遺言信託について迷っています
(1年前の記事です) 掲載日:2024/03/15
長男が結婚し、長女が高校卒業した事もあり将来を考え遺言を作成しようと考えています。
テレビでコマーシャルをしている信託銀行も良いと考えていますが、大手都市銀行で遺言手続をするというのは如何でしょうか?本来なら遺言イコール信託銀行と思っていたのですが、この度一定額以上の資産を預けている人を対象にした遺言信託のキャンペーンを銀行で案内されました。
内容としては手数料が安くなるというもので、同じことをするならキャンペーンを利用したいとも思っているのですが、不動産を含んでの個人情報を銀行側に開示することに懸念を抱いております。信託銀行は費用は高いですが、これを専門としていることもあり安心して開示もできるのかな、と迷っています。専門家のアドバイスを頂ければと思っています。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

まず遺言の作成をご検討されていること、素晴らしいと思います。
ご事情の変更に応じていつでも書き換えることができますので是非実現していただきたいと思います。
さて、金融機関が行う「遺言信託」とは、法律上の信託とは異なり、遺言書作成のサポートから遺言書の保管、遺言執行まで依頼することができる商品を指します。
この点、法律上の信託業務ではないので、大手都市銀行が行っても法律上問題はございません。
勿論、各銀行でサポートできる範囲や費用面で違いがあると思いますので詳細はご確認いただければと思いますが、
大手都市銀行も、信託銀行と同様にこの種の遺言信託に関する実績は大変豊富で、ノウハウも十分に集積していると考えられます。
但し、どちらも法律の専門家ではない為、できる業務に限りがございます。
相続に関する手数料について時々トラブルになるのですが、金融機関の遺言サービスを利用する場合の手数料は、①基本手数料、②保管手数料、③執行手数料びの3段階に分かれていることが多いです。
「③執行手数料」に関して、相続人間でトラブルになった場合には弁護士が、相続登記が必要な場合には司法書士が、税務申告が必要な場合には税理士が対応し、それぞれ別途専門家手数料がかかることにご注意ください。
また、遺言作成に際しては遺言者の全ての財産を開示することになります。
金融機関は預金者にとっては債務者ですが、お金を借りている人にとっては債権者ですから、取引相手に対して個人情報の開示をすることに抵抗をお感じになることもあるかもしれません。
以上により、信託銀行も大手都市銀行もどちらも遺言に関する業務に精通していますが、より中立的で専門的な法律の専門職(弁護士、司法書士など)にお任せいただくことをお勧めいたします。
ご質問を多く頂いています。回答には時間がかかる場合があります。