まちの仕事人インタビュー
迅速で正確、美しい紙面をお届けする
株式会社読売プリントメディア 代表取締役社長 安達 啓史 (あだち ひろふみ) さん インタビュー

株式会社読売プリントメディア代表取締役社長。1962年新潟県生まれ。芝浦工業大学工学部卒。趣味は小学生の頃から習っているエレクトーン。ヤマハ演奏グレード5級の腕前でSNSにオリジナル曲も投稿中。大学卒業後、読売新聞社(現:読売新聞東京本社)へ技術職として就職。新聞製作自動化の黎明期に入社し、現在の印刷技術の基礎を作り上げることに貢献。北は北海道から南は九州まで関西地区以外の全ての印刷工場の運用に携わる。部長職を経た後に株式会社読売プリントメディアの取締役総務労務経理担当に就任。2020年4月から現職。

大学の専攻は金属工学であったと伺っています。なぜ全く無関係の印刷業界をファーストキャリアとして選ばれたのでしょうか。

印刷業界に技術革新が起きていたからです。私が入社した当時の新聞印刷は、鉛を溶かして版を作り、それで印刷をしていました。しかし当時はコンピューターが出始めた時代。新聞印刷にもコンピューターが導入され、印刷工程の自動化が急がれていました。そのような技術革新に最前線で関わりたい。そんな思いから印刷業界をファーストキャリアに選びました。


技術革新のただなかでの仕事はさぞエキサイティングだったと思います。当時はどのような仕事をされていたのですか。

印刷に限らずいろいろな仕事に携わってきました。最初は印刷関係の技術を中心にしていましたが、その後はシステム開発や運用も担当しました。記者が入稿した記事や写真データを、紙面に早く正確に落とし込むにはどうしたらいいのかや、環境に優しいインキや紙の開発をメーカーと一緒に考えるということもしていましたね。「こういったものが作れないか」と提案し、メーカーさんの技術力もお借りしながら印刷機をカスタマイズしていく。試行錯誤しながら、環境面でも効率面でもより優れたモノを作ることに没頭していました。

そういった試行錯誤の末に、現代の印刷機のスタンダードができあがったわけですね。今の仕事で大切にしていることはあるのでしょうか。

迅速で正確、美しい紙面を提供することが私たちの使命であると考えています。新聞は、記録としてカタチが残るものです。いち早く正確な情報を伝える必要がある一方、印刷ミスなどで間違った情報を伝えることは許されません。スピードと正確性。少しのミスで共存できなくなってしまうものを我々は毎日世の中に発信し続けているのです。これを体現し続けるためには、日常から安定した運用ができるよう、意識を持ち続けることが重要だと思っています。しかし、何よりも大切なのは社員にやりがいや楽しみを持って仕事をしてもらうことです。充実したワークライフを過ごしてもらうにはどうしたら良いか、何か工夫することは無いかを常に考えるようにしています。


印刷機が見えるエントランス

迅速・正確・美しい。これを150年間、毎日継続しているのですから驚きです。御社の将来展望を教えていただけますか。

まずは、今の印刷体制の継続。それと、地域の皆さんに親しみを持ってもらえるような工場になりたいですね。弊社は北区、江東区、府中市、横浜市の印刷工場4か所の他に千代田区大手町にも事業所があります。加えて、新聞印刷関連以外にも東日本・九州地域の22か所の印刷工場の運用管理や、DTP・営業部門、新聞輸送トラックの運行管理、宅配輸送トラックの運行管理、取材用自動車の配車管理など、幅広い業務をしています。メインの新聞印刷は、読売新聞だけでなく他社新聞、地域広報紙など多くのお仕事をいただいており、おかげさまで大変忙しい状況です。引き続き様々なお仕事の相談を受けることが出来るように設備を維持していきます。もうひとつ。新聞印刷は、日常の中でなかなか目にしていただく機会がありません。地域の方でもおそらく、「近くに大きな工場があるな」というくらいの認識かと思います。ただでさえ理解されにくい工場が、地域の方にとって邪魔であったり害になってたりしているとすればそれは一大事です。私たちのように情報を扱う仕事は信用が最も重要です。そして、信用してもらうためには、親近感をもってもらうことが大前提になります。地域の方が身近に感じる工場になりたい。そのような思いから今後は一層、地域活動に力を入れていきたいと思っています。


BtoBビジネスでもここまで地域に配慮してきたからこそ、長く事業運営できているのですね。地域活動とは具体的にどのような活動をされているのでしょうか。

たとえば、無料で工場見学を実施しています。工場内には資料館もあるので、新聞の歴史や明治から大正時代の新聞など、貴重な資料も展示しています。また、3年前からロケーション事業もはじめました。これは私たちの工場をTVやCMの撮影ロケ地として活用してもらうものです。利益のためというより、近隣の方や社員に「知っている場所が出ている」「働いている場所が出ている」と工場に親しみを持ってもらいたいという思いからスタートしています。スタート当初は正直、「仕事がくるのか」と心配をしていました。ただ蓋を開けてみると、かなりの件数のお問い合わせをいただき、多くのテレビ番組や映画、CMなどでご利用いただいている状況です。お問い合わせの中には、私たちの工場だけで対応できない依頼もありますが、そんなときは読売新聞グループの施設をご紹介させていただいています。今は「知っている場所が出ている」と地域の方に親近感をもってもらうことがメインですが、今後は地域の方も巻き込んでロケーション事業を展開していきたいですね。たとえば、制作会社から「このあたりのお宅やお店で撮影させてもらえるところないですか」という相談をいただくことがあります。こういう相談があったとき、私たちが間に立って、自宅やお店を撮影で貸したい地域の方と、制作会社を紹介しあうような仕組みの提供ができればなと。私たちが、貸主さんに対する保証や料金など、制作会社との交渉を代行。貸主になってくれた地域の方が安心して自宅やお店をレンタルしてもらえるような仕組みができれば、地域活性化のきっかけにもなると思うのです。こういう活動を通じて私たちを身近に感じてもらえるようなことも今後考えていきたいと思います。


資料館の案内をする安達さん


大正天皇即位時の新聞(現物)

地域住民と制作会社の橋渡しになるというのは素晴らしいアイデアですね。自宅やお店を貸したいというお話は、一個人からの相談でも受け付けているのでしょうか。

もちろんです。お店の経営者でなくても、サラリーマンや主婦の方でも「たとえばどんなことができるのか」とお気軽に相談をいただければと思います。制作会社としても一箇所で多くのシーンの撮影ができれば、移動コストも抑えられますし役者さんのスケジュール調整もしやすくなるというメリットがあります。自宅や部屋、お店だけではなく、マンションの駐車場などロケ地ニーズは無数にありますので、ご相談いただければ、それぞれの状況に適したお話ができるかと思います。


読売プリントメディア本社工場

ドラマ撮影ロケ地などに利用されている

これがうまくいけば地域にも明るい話題になりますし、盛り上がってほしいです。最後に読者の方に一言お願いします。

まずは新聞自体に親しんでもらいたいと思います。新聞にはいろいろな情報が載っています。普段は興味をもたないような話題でも見出しを読むだけで、自然とその世界の情報をインプットできるようになるのです。知らない世界を知っていただけるきっかけを私たちが作れればと思っています。新聞を読むことで新聞というメディアの必要性を感じてもらえるのであればありがたいですし、理想をいえばそのきっかけを提供するのが読売新聞であればうれしいです。あとは、ここ数年で定年退職を迎える社員がごそっといるので、その備えとして採用を強化しています。なので、一緒に働きたいという方がいらっしゃればぜひ来てもらいたいですね。新聞印刷時間は分単位で決まっているので、残業もほとんどないですし、社員の定着率も高く、プライベートな時間も取りやすくなっているかと思います。手前味噌ですが、新しく入った社員からは「予想以上にいい」ということはよく言われます。私たちには、情報伝達という社会的使命があります。その価値観と情熱を持てる方、ぜひ一緒に働きましょう。

インタビュー後記

安達さんは技術職出身ということでインタビュー前は「不器用」な性格をイメージしていました。しかし実際にお会いしてみると新聞印刷にかける情熱や職人としてのプライドは持ちつつ、柔和な雰囲気の中インタビューにお答えいただけました。プライベートでは花を育てたり甘いものが好きという一面もあり、みなさんがイメージする「職人」とは違い、いい意味でのギャップにあふれる方でした。世のBtoB企業が主体的な自己発信を苦手とする中、読売プリントメディアは積極的に地域住民との交流を深めようとしています。親会社からも地域交流をどんどん進めようという話が出ているとのこと。BtoBビジネスにおいて地域住民との関わり合いは利益を生まないので、軽視されがちです。確かに短期的には利益を生まないのかもしれません。ただ、長期的な視点で考えると、地域住民との相互理解は企業が継続するうえで必要な活動なのでしょう。それは何よりも、読売新聞150年の歴史が物語っているのではないでしょうか。

求人情報

【新聞制作スタッフ】

<仕事内容>高速オフセット輪転機のオペレーション作業

<勤務地>東京都(北区、江東区、府中市)、横浜市、のいずれかの事業所

<給与例>

25歳  月給:285,000円  年収:4,050,000円

30歳  月給:305,000円  年収:4,350,000円

<勤務時間>日勤10:00~18:00、夜勤19:00~03:00のローテーション勤務

夜・夜・日・公・夜・日・夜・日・公・夜・夜 など

<休日・休暇>公休日年間105日、有給入社時12日、最大22日

<待遇・福利厚生>

・すべての事業所に仮眠室、浴室、食堂があり、江東以外に体調室、東京北工場にはテニスとフットサルができるコートがあります。

・年次有給休暇の他に、特別有給休暇、慰労休暇等あり。

・読売健康保険組合、DC制度加入など

<求めている人材・スキル・資格>

資格等は必要ありません。チームで仕事をするので人とのコミュニケーションが苦手ではない方、ものづくりが好きな方などが向いていると思います。入社後に基礎から十分な研修を行います。

<応募方法>

まずは職場見学してみませんか?お気軽にお問い合わせください。

職場見学や就業条件を聞かれてから、応募しようと思われたら、履歴書や職務経歴書の郵送をお願いします。

お問い合わせ

株式会社読売プリントメディア

東京都北区堀船4-2-1

TEL:03-3919-4910

HP:https://www.yomiuri-pm.co.jp/

*お電話相談の際、『北区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。