私が小学生の時のお話で、まだ、平成ではなく、まだ日本は昭和と言われていたころのお話です。世の中では、プレイステーションでもなくSWITCHでもない、いわゆる「ファミコン」が超ブームの時代のお話です。

 

忘れもしない真冬の寒い時期に、地元の量販店で当時なかなか手に入らない『ドラゴンクエスト3』が数量限定で発売するとのことでした。しかも、予約できない為、いち早く並んだもの勝ちということで、小学生の頃の私は目覚まし時計を4時にセットし、日曜日の朝早く友達と待ち合わせをして、『ドラゴンクエスト3』が欲しくて自転車を漕いだのでした。

 

目的のお店に到着した時には、大行列が出来ており、子供ながらに「こんな田舎町に、こんなに人がいたんだ・・・」って驚くくらいの大行列。その日は日曜日いうこともあって大人も子供も並んでおり、ワクワクしながら待っている者、寒さをしのぐためにホットコーヒーをすすりながら開店を待つ者、私たちのようにクラスメイトと一緒に並んでいる者、様々でした。

 

開店前に店員さんが整理券を配りはじめました。入荷数分の整理券が1枚1枚配られていく中で、私たちの少し手前で「大変すみません。今回の入荷分の整理券が終了いたしました。またの入荷の機会にご来店くださいませ!!」という店員さんの大きな声に、今日は『ドラゴンクエスト3』は購入できないという事がわかりガッカリしてしまいました。

 

その時、ガッカリしている私を見つけて同じ野球チームの上級生が近づいてきました。上級生は私に「買えなかったの?」と聞いてきたので、私も「はい」と答えました。上級生は「俺は今回整理券もらえたから、予約しているお店の権利をあげるよ」と言われましたが、4時に起きたのに買えなかったというガッカリ感は拭えないまま家に帰りました。

 

そして、その日の午前中に自宅の電話がなりました。電話口は先ほどの上級生でした。内容は予約していたお店から『ドラゴンクエスト3』が入荷されたから権利を私にあげるという内容でした。私は今日の朝に整理券を獲得できずにガッカリしていたのがウソのような笑顔で小躍りしながらその上級生と一緒に目的のお店に自転車を走らせました。

 

そのお店に到着しお店の人とお話した私は、更なるガッカリ感を味わうことになるのです。

そのガッカリ感とは、『ドラゴンクエスト3』は単体では売っていなくて、『源平討魔伝』と『ナッツ&ミルク』と『ドラゴンクエスト3』の3本をセット1万〇千円で販売というもので、いわゆる抱合せ販売というような販売方法だったのです。

 

小学生の私には『ドラゴンクエスト3』の代金しか持っていなかったし、当時はそのような商売方法は違法だよという知恵も無かった為、肩を落としながら半泣きで家に帰ることになりました。

 

とここまで長々としゃべりましたが、先日、とある介護施設の施設長さんから私に電話がありました。電話の内容は、入居者が亡くなって、入居者のご家族が決めていた葬儀社さんに供花を注文したら『2万円からになります』と言われたそうです。

 

その施設の決まりで1万5千円までは会社が負担してくれるし、その葬儀社さんのホームページでも供花は1万5千円からとなっているので、その旨を伝えると葬儀屋さんは頑なに『2万円からになります』の1点張りだったそうです。

 

これは抱合せ販売ではないかもしれませんが、コロナ禍で売上が下がってしまった葬儀社が売上確保の為に少々一方的な方法だなって思ってしまい、ふと、子供のころのあの店員さんの顔を思い出しました。

 

だけど、葬儀社のみなさん!!わずか5千円上乗せしただけで微増の売上を喜でいるのかもしれませんが、施設長さんは私に『あそこには頼まない』って言っていることに気づいていますか?

 

コロナ禍で落ち込んだ売上をどうにかしようという企業努力は必要ですが、安易なやり方だとみなさんには良く思われていないことがありますから、少し目先を変えてお客様の声を聴いてみてはいかがでしょうか??

 

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著:一級葬祭ディレクター 小林大悟