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相続人の一人がオーストラリアにいます。
(2年前の記事です) 掲載日:2022/10/31
先々月父が急死して今我が家で相続について話し合っている最中です。
相続人の一人である姉が現在オーストラリアにいて、容易に帰国出来る状態ではありません。
4年前に正月で実家で会った際には万が一父が亡くなってもオーストラリアで暮らしている以上父の看病など出来ないから貴方が相続手続きしてもらえばいいと言っていました。しかしあれから月日は流れています。
相続人全員揃っての署名捺印がないと相続手続きは成り立たないものでしょうか?遺産分割協議はメール若しくは電話で参加というのは認められないものでしょうか?遺産は銀行預金と自宅と会社の株です。母は将来介護してもらわなければいけない身なので私が全て相続すればいいと言ってくれています。家族は母と私と姉の3人です。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

相続人が海外に!実印が揃わない!
海外に相続人さんがいらっしゃるというご相談ですが、最近同様のケースが増えてきているように感じます。
ましては世界的に新型コロナウイルスが蔓延しているようなタイミングでは、渡航制限が出ていることもあるでしょう。
しかしながら、相続人が複数いらっしゃる場合は、基本的には遺産分割協議書の作成が必須となります。相続分について、「0円でもよい!」という方がいらっしゃっても、相続放棄の手続きをしない限り、相続人に変わりはありません。(※相続放棄の手続きはより手間が掛かります。)
相続人さんが揃わない場合、どのように進めていけばよいのか見ていきましょう。
【ご相談の遺産】
〇預金(金融機関)・・・遺産分割協議書を提出することにより、口座の解約と相続人口座への振込手続きが可能。
〇不動産・・・遺産分割協議書を提出することにより、相続人への名義変更が可能。
〇会社の株・・・遺産分割協議書を提出することにより、相続人への名義書き換えが可能。
上記の通り、いずれにおいても遺産分割協議書の提出が必要となります。
では、海外の相続人さんはどうすればよいのでしょうか。
海外にお住まいの方は、住民票がないため、当然、印鑑証明書もありません。そのため、遺産分割協議書を相続人さんへ郵送し、協議書に「サイン」をしてもらう必要があります。そして、日本大使館(あるいは領事館)にて「サイン証明」を発行してもらうことにより、日本の印鑑証明書と同様に手続きを進めることが可能です。
ただし、このサイン証明の発行までは数か月かかることもあるため、時間に余裕をもって対応をすることが必要です。
各手続きにおいてはこれで進めることが可能ですが、サインをもらう前の遺産分割協議については、電話やメール、SNSなどでしっかりと話し合いをしておきましょう。協議がしっかりできる状態であれば、直接顔を会わせなくても問題ありません。
また、遺産分割協議書の記載方法についても、海外居住者の方に手間がかからないよう細心の注意を払って作成すべきです。
このようなことを考えると、海外に相続人さんがいらっしゃる場合は、なるべく早めに専門家へ相談をすることが、スムーズに手続きを進める最善の策と言えるでしょう。
ご質問を多く頂いています。回答には時間がかかる場合があります。