まちの仕事人インタビュー
青春ど真ん中。採用システム再定義に挑戦するアラフォー社長
株式会社YUTORI 代表取締役 森田 慶 (もりた けい) さん インタビュー

株式会社YUTORI代表取締役。神奈川県横浜市出身。文教大学情報学部広報学科卒業。高校受験失敗を機にメンタルを崩してしまい療養しつつも大学に進学。大学卒業後は、製造業特化の人材サービス会社である株式会社ワールドインテック(現プライム上場)に入社。製造業向け人材サービスを中心に法人営業を担当。国内の法人営業を経て、中国拠点に異動。新会社設立を担当し、社員一人の状態から年商数億円規模にまで成長させる。その後帰国し、課長職に昇進。しかし、中国の文化と日本の文化のギャップに戸惑いを感じ帰国後1年で退職。退職後、Web制作を学ぶ中で、エンジニア仲間と出会い独立。現在はWeb制作を中心に、人材派遣会社の採用プロジェクトのディレクション事業も手掛けるなど多角的に活動中。

新卒入社の人材サービスの会社を退職後、独立されています。ファーストキャリアとして人材会社を選んだ理由と、独立までの経緯を教えてください。

実は、人材サービス会社を選んだ理由は特にないんです。当時はリーマンショック後の就職氷河期の時代で、就職した会社を含めて、2社しか内定をもらうことができませんでした。もう一つの会社とはカルチャーが合わないと感じたことから、消去法的に就職したというのが入口の話になります。ただ、入社してからはネガティブなイメージはありませんでしたし、今につながる貴重な経験をさせてもらうことができました。入社当初、私は製造業向けに人材サービスを提供する法人営業の担当でした。しかし最初は本当に営業成績が悪く、同期にもさんざんバカにされてきました。本当に悔しかったですね。その悔しさをバネにとことん仕事を頑張った結果、拠点長になれるルートも見えてきたんです。ただ、当時の拠点長の働き方を見ると、上からも下からも板挟みになって、辛そうに見えた。自分は本当に拠点長になりたいんだろうかと悩んでいた時に、中国に新しく合弁会社を設立するという話を耳にしたんです。キャリアの方向性に悩んでいた私はすぐに手を挙げ、現地法人立ち上げメンバー第1号に選ばれました。ここでの経験が今に非常に生きていると感じます。私の住むワンルームの部屋で、テレアポをするところから始まり、最終的にはしっかりオフィスも構えて、年商数億の規模にまで成長させることができました。また、中国で働く人たちの姿を見て、自由で生き生きしているように思えました。こういう働き方をしたい。そういう思いから帰国してしばらくした後に退職。理想の働き方をするために転職ではなく、独立を決意するに至りました。

自分らしい働き方を実現するために独立されたのですね。独立されてからの今に至るまでのお話を教えてください。

退職をしてからすぐに何か事業を始めたわけではないんです。退職する前、自分の貯金や退職金、失業保険なんかを計算してみて1年くらいは生活できることがわかっていたので、しばらくはやりたいことを見つけるためにぶらぶらしていました。町田に来たのも住みやすそうな割には家賃も安いしという理由からで最初はそんなに深い理由はありませんでした。ニート状態で日々過ごしていたので、時間はたっぷりありました。やりたいことを探す日々が続きましたが、あるとき偶然あるコミュニティに出会ったんです。そのコミュニティがWeb制作のコミュニティでした。そこでWeb制作の勉強を始めたところ結構ハマってしまいまして。それで毎日コーディングの勉強に明け暮れていたら、3,4ヶ月くらいで一通りのことができるようになったんです。勉強をしながら、コミュニティの仲間と過ごしているうちに、徐々にHP制作の仕事なんかも入ってくるようになって。受注を受けては納品をしてということを繰り返していたら、自然とそれが本業になっていったという形ですね。ただ当然私自身は素人に毛が生えた程度の能力しかなく、受けた仕事はコミュニティの仲間が中心になってくれていました。技術力で及ばない中でも一緒にモノ作りの仕事をしていたある日。仲間たちから、「森田さんは営業できるんだから、営業をした方がいい」という言葉をかけられました。私自身、ずっと営業畑にいましたし、自分の強みはモノ作りではなく営業である自覚はあったので、その提案を受け入れ、営業に専念したところ、前にも増して受注を取れるようになった。そうやってそれぞれの得意分野を分業化して仕事をこなすうちに、自然と会社のような形になって、今のYUTORIが出来上がったという経緯です。


営業とモノ作り。それぞれの得意分野を生かすことで仕事を増やしてきたんですね。今はWeb制作以外にも採用支援業務をしていると伺いましたが、その内容を教えてください。

人材派遣会社の採用をサポートする業務となります。私の強みは営業力と人材業界の知見があることです。営業力については、Web制作の仕事を取ってくることで活かすことができていましたが、人材の知見については全く生かせていませんでした。もう一つの業務はその知見を活かすことができる業務となります。この採用支援業務のことを我々は、「採用コンソーシアム」と呼んでいます。ミッションとしては、顧客の採用力を上げること。人材派遣会社に限りませんが、採用したい企業は専用サイトを作成したり、求人媒体に募集をかけたりすると思います。今までの会社はそのような業務をバラバラに業者に発注していました。たとえば、広告の会社や求人媒体を打つ会社、オウンドメディアを作る会社など、プロダクトベースで発注するといった形です。しかしそのような発注の方法ですと、業者側としては、プロダクトの完成がゴールとなってしまいがちなんです。本来クライアントが求めるのは採用力の向上なのですが、業者間の連携が取れていないために各社、本来のゴールを見失っている。採用の現場で起きているのはこういう問題だと認識しています。加えて採用率が上がらないのを他の業者のせいにするという事態まで起きています。このような課題を解決するために立ち上げたのが「採用コンソーシアム」事業なんです。内容はシンプルです。企業と業者との間にYUTORIがディレクション担当として入るだけ。我々は企業側の採用率を高めたいというゴールを実現させるために、各業者をディレクションします。我々が統括となって採用プロジェクトごとにワンチームで進めるので、個別で発注していたときにはなかった業者間の横の連携も実現します。そうなると、それぞれの進捗やどういうものを作ろうとしているのかも互いに見えるようになりますし、採用というゴールを常に共有しながらプロジェクトを進行することができるのです。今までは個室でそれぞれ仕事をしていたという状況から、リビングに集まって机を並べて仕事をしているイメージですね。この取り組みはまだ始まったばかりですが、すでにリード獲得率の向上など、目に見える成果が出始めています。同様の取り組みをしている企業は他にないと思っていますし、顧客目線で提供できているサービスであると確信していますので、この分野でトップランナーとして走っていきたいと思っています。

採用において顧客のペインを解決する素晴らしいサービスですね。仕事をする上で大切にしていることは何かあるのでしょうか。

一番は、常に顧客ファーストで考えることです。私自身、営業出身なので、顧客へのレスポンスの早さや、先回りをする対応力についてはそれなりの自信があります。しかし、会社として仕事を受ける以上、メンバーも同じ水準で仕事ができなければいけないと思っています。なので、常にメンバーには私と同じ水準で仕事することを徹底して求めていますね。あとは、顧客の本質的な課題を解決することに常にフォーカスしています。Web制作でも、採用コンソーシアムでもそうですが、目の前の仕事に追われてしまうとどんなに優秀な人でも当初の目的を忘れてしまうことが多いんです。顧客がそのような状況に陥ってしまったとき、横から少しだけ軌道修正のお手伝いをする。仕事をする上では、そのように全体を俯瞰した目で見れるように常に意識をしています。


顧客ファーストを掲げる会社は多いですが、組織の全メンバーに共有されているのは営業畑の長い森田さん率いる御社ならではですね。会社として今後目指している姿を教えてください。

みんなから愛される会社になることです。私自身、高校受験失敗を機に、精神を病んでしまったり、楽しく仕事をすることができずにいたという過去があります。だからこそ、自分の会社では、みんなが楽しく前向きに、仲間思いなメンバーの集まる会社を作りたかった。取引先からも地域からも信頼される。内からも外からも歓迎されるような会社を目指しています。

素晴らしい理念です。最後に読者に一言お願いします。

弊社は今町田にオフィスを構えていますが、私自身町田に縁もゆかりもない人間です。ただ、今はとても町田に貢献したいと思っています。何のつながりもない私のことを、快く受け入れてくださった町の方々。便利な都会なのに自然だってある。まさに住めば都。私は町田が大好きです。これからもずっと住み続けたいと思っていますし、地域の行事にもこれからも参加していきたいと思っています。なので、町田にお住いの皆さんはぜひ、町で森田を見かけたら声をかけていただきたいです。皆さんからもっと町の魅力をお聞かせいただけることを楽しみにしています。

インタビュー後記

森田さんは非常に親しみやすい方です。インタビュー中も常に笑顔で対応してくださりました。しかし話をよく聞いてみると、今の明るい性格からは想像もつかない壮絶な少年時代を過ごされていることがわかりました。そのような過去も乗り越え、今は新しい目標に向かって前に進んでいる。失われた少年時代を取り戻すかのように今を楽しむ森田さんの姿に、魅了される方は多いのだと実感しました。「今が青春ど真ん中」。森田さんがおっしゃったこの言葉は、今の現代人が見習うべき姿勢なのではないでしょうか。過去に大変な思いをした方。前を向きたいという方は、森田さんとお話をすることで人生のヒントを得られるかもしれません。

お問い合わせ

株式会社YUTORI

東京都町田市中町1-2-5 SHELL MIYAKO V 3F

TEL:042-816-3131

HP:https://www.yuto-ri.co.jp/

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。