
医師を志したきっかけを教えてください
私の父は歯科医で医学部進学を目指しながら医師にはなれませんでした。幼少期から「医者になる」教育を受け、一人っ子として親を喜ばせたい想いで育ち、叶えられなかった父の夢を継ぐ形で医師を目指しました。
耳鼻科を選んだ理由を教えてください
昔から手を動かす細かい作業が好きで外科志向だったことと、父が歯科医であり歯科と耳鼻科の領域が近く将来コラボができるかもと考えて耳鼻咽喉科を選択しました。
開業するまでの経緯を教えてください
研修医後に大学病院・町田市民病院で勤務し、結婚を機に退職し約10年間渡米(夫の起業に伴う)していました。離婚後、子どもが小学生のタイミングで日本に戻り新小岩のクリニックで再就業し、その後、三軒茶屋で雇われ院長を経験し、笹塚で「おはな診療所」を開業しました。
クリニックの特徴を教えてください
「おはな診療所」の名前に由来している家族のような相談しやすさを意識しています。患者さんを家族のように受け入れ何でも相談できるクリニックを目指しています。
そして、院内スタッフは全員女性で統一しています。決して男性を排除する意図ではなく、笹塚の働き盛り層(20-40代)のニーズに合った「打ち明けやすさ」を演出する差別化施策でもあります。結果として男女患者比率は半々で、初診ハードルの高い男性層にも受け入れられていると思っています。

この仕事のどんなところが好きですか?
クリニックもサービス業の一種という認識で、人の役に立つことや「おせっかい」を焼ける場が好きです。知識と経験を活用し、病気に限らず生活のヒントまで提供して患者さんのストレス軽減や回復を後押しすることに喜びを感じています。
仕事で大切にしていることを教えてください
診療ではまず患者さんの最優先課題「今一番困っていること」を尋ねて、そこから改善を図るようにしています。ただ、少し厳しい言い方になるかもしれませんが、患者さんには「医師に任せっきりにならないで」と伝えています。病気を治していくためには患者さんの理解と協力が必要だからです。それなので、患者さんにも治療の目的や目標を持って受診してほしいと話しています。
今後やりたいことを教えてください
父が2年前に他界してしまい、コラボすることができませんでした。でも、父の歯科(渋谷宮坂坂の松尾歯科)のおかげで私は医者になれたので、同じ場所で地域に恩返ししたいと考えています。
それと、女性医師のキャリア継続支援に興味があります。50代以降の女医のロールモデルが乏しいので、自分の失敗や苦労を糧に「楽しく続けられる」姿を示し女医のロールモデル輩出に関われたら嬉しいです。家庭に入っても離職せずに医業を続けていける勇気を与え、関わった女医が開業する際の相談相手になれたらと思っています。
もう一つ、高齢者の地域包括ケア事業も取り組んでいきたいとも考えています。今後、国の支援が限定的になる未来を見据え自助・共助できる仕組みを作っていきたいです。
医師が常駐することで高齢者も入りやすい「おはなグループ」の拠点(カフェ、料理教室、筋トレ施設)を展開し、最終的には「健康相談ができるバー」を作り、受診先のナビゲートや健康アドバイスをカジュアルに提供する場を提供していくのが目標です。
成功哲学やこだわりを教えてください
「優しさ」がキーワードです。他者の困りごとを想像し時間を使って考えることが優しさだと考えています。そして、「なぜ」を問う思考習慣を大切にしています。「なぜ今日この患者さんは来たのか」「なぜ当院を選んだのか」を考えるようにしています。根底には人が好き・人に興味がある性格が起因していますが、幼少期からの人間ウォッチング経験が現在の観察力にもつながっています。

インタビュー後記
花粉症持ちの私は耳鼻科にお世話になることが多いですが、ほとんどの病院は流れ作業で診察しています。今までそれに不満や疑問を感じたことはなかったですが、松尾先生のお話を伺い、患者さんと治療の目的・目標を共有することの大切さに気づかされました。
「他のクリニックよりも診察時間が長くなってしまうのが課題ですね 笑」と仰っていましたが、優しさと人への興味からくる良い意味での「おせっかい」のあるクリニックだと感じました。無機質な今の世の中でコミュニケーションを大切にしている「おはな診療所」は患者さんを家族の様に受け入れてくれる温かいクリニックです。
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