葬儀一式を謳う葬儀会社の裏側は?
前回のコラムの中で、
『葬儀一式15万円』という業者があって金銭トラブルになるという話をさせて頂きました。
そんな中、まさに3月27日にとある業者が消費者庁より景品表示法に基づく課徴金納付命令が出ました。
原文のままご紹介すると
自社ウェブサイト内の「全てセットの定額」と表示のタブをクリックすることにより表示されるウェブページにおいて「必要なものが全てコミコミだから安心 この金額で葬儀ができます」、「家族葬 これっきり価格418,000円(税込)通夜、葬儀を身内だけで」、「全てセットの定額」、「葬儀に本当に必要なものだけに絞った、格安葬儀プランです 下記の費用で葬儀を行えます」及び「全て揃った定額、必要なもの全てセット」と表示することにより、あたかも本件役務の提供に当たって必要な物品又は役務を追加又は変更する場合でも、表示された価格以外に追加料金が発生しないかのように表示していた
実際には少なくとも寝台車又は霊柩車の搬送距離1回最大50キロメートルを超える場合、葬儀社等における安置日数が4日を超えてドライアイスの追加が必要となる場合、火葬場利用料が1万5000円を超える場合又は式場利用料が5万円を超える場合には追加料金が発生するものであった。
という内容である。
まぁよく出るわ出るわですよね。
私の経験で言わせて頂くと、このような表現を使って宣伝している葬儀社は、追加料金が発生しないで葬儀を施行出来ない。ということ。
全国にたくさんの葬儀社があり、その葬儀社により様々なセットプランが存在します。
どのセットプランでも『全て』を賄うのはかなり難しい問題だと思います。
なぜ難しいのか?
上記の業者を例にとると、この会社は葬儀社でなく、葬儀社を紹介しますよ!の仲介業者であること、それに全国で同じ金額で施行するというのはあり得ないということ。
私も営業マンとして『無理』という言葉は使わない主義ではありますが、本当に『無理』なんです。
火葬場利用料が1万5000円を超える場合は追加料金?公営で無料な火葬場の地域の宣伝ならまだしも。
式場利用料が5万円を超える場合は追加料金?公営式場でも5万円以上かかる地域もあるからそりゃほぼ追加になるでしょ。
ということなのです。
葬儀業界の人間なら知っていることもご葬儀を出されるご遺族の方たちは知らないことがほとんど。
葬儀一式〇〇円という表現だと通夜・葬儀告別式を思い浮かべる方もいると思いますが、実は『直葬』と呼ばれる『火葬のみ』である葬儀社もある。
なぜなら『火葬のみも立派な葬儀の一種』であるからです。
なぜこのようなことを書かせていただいたかと言うと、上記の業者が悪い業者だということが言いたい訳じゃなく、そういう表現には含まれていない金額があるということを覚えておいていただき、もしもの時、万が一の際にお役に立てればと願い書かせて頂きました。
良い葬儀社さんもたくさんあります
皆さまの大切な方のご葬儀、どうしたいか?そのご希望を実現するにはいくら位の予算がかかるか?など私達に仰ってください。
ご葬儀というのはご遺族の方と共に作り上げていく、たった1回しか行えない大事なお式ですから。
著:一級葬祭ディレクター 小林大悟