『私の葬儀は「家族葬」でお願いしたいと考えております。』ご相談にお見えになったお客様からこのフレーズを耳にするようになってからどのくらいが経つでしょうか。今ではコロナの影響ではありますが『火葬だけでいい』とか『親戚も呼ばないで』など、いわゆる『火葬だけ』で済ませてしまおうと考えている方も少なくありません。

コロナ以前は、『火葬だけ』をお選びになられたご家族は、どちらかというと金銭的な理由ということが多くて、『本当はやってあげたいけど・・・』というお気持ちはお持ちだったと思われます。

 

しかし、コロナ以後は葬儀だけでなく、いろいろなものが変わっていきました。外出する際にマスクをこんなにもつけて歩いた記憶はないですし、電車の窓が開いているのは普通の光景になりましたよね。また、働き方にも変化がでて、政府もテレワークを推奨し、テレワークを実施する企業も増えました。

 

私は『葬祭ディレクターがどうやってテレワークをするんだよ!!』って思っていましたが、意外にもリモートで取引先と打合せをしたりして重宝している自分に驚いております。

しかし、そんなリモートワークについてのお話しで、とても考えさせられた事がありました。

 

そのお話しというのは、ある方の同僚の方がお亡くなりになったというお話しです。実は、その日亡くなられた方が主催のオンライン会議があったのですが、主催者である彼がオンライン会議に参加して来ない事を不審に思った他の社員が家に行ったら彼が倒れていたそうです。脳出血で倒れていたらしく、死後5日ほどが経過していたそうです。

 

数日前に出したメールに返信がなかったのですが、当日連絡がないことはさすがにおかしいという事になったから、自宅に様子を見に行ったことで発覚しましたが、タラレバのお話しをしても仕方ないのですが、リモートワークじゃなければ助かった命だったかもしれないと思うと同僚たちは『なんで?どうして?』という思いが大きいと思います。

 

更には、この方のお葬式は、コロナ禍という事もあり家族だけで済ませたそうです。という事は会社の同僚たちは、彼と何も前触れもなくお別れとなってしまい、お話しも出来なくなり、会社に出社していれば、彼を偲んで思い出話しくらいできるだろうけど、リモートワーク中にわざわざオンラインで『彼の死について』お話しするわけでもなく、『ただただ、彼の死を消化できないでいる』とお話ししてくださいました。

 

続けて、『(自分自身も)家族葬で良いと思っていたが、それは家族目線だけの意見であり、仲の良い友人や周りの方にとってお葬式って節目であり死を消化できる要因になるんだな』って感じたそうです。

 

私自身、葬祭ディレクターとして伝えなければいけない事として、お葬式は最後に『ありがとう』『お世話になりました』を故人に伝える場所であり、『そういえば、よくあんなことを言っていたよね。今思うと自分に向けて言っていたのかもしれない』という言葉こそが、旅立たれた方のあなたに向けた最後のメッセージだと思います。そんな素敵なものを受け取りに行くことがお葬式に参列する事だと思います。

 

今回、このお話をしてくださった方が言っていた言葉は『生も死も本人だけのものではない』全くその通りだと思いますし、私を含めて、葬儀屋さんやお坊さんがお葬式をする意味、供養をする意味をもっと伝えていければと思うのです。

 

こちらのブログをご覧のお葬式のご相談をご希望されている方は、メールにてお葬式の事前相談を実施しております。あなたがもしもの時に慌てない為にも是非ご活用ください。

d.kobayashi.sousaidr1@gmail.com(1級葬祭ディレクター  小林大悟  相談メール)

 


著:一級葬祭ディレクター 小林大悟