まちの仕事人インタビュー
ゴールは良い“かみ合わせ”
青木歯科 院長 青木 聡 (あおき さとし) さん インタビュー

1960年、東京都港区生まれ。東京歯科大学卒業後、大学院に進み、歯科博士の学位受領。その後、東京歯科大学の助手、講師として勤務。咬合、顎機能、矯正の道をさらに追及するために、神奈川歯科大学に在籍した後、東京歯科大学水道橋病院総合歯科・講師として、これまでに修得した「総合歯科」治療を実践した。2005年、千代田区神田駿河台に開業。その後、新宿区西新宿に移転し現在に至る。著書に『あごがつらい、歯ぎしりがひどい、何度も同じ歯で苦しむなら かみ合わせから治しなさい』『ツーランク上の美しさと健康が手に入る歯の「かみ合わせ」の教え48』『かみ合わせが気になったら読む本』。趣味は音楽と子育て。

“総合的”に診断し“総合的”に治療する

この仕事を目指されたきっかけと、開院までの経緯について教えてください。

私は父が歯科医で兄も歯科医、親戚にも多くの歯科医がいるという、“歯医者一家”に生まれました。しかし、最初から歯科医を目指していたのではなく、高校時代の夢は『音楽家』でした。親の期待と希望もあり大学では歯学の道へ進みましたが、夢への想いは消えず、学校へは主にバンドサークルの音楽活動と学園祭準備のために行くという学生時代を送りました。その音楽活動と学園祭がご縁で恩師・石川達也教授と出逢い、大学院へ進み、歯科博士の学位を受領した後も大学に残り、勤務することになりました。石川教授が立ち上げた日本全身咬合学会にて“かみ合わせ”の治療に取り組み始めたのもこの頃です。咬合、顎機能、矯正の道をさらに追及するため、東京歯科大学を離れ、神奈川歯科大学に在籍し、佐藤貞雄教授の教えを受けた後、東京歯科大学水道橋病院の総合歯科・講師として再度母校に戻り、これまでに修得した「総合歯科」治療を実践することになります。その後、総合歯科をもっと世の中に広めたいと考えるようになり、26年間に及んだ大学生活に終止符を打ち、千代田区御茶ノ水駅前にて『青木総合歯科』を開院しました。(現在は『青木歯科』として新宿区西新宿へ移転)

総合歯科とはどういったものですか?

一言でいうと、口の中のさまざまな問題に幅広く対応し、患者さまごとに最も合った“オーダーメイド”の治療方針で治していくことのできる歯科です。私のクリニックにやってくる患者さまのなかには、歯列矯正はその専門の歯医者、虫歯の治療は職場の近くの歯医者に駆け込むなど、これまでに何度も歯医者を変えてきた人がいます。そういう患者さまの口の中を診ると、これまでの治療に一貫性がなく、抜かなくても良い歯が抜かれていたり、首をかしげたくなる治療が施されたりしていることが少なくありません。総合歯科では、むし歯はもちろん、歯周病、矯正、顎関節症などの幅広い専門知識を持ち、年齢などを加味した総合的な診査・診断をしたうえで、患者さまに合った治療方針を決めています。

歯の不調の原因となるものは何が多いですか?

歯の不調は力の問題、つまり『かみ合わせの問題』が大きく関係しています。かみ合わせが悪いと、口の中の一部に偏った力がかかり続けます。すると、その力を受ける歯にひびが入り、そこから汚れが入り込んで虫歯になったり、歯を支える骨が歯周病になったりすることがあります。さらに強い力がかかると歯が割れてしまうこともあるので注意が必要です。それだけではなく、あごに負担がかかり「顎関節症」という病気につながったり、睡眠中の悪い「歯ぎしり」の原因となります。逆にかみ合わせが良くなれば、一部の歯への負担も減り、歯を長く残せるようになるのです。

“歯並び”だけでなく“かみ合わせ”を良くする

どうすればかみ合わせを良くすることができますか?

治療の最初に多くの場合必要なのは「矯正治療」です。私のクリニックでは、ただ歯を綺麗に並べて整えるだけではなく、かみ合わせを整えることに注力しています。また、複数の専門分野の知識を持つ総合歯科の強みを生かし、患者さまの顔の写真、歯型の模型、あごの機能的な動き、顔の骨格の形などの客観的な資料を集めたうえで、歯の不調の原因を取り除くための総合的な検査・診断を行っています。具体的な矯正治療においては、『非抜歯:歯を抜かない』『非外科:大がかりな手術を行わない』『短期間:通常の半分程度の期間で終了する』『非顎外装置:ヘッドギアなどを使わない』などの特長を掲げて治療を行っています。特に期間が短いことについて驚かれることが多いのですが、その秘密は矯正装置として使っている『マルチループ』と呼ばれる特殊で複雑な針金にあります。一般的に使われているストレートな針金と比較して、歯1本1本に対して細かい調整ができるため、より短期間で効果的な矯正が出来るのです。

患者さんはどんな方が多いですか?

ご紹介が多いです。口コミだけでなく、大学病院からご紹介いただくこともあります。また、県外の方も多くいらっしゃいます。男女比はあまり変わりませんが、女性は比較的若く、男性は退職後など比較的高齢な方が多い印象です。これは男性がまずは家族の健康を優先しがちで、自分のことはある程度色々と生活が落ち着いてから動かれる人が多いからではないかと考えています。

仕事をするうえで心がけていることは何ですか?

歯科治療の最終ゴールは「良いかみ合わせ」をつくることなので、そこから逆算して、広い視野で患者さまの人生と健康を考えることを心がけています。そのためには、色々とお話を聞くことになりますので、ついつい診療時間が長くなりがちですね。長いと2時間近く患者さまとお話したこともあります。あとは、この新型コロナウィルスの状況を受けて、衛生面についてはかなり気を使うようになりましたね。

今後について教えてください。

新しい技術の習得と、これまで学んだ技術を磨き続けることを、バランスよくやっていきたいと考えています。また、志を同じくする仲間を増やしていきたいとも考えています。私のクリニックで行っているかみ合わせの矯正治療は、ウィーン大学(オーストリア)のスラビチェック教授が示された『シークエンシャル咬合』という考えに基づき、現地にて直接教授から指導を受けたうえで行っています。まだまだ広くは知られていないこの考えと、それらを活用した佐藤貞雄教授の矯正治療法を世の中に広めるため、様々な勉強会を主催しています。症例を検討するだけでなく、患者さまにご協力いただき実際に治療の様子をその場で見ることもできる会となっており、大変好評です。これからも患者さまのかみ合わせを良くするべく、日々取り組んでいきます。

インタビュー後記

「歯科治療は、患者さまの判断で行っていることが多い」と言われてハッとした。当たり前のことかもしれないが、歯医者を訪ねる人は、かぶせものやインプラントを希望しているのではなく、しっかりした歯でご飯を食べることを希望している。患者の判断で治療をしてしまうことに疑問を持ち、複合的な専門知識による総合的な判断の元、患者の希望に応えたうえで、不調の原因を将来的に取り除くための最適な治療を提案してくれる青木先生の存在は本当にありがたい。人生100年時代に突入し、ますます歯を長持ちさせることが重要になってきている今、歯に少しでも不調を感じているなら、総合歯科医師である青木先生に相談してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ

名称:青木歯科

所在地:東京都新宿区西新宿4-41-7クレベール西新宿101

連絡先:03-6300-6382

HP:http://gpaoki.com

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。