まちの仕事人インタビュー
あなたらしい生活を取り戻す
株式会社リカバリータイムズ 代表取締役 石田 輝樹 (いしだ てるき) さん インタビュー

神奈川県育ち。大学卒業後に理学療法士となり、横浜労災病院に勤務。勤務と並行して大学院へ進学。博士課程の途中で、リハビリ特化型デイサービスを行う『株式会社リカバリータイムズ』を起業。現在、デイサービス7ヶ所など、スタッフ約80人と10の事業を展開中。

リハビリ特化型デイサービス

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

高校のときに野球部で、アイシングやマッサージなど、レギュラーのケアをしていたときに「人の身体を治す仕事は素敵だな」と思ったことがきっかけです。ちなみに私の母は、身体が不自由な子どもたちをケアする仕事をしていたため、そう思う土壌はあったのかもしれませんね。高校2~3年生のときに理学療法士の仕事を知り、いろいろな人をサポートできる仕事だと感じ、目指すことに。とはいえ、すぐに夢は叶わず、数年間の浪人を経て、神奈川県立保健福祉大学のリハビリテーション学科へ入学しました。卒業後は、理学療法士の資格を取得し、横浜労災病院で勤務。現場に少し慣れてきた3年目からは、基礎の知識を深めたいと考え、病院勤務と並行して大学院の修士課程を履修。その後、4年間の博士課程も履修したため、高校卒業後から10年以上学び続けましたね。起業のきっかけは勤務中の患者さんたちの声。仕事を始めて5年が経過したころ、現場で慌てることもなくなり、職場の満足度も高く、この仕事を続けた先の未来が見えてきたころに、ふと「自分はこのままで終わるのかな?」と考えるようになっていました。そんなとき、患者さんとして接した3人の経営者からかけられた言葉が「あなたなら出来るのに、なぜ自分で仕事を(事業や会社を)作らないの?」。それまで、起業については考えたこともありませんでしたが、悩みぬいた私は、「現場の仕事」「大学院の博士課程」「経営者になるための学び」の3つを同時進行。自分が納得できるだけの準備を終え、2013年に起業。リハビリによって“あなたらしい生活を取り戻してほしい”との想いから『株式会社リカバリータイムズ』という屋号を掲げました。おかげさまで現在は、鶴見区・港北区に7ヶ所の拠点を持ち、その他の事業と合わせて80人以上のスタッフが関わっています。


仕事の特徴はどのような点にありますか?

「痛みを取りたい」「転ばないようにしたい」「トイレに一人で行きたい」「もっと歩けるようになりたい」、どれか一つでも当てはまったら来ていただきたい『リハビリ特化型デイサービス』です。一般的に、病院でリハビリをしていた人が退院すると、ケアしてもらう機会を失い、運動能力は徐々に落ちていきます。こちらには理学療法士作業療法士がいるため、病院と同じようにリハビリを続けることができることができます。歩行、脳卒中、生活に特化したプログラムが大きな特徴ですね。日々リハビリを続けていくと、筋力がついて運動能力を維持することができます。中には時間をかけて、さらに良くなる利用者の方もいらっしゃいますね。ご自宅までの送迎もあるため、お気軽にご利用いただけます。原則は、午前と午後のそれぞれ3時間。施設によっては、1日通しで7時間ご利用いただけるものもあります。また、体験利用も可能です。セラピストによる、お身体の状況確認のうえ、運動能力が向上する未来をお伝えできます。住み慣れた街で安心して生活し続けられる“あなたの街のリハビリテーション”として、横浜市鶴見区・港北区に拠点を置いています。


行けば元気になるコミュニティ

どんな利用者が多いですか?

ケアマネジャーさんからご紹介いただいた、80歳前後の方が多いですね。ちなみに、これは一般的なリハビリ施設と比べると、5~10歳ほど若いと思います。男女比は1:1。これも、一般的には女性の比率が高くなる傾向があるため、男性の利用者が非常に多いということになりますね。理由は、遊びのようなレクリエーションではなく、意味づけされたトレーニングをしているから。他の利用者の前でレクリエーション的なことをすることに、男性は特に抵抗を示しがちです。しかし、あくまでも運動能力を高めるためのトレーニングとして行っているという意味づけが、男性のやる気とモチベーションをアップさせています。ある程度、身体が良くなった人が、継続利用されていることも特徴です。平均して3.3年ほどご利用いただいていますが、病気の再発予防のため、10年以上通ってくれている利用者もいますね。ちなみに、利用者の方が「今日は足が痛いからそんなに頑張れないよ」と言われれば、メニューを見直し「今日は気が乗らないからそんなに頑張れないよ」と言うときには、あの手この手で盛り上げ、より元気になってもらえるように背中を押していますね。利用者の中で多いのが「こんなに良くなるなら、もっと早く来ればよかった!」との声。症状が軽ければ軽いほど回復が早く、身体の不自由からも解放されやすくなりますね。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

“行けば元気になるコミュニティ”を作ることを心掛けています。身体はもちろん、スタッフとの関りの中で、精神的にも元気になってもらえると嬉しいですね。ちなみに、これから高齢者はどんどん増えていきますが、デイサービスは増え続けない方が良いとも考えています。「外に出るのが不安」「体力が落ちている」「足元が不安」など、生活の中で不自由を感じ始めている人が、もっと悪くなる前に、生活の中で予防する習慣を身につけることで、デイサービスや病院の利用を抑えることができます。今後は、一人でも多くの方が元気で長く生活を続けられるように、情報発信なども増やしていきたいですね。これからも地域のみなさんを元気にできるサービスであり続けます。少しでも身体に不安を感じられている方は、是非お気軽にお問い合わせください。





インタビュー後記

話は自社にとどまらず、地域や国の将来へ広がっていた。介護領域の経営者でありながら、視野は非常に広く、視座も高い。実務のスキルと、ビジネス感覚を併せ持つ石田さんは、地域や社会を盛り上げ、これからのリハビリ・デイサービス領域の先頭を走る人だ。

お問い合わせ

名前:株式会社リカバリータイムズ

住所:神奈川県鶴見区駒岡5-17-32-1F

電話:045-718-5702

公式HP:https://recoverytimez.com

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。