まちの仕事人インタビュー
カメラ一つで世界観を表現する
映像ディレクター 武川 翔 (むかわ しょう) さん インタビュー

1994年生まれ。横浜市出身。中学生のときに劇団ひまわりへ入団し、「3年B組金八先生」などに出演。大学時代にはカルフォルニアへの留学を経験。新卒として社会人を経験した後、専門学校にて撮影技術を学び、映像ディレクターとして独立。趣味は映画鑑賞とサウナ。

想いをくみ取った映像を繋ぎ合わせて物語を作る

今の仕事をはじめられたきっかけを教えてください。

中学時代に、親の勧めで「劇団ひまわり」に入団したことがきっかけで、演出に興味を持ちました。その後、少し芝居から遠のいていた時期もありましたが、大学時代にカルフォルニアへ留学したことで、“アメリカ仕込みの主体性”が身に付き、帰国後すぐに入学式で新入生をお祝いするプロジェクトへ参加し、仮の新入生を主役にした短編舞台の脚本と演出を手掛けました。人に観てもらい、喜んでもらうことの嬉しさを再確認した貴重な経験でしたね。就職活動では、演出のできるエンタメに関わる仕事がしたいと考え、マスコミや芸能関係を受けるものの全滅。先輩の紹介で、エンタメ気質の強い、コンセプトレストランを運営する会社へ入社しました。「飲食店の演出も面白そうだ!」と意気込んでいたものの、ちょうどコンセプトレストランが流行り始めた時期と重なり、毎日が大忙しで、演出を考える余裕は全くありませんでした。ふと、「自分が本当に好きなことって何だろう?」と考えていたときに、Instagramで流れてきた、海外のクリエイターが、ドローンを使ってカッコよく世界観を表現している作品を目にして、「カメラ一つでこんな映像が作れるんだ!」と衝撃を受けました。その後、映像制作に興味を持ち、映像クリエイターの集まるイベントに参加し、活躍する同世代の話を聞く中で、「むっちゃ面白い!」「演出もできる映像を仕事にしたい!」と考えるようになり、会社を辞めました。撮影技術を身に付けるため、一度専門学校に入り、卒業後すぐに専門学校の先生から撮影アシスタントの仕事を紹介されたため、そこから現在の仕事がスタートしています。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

演出を学んで来たということもあり、どんな映像も、単なるシーンの連続ではなく、物語として構成しています。現在、ウエディング関係の仕事が多いのですが、例えば新郎新婦の「プロフィール」や結婚式の「進行表」「席次表」などを事前に受け取り、参加者を見渡して、どのシーンで誰を絡めて撮影することが重要になるかを考え、撮影に反映しています。以前、おばあちゃん子の新婦が、車椅子に乗るおばあちゃんと一緒にお色直しのために中座する結婚式があり、二人の表情をしっかり映像に納められたことで、後日「良い思い出ができました。本当にありがとうございました」と、新婦より感謝の言葉をいただきました。


自ら動き回り、ギリギリまで粘って最高のシーンを撮る

どんなお客さまからのご相談が多いですか?

ウエディング関係が7割、学校関係が2割、一般企業からのご相談が1割です。ウエディング関係の仕事では、主に結婚式当日の撮影と、当日の様子を編集した、結婚式のエンドロール映像を制作しています。新郎新婦にとってエンドロールは、演劇の最後にカーテンコールでお客さまから拍手をいただくことと同じ意味を持っていると考えています。当日その場にいた人に感動してもらうことはもちろん、新郎新婦がこれから何度でも感動を振り返ることができるよう、心を込めて制作しています。学校関係の仕事では、発表会やお遊戯会と言ったイベント以外にも、幼稚園などに通う子どもたちの日常を撮影した、親御さん限定で公開される映像の制作などを行っています。また、最近少しずつではありますが、観光誘致のプロモーションに関するご相談もいただいております。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

まずはプロとして映像への「こだわり」があります。絵としての完成度を高めるため、光の当たり方やアングルについては、かなり吟味を重ねていますし、道具にもお金をかけ最高の映像を撮る体制を整えています。また、良い映像を撮るための「ねばり」も大切にしています。撮影の流れの中で、事前の想定よりも良い絵が撮れるのではないかと考え、いつも周囲を見渡すようにしています。特に結婚式では、参列者の子どもの反応など、ちょっとしたことでその場の雰囲気がさらに良い方向に変わることがあるため、その瞬間を逃さないようにしています。最後に「自ら動いて探す」ことにもこだわっています。より良い映像を撮るために、撮影現場には少し早めに入り、立ち位置の想定や、撮影の角度など、全て自ら動いて、最も良いアングルを探すようにしています。事前に色々と考えることは自分のクセでもあり、個人的にはとても楽しい時間です。特に最近増えている観光誘致のプロモーションのご相談は、頭の中で考えるだけで相当楽しいので、これからどんどん関わっていきたいと考えています。いつか生まれ育った横浜市の魅力を伝える、映像を制作したいですね!

インタビュー後記

制作された結婚式の映像をいくつか見せてもらったが、「結婚式当日、ウエディングドレス姿の新婦を初めて見て、思わずにやける新郎」や「自分を囲む仲間を見渡して、喜びの感情を抑えきれない新婦」など、心を動かされるシーンの連続による映像の構成が、本当に素晴らしかった。結婚式という人生最高の1日が、最高の映像で残せるのは嬉しい限り。観光誘致など、新しい領域に活動の場を広げている、武川さんのこれからが楽しみだ。

お問い合わせ

名前:武川翔

電話:080-6684-3617

Mail:shoonmk46@gmail.com

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。