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一粒万倍(いちりゅうまんばい)とは、

一粒の籾が万倍にも実る稲穂になる

という意味。

何事を始めるにも良い日ともされ、

仕事始め、開店、出店、お金を出すことに

吉であるとされる。

一粒のヒントやアイデアが

あなたの運を万倍にする。

ビジネス評論家石塚 毅の

ビジネス系開運コラム。

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今年初の地方出張は金沢でした。

駅に降り立つと日本海側独特の空気

を実感するのは日本海側育ちだから

でしょうね。

 

 

2月のブックレビューは

「朽ちるマンション老いる住民」

(朝日選書)です。

https://amzn.asia/d/b77PiKj

 

この本は朝日新聞デジタルで連載され

た、高齢化する分譲マンションにフォーカス

した連載を加筆修正して出版されたものです。

高齢化社会になると分譲マンションは

どうなるのか?という地味なテーマに

斬り込んでいるとても読みやすくて、

興味深い本です。


数年前は誰もイメージしていなかった

想定外の世界が今・現実に起こって

いることを真正面から捉えた非常に

内容の濃いドキュメントです。

何気なく読み始めたのですが、あまり

にもおもしろくて、興味深くて

一気読みしてしまいました。

 

この本では、

 

・マンション住人が減ると空室が増え

  て空室を放置した結果マンションに

  思わぬ被害をもたらす事例

・年金暮らしの高齢者が増えたり、十

  分な管理修繕費を集められなくなっ

  てきている現実

 

・マンション住民は健康体の住民しか

  想定していない構造なので認知症に

  なると「オートロック」が思わぬかたちで

  立ちはだかる話

 

・マンションで家族を介護するエピソード

 

・セキュリティの良いマンションは介護事

  業者を排除してしまう構造になっている

 

・機械式駐車場が使われなくなると意

  外な問題をもたらすこと

 

などなど、高齢化する住民が暮らす

分譲マンションにいまなにが起こっているのか、

わかってきました。

 

この本を読んで強く感じるのは、今まで

当たり前のしくみや構造というものが

まったく機能しなくなることが当たり前に

起きることは実は分譲マンションに

限らず、日本のあらゆるところで

起こっているのではないか、ということです。


これにどう取り組み、改善するのか。

本書の後半にいくつか成功事例が出てきます。

ポイントは、人と人のアナログなつながり、

コミュニティをいかに創るか、

に尽きるのだと。

 

日本人はこれからあらゆる場面で長い

時間かけて育ててきた常識が通用しな

くなることに遭遇するのだ、と実感するのです。

常識が非常識に変わり、想定外の状況

に適応できなくなってしまう。

これは分譲マンションに限らない話で

国家も企業も雇用もキャリアも構造は

似ているな、とつくづく感じるのです。



(了)



石塚 毅(いしづか たけし)

1970年生まれ。ビジネス評論家。担当実績7,000社、相談実績15,000人に

裏付けされた企業経営・ビジネスモデル・社風・人材の情報通で博覧強記。

話がおもしろい!と評判。

ご質問・ご相談などはこちらまで。

ishizuka@keiei-c.jp