どもたちが多様な大人と関わる経験ができる環境をつくりたいと思っていますが、採用は簡単ではありません。

それでも子どもが好きで、まっすぐな思いを持ったスタッフが集まり、現場で日々工夫を重ねてくれています。職員が楽しくないとお子さんたちを楽しませることは出来ないので、スタッフの個性も尊重し、それぞれのやり方や想いを大切にする。そんなチームでありたいと考えています。

これからのビジョン

今後は、より多くの方に「こんな場所があるんだ」と知っていただくために、SNSを活用した情報発信にも力を入れていきたいと思っています。インスタグラムを中心に、教室の雰囲気や活動内容を発信し、気軽に見学や体験に来ていただけるような空気感をつくっていきます。

また、現在は赤塚・下赤塚に2教室を構えていますが、それぞれに違った特徴があります。教室ごとに職員のアイデアを反映し、その子に合った支援を届ける。今後もそんな現場主導の運営を続けながら、必要としているご家庭に手が届くよう、少しずつ拠点を増やしていきたいと考えています。加えて、未就学児だけでなく、小学生にもアプローチしていきたいです。

子どものために、親のために、スタッフのために。「共に輝く」場所を、これからも育てていきます。

インタビュー後記

障がいがあってもなくても、子育てに関する悩みというのは親にとって尽きないものだと思います。発達支援の教室に行くとなると、子どもに障がいがあることを認めてしまうようで気が進まない方もいるかとは思いますが、神立さんの話を伺って、子どものためにも、自分のためにも通ってみたいと感じました。通っているうちに親が笑顔になって、明るくなっていくという言葉が印象的でした。この教室に限らず、自分の地域内で同様の施設を探してみるのもいいかも知れません。

お問い合わせ

株式会社共輝

〒175-0093

東京都板橋区赤塚新町2丁目11番3号  ドエルブローニュ1A

TEL:03-6326-5804

HP:https://tomoki.tokyo/

Instagram:

下赤塚教室 @canday_shimoaka

赤塚教室 @candayakatsuka



*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。