母が遺言を書いている土地が収用された場合の相続について
(1年前の記事です) 掲載日:2023/07/22
母は今のところ健在ですが、認知症です。その母が公正証書遺言で土地、現金、預金とそれぞれ誰に相続するのか書き残してあります。
以前から話があったのですが、母名義の土地が、道路計画に伴い収用される見通しとなりました。(まだ決定されたわけではありません。)その結果、代替地を取得すれば遺言での土地はその代替地になります。
ところが母はドクターからいつ亡くなってもおかしくはないと宣言されております。そこで相続人の間で相続が発生した場合の処分を容易にするため、代替地を取得せず買収額を現金または預金にてしたとすると、母が書き残した遺言での「土地」の扱いはどうなるのでしょうか?私としては代替地は欲しくありません。収容された土地は売却して、「現金」で相続したいというのが本音です。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

ご相談いただいた時点では,お母様がご健在ですので,問題の土地はお母様の所有物です。
そのため,ご相談者様たち相続人が勝手に処分をすることはできませんし,代替地を取得せずに買収額を現金で受け取ると決定することもできません。つまり,お母様がご健在のうちに土地の収用がされた場合には,お母様,あるいは後見人等がいらっしゃるのであれば,その意思によることとなります。
次に,相続が発生した後に土地の収用がされた場合には,土地を相続するご相談者様の判断で,土地を現金化することは可能と思われます。遺言書の内容を拝見しなければなりませんが,いわゆる「相続させる」旨の遺言であると仮定すると,この遺言は遺産の分割の方法の指定がされたものと扱われます。
このような遺言がある場合,相続が生じたとき(=お母様の死亡時)に,指定された相続人(=ご相談者様)が,直ちに遺産を承継(=所有権が移転)します。そのため,代替地をもらうのか買収額を受け取るのかは,ご相談者様の判断にゆだねられるはずです。いずれにしても,遺言の内容や,土地収用手続きについて具体的事情を踏まえなければ判断をすることができないので,遺言書や道路計画の計画書を持って弁護士に相談されるのが良いでしょう。