まちの仕事人インタビュー
被害者救済の最後の砦
弁護士法人若井綜合法律事務所 代表弁護士 若井 亮 (わかい りょう) さん インタビュー

1978年生まれ。東京都出身。早稲田大学を卒業後、営業職として社会人をスタートするものの、会社の看板に頼らず、自分の名前で仕事をしたいと考え退職。弁護士を目指すことを決意し、司法試験合格後は、大手法律事務所を経て、2014年に独立。現在は12名の弁護士を抱える『若井綜合法律事務所』の代表を務める。

誰もやらない仕事をする

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

自分の名前で勝負できる仕事をしたい」と考えたことがきっかけです。大学卒業後、一般企業で営業職に就いたのですが、毎日同じ場所へ行き、毎日のように接待や社内の飲み会があり、周囲に過度な気を使いながら生活していくことにストレスを感じるようになっていました。一方、営業の方はというと、成績は残せるものの、会社の看板による力が大きく、なかなか達成感を得ることはありませんでしたね。そこで、冒頭の「自分の名前で勝負できる仕事をしたい」という考えに至ったのです。正直、若さによる勢いもあり、とりあえず会社を辞めたものの、何をするかはノープランでした。そんなときに目に留まったのが、書店に置いてあった司法試験の受験予備校のリーフレット。「旧司法試験が受けられる最後のチャンス!!」「今なら合格者が増える!!」といったあおり文句に、まんまと乗せられましたね。元々大学は文学部で学んでいたため、法律の知識はゼロでしたが、文系の最高峰が法務関係という認識もあり、挑戦を決意しました。とはいえお金も無かったため、借金とアルバイトをしながら予備校に通い、毎日めちゃくちゃ勉強しましたね。しかし、最初の試験では不合格。やっぱり自分ではダメだったかと落ち込んでいたときに、「お金を少し出してあげるから、もう一度頑張りなさい!」と、背中を押してくれたのは両親でした。そこで、さらに借金を重ねてロースクールへ進学、30歳で司法試験に合格することができました。その後は、大手の法律事務所で働いた後、自分の力が発揮できる分野に特化して仕事をしたいと考え2014年に独立。池袋で『若井綜合法律事務所』を立ち上げ、現在は12人の弁護士仲間とともに活動しています。


仕事の特徴はどのような点にありますか?

一般の弁護士さんがあまりやらない(やりたがらない)仕事を数多く手がけています。多いものとしては『不当要求への対応』『ホストクラブなどの売掛金の清算』『風俗店トラブル』の3つですね。警察や役所では対応の難しい、夜の繁華街に絡んだトラブルへの対応がメインとなります。例えば『不当要求への対応』であれば、法的根拠のない請求や、根拠はあるが過大な請求、脅迫や暴行をはじめとした不当な手段を用いた要求などに対応しています。こうした事案の場合、警察は証拠がなければ動くことができないため「事件になったら来てください」「弁護士へ相談してみてください」と言い、一方で多くの弁護士は、こうした状況への対応ノウハウを持っていないことから「警察へ相談してください」と言うそう。このように不安なまま“たらい回し”になっている人を、少しでもお救いしたいと考えているのが我々です。その他に相談の多い、ホストに入れ込んでツケが貯まり、首が回らなくなった『ホストクラブなどの売掛金の清算』や、盗撮などの『風俗店トラブル』は、請求される額もさることながら、職場に知られたり、家に来られたりするのではないかという不安を抱えられる方が多いですね。この場合の私たちの仕事は、代理人として和解金を適正額まで減額し、合意書を取りつけることで、今後の不安を取り除くというものになります。徹底してスピード解決を追求していることも特徴の一つです。『風俗トラブル』などであれば、即日着手&即日解決することも。夜の繁華街については、お店側から相談を受けて、トラブル対応をした経験もあるため、業界の裏事情や懐事情を知り尽くしたうえで、話し合いができていることは大きいですね。おかげさまで、これまでに6万件以上のお問い合わせをいただいています。


繁華街でのトラブルを一手に引き受ける

どんなお客さまからのご相談が多いですか?

お問い合わせは、北は北海道から南は九州まで。ご相談の内容としては『不当要求への対応』『ホストクラブなどの売掛金の清算』『風俗店トラブル』に関するものが、それぞれ均等に多い印象ですね。その他にも、『ネットトラブル』『刑事事件』『不貞慰謝料請求』『離婚』『債権回収』『労働事件』『不動産の事件』『相続』などのご相談を含めると、月1,600件ほどは問い合わせがあります。電話やメールだけでなく、LINEから気軽にご相談いただけるようにしていることから、先日は人間関係に悩む中学生からの相談もありましたね。ちなみにご相談いただいた方の最年長は80代。『不当要求』については、お金をたくさん持っている人がターゲットにされるケースが多く、法人や資産家からの相談が増えていますね。また、ご相談は9割が個人の方からですが、最近少しずつ法人からのご相談も増えています。会社で顧問弁護士を雇っている経営者の方でも、トラブルの内容的に、会社の顧問弁護士には相談しにくいと感じていたり、会社の顧問弁護士には知られずに解決したいと考える方は多く、我々のことを“セカンド顧問弁護士”や“裏・顧問弁護士”と呼ばれることもありますね。


仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

メンバーの弁護士には『スピード感のある対応』『正確で理解しやすい説明』『マメな連絡』を求めたうえで、『柔軟性を持った対応』をするようにと伝えています。仕事柄、先例のないトラブルや、事例が少ないトラブルが多く、資料や過去の経験だけを頼るのではなく、弁護士の業務の限界を見極めつつも、工夫をもって対応する必要があります。また、警察や他の弁護士に相談したものの匙を投げられたという方からのご相談も多いことから、“自分たちが最後の砦”であるという意識は強く持っていますね。ある詐欺により400万円を奪われた方は、別の弁護士に相談したものの「何も証拠が残っていないなら無理ですね」と、あっさり断られたと言われました。取られたお金は、子供の教育費のため長年かけて貯めていたものと聞き、何とか取り戻してあげたいと考え、知恵を絞ることに。最終的には依頼者に協力してもらい、もう一度詐欺に引っかかるふりをして、詐欺師を喫茶店に呼び出し、詐欺に関するやり取りを一通り録音・録画をしたうえで横から割って入り、その場で解決を促しました。その他の事案でも、依頼者にはできる限り協力してもらい、一緒にトラブルの解決に向けて進めています。周りや家族に言いにくいトラブルや、あまり人に知られずに解決したいトラブルを抱えている方は、是非お気軽にご連絡ください。


インタビュー後記

警察や多くの弁護士が手を出しにくいトラブルを一手に抱え、柔軟な考えから知恵を絞り、スピード解決に導く若井弁護士。将来にわたって不安から解放されることを考えると、依頼者の得られるものはとてつもなく大きい。弁護士業界の最後の砦を担う人の名前が“ワカイ(和解)”であることは、とても運命的であり、頼もしい限りだ。

お問い合わせ

名前:若井綜合法律事務所

住所:東京都豊島区東池袋4-25-12サンシャイン・サイド9F

電話:03-5924-6845

HP:https://wakailaw.com

*ご相談の際は、『豊島区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。