まちの仕事人インタビュー
幸せな産前・お産・産後が地球を救う!
しらさぎふれあい助産院 院長 木村 恵子 (きむら けいこ) さん インタビュー

  • 杉並区高円寺出身。短大卒業後は外資生命保険会社に勤務。
  • 結婚後第一子を総合病院で出産、第二子、第三子を「ファン助産院」にて出産した中で、その仕事に感銘を受け助産師を目指すことを決意。自然育児相談所での事務員を経験後、看護大学に入学し看護師・保健師・助産師免許を取得。
  • 病院での勤務、東日本大震災被災地での助産活動、愛知県岡崎市吉村医院での研修、「ファン助産院」「松が丘助産院」での勤務などを経て、2015年にしらさぎふれあい助産院を開業。2018年、中野区の産後のデイケアの業務委託事業を開始。



助産院をはじめた経緯について教えてください。

私には子供が3人います。1人目は病院で出産し、2人目、3人目は助産院で出産しました。病院と助産院、両方での出産を経験したわけですが、助産院での出産に関してあまりにもその体験が素晴らしく、自身が助産師になって広めたいと思ったのが最初のきっかけです。当初はお産をやりたいと思っていましたが、まずは母乳相談所で事務員として2年間働いて、そこを卒業してから、母乳相談を最初に始めました。そんな時、主人が突然亡くなってしまったんです。大変悲しい出来事でしたけれども、家やお金を残してくれたので、この家をリフォームをして本格的に事業を始めました。最初はデイケアから。その時は一番下の子どもが中学生で、高校生になるまでは夜勤はやめようと思ってたんです。時間がたち、子どもたちも自立し始めたので、そこから産後ケアを開始しました。コロナが始まってから周囲の要望もありようやく念願のお産の手伝いも始めました。お産に関してはまだ本格稼働とは言えませんが、施設を拡張移転する準備(現在クラウドファンディングを実施中。詳しくは下段のリンクを参照ください。)をしているので、今後は本格的に始めていきたいと考えています。

助産院での出産は病院での出産と何が違うのでしょうか?

一言でいうと「愛」です。これは助産院に愛があって病院に愛がないということではありません。助産院では、妊娠中からの繰り返しの検診の中で、スタッフとママさんたちの間に深い信頼関係が構築されます。関係性が出来た人に囲まれて行う出産は私の経験からも病院での出産と大きく違うなと感じたんです。オキシトシンというホルモン量が関係しているのですが、これは「幸せホルモン」「愛情ホルモン」とも呼ばれるものです。このオキシトシンが大量に発生する機会は産中にしか起きないため、子どもを愛おしいと思う気持ちや、また子供を産みたいと思う気持ちを作る意味でも、このホルモンを大量に分泌できる環境でお産が出来ると良いと心から思っています。その環境とは、ママが安心している状況のことをさします。自分自身が助産院での出産で経験し、また現在助産師としてサポートさせていただいている中で大切にしていることですが、お産中は絶対にママが一人の時間を作らないようにしています。信頼している人がずっとそばにいてくれる安心感が重要なんです。一昔前に自宅で出産することが主流だった時代は、周りに家族や信頼する助産師がついて子どもを産んでいました。きっとこのオキシトシンも大量に分泌される「愛」のあふれるお産の現場だったのではないでしょうか。


しらさぎふれあい助産院の特徴を教えてください。

行政の業務委託を受けて、出来る限りママさんたちに負担なくリラックスしてもらえる環境を整えています。10時から15時までの時間をフルに利用して、心からくつろいでいただけるよう配慮しています。母乳ケアもサービスでセット提供していますよ。こだわりの食材と調味料を使ったランチも別途600円で提供しています。多くのママは日中ほとんど赤ちゃんと二人きりで、誰とも会話せず孤独な時間を過ごしていることが多く、大人と接することができてうれしいという感想を言われる方が結構います。今はコロナ禍ですから、様々な制限がついて回ることもありますが、スタッフがお子さんの面倒を見ている間に少しでもリラックスして食事を楽しんでほしいと考えています。癒しのケアも20分サービス。これは、ヘッドマッサージやフットマッサージ、整体師さんがいる日は体全体のマッサージも提供しています。産前・お産・産後にママが愛で満たされていると、また子供を産みたいと思うようになるものなんです。現在は一日に5名のママを受け入れるのが最高の質をご提供できる最大キャパシティですが、多くのご要望もあり、もっとたくさんの方にこの体験をしていただきたいという想いから事業を拡大しようと考えました。助成金が出ない中で深く悩みましたが、クラウドファンディングで移転拡大のための資金を集めると同時に、少しでも助産院の事を知ってもらい、多くの人にオキシトシンが泉のようにあふれ出る経験をしてほしいと思っています。


お産への想いと、今後の展望をお聞かせください。

少子高齢化と言われて久しいですが、多くの人がたくさん子供を産める環境を整えるためにも、本当はお産から変えていかないといけないと思います。現在は全国で99.5%(助産師会調べ)の人が病院で出産しています。これって、助産院で出産する人が200人に1人ということなんです。東北大震災以前は1%、100人に1人が助産院で産んでいたようなんですが、震災後は減少傾向にあります。何かあっても対応できる病院の方が安心という心理の表れなのかもしれませんね。しかし、産前・お産・産後のケアもできる助産院がもっと多くの人の手助けをしていける環境が整ってほしいと思っています。病院で高度な医療を必要とする方は病院で出産し、自らの産む力がある方は、助産院などで自然なお産をすることを選択肢に加えていただけるとよいと思います。しかし現状では新規で開業する人も少ないですし、ましてや助産院そのものを認識していない人も多い状況です。草の根活動のようではありますが、こうした事態を打開するために助産院の素晴らしさをもっとアピールしていきたいと思っています。また、「まちの保健室」「困ったときの女性たちの駆け込み寺」として、お手伝いできたらと思っています。



インタビュー後記

正直な感想としては耳が痛いでした(笑)私も一児の父親です。出産にも立ち会い、産後も炊事洗濯を積極的に手伝っているつもりでした。しかし、食べてはいけない食材があることを知らず、気晴らしに出掛けようよという声掛けがどれほど妻を困らせていたのか。我々父親がもっとお産の事を知ることが世のお母さんたちが安心して子供を産める環境を作る第一歩なのかもしれないなぁと感じました。今回の木村院長のお話にはお母さんたちへの愛とお産に対する情熱を感じました。助産院の存在がお産を、日本の少子高齢化を阻止する一筋の光のように感じました。もっとたくさんの人に知ってもらいたい、知るべきだと痛感しました。出産にご不安を感じられる方、「愛」のあふれる出産を経験してみたい方は是非しらさぎふれあい助産院に顔を出してみてはいかがでしょうか。世界観が変わると思います。私も第二子は助産院でお願いしよう。と、妻に伝えました。そうそう、スタッフの方とも話してたんですけどね。世のお父さん方。一度助産院に奥様と一緒に行って、お産についてお話聞いてみるといいですよ。きっとあなたも耳に激痛が走ると思います(笑)

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*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。