今回は、私の番組の進行をしていただいているパーソナリティの須藤悟さんと対談をしました。

ともすれば硬くなりがちな、主に士業の人たち相手の番組ですが、そこはさすがにプロのアナウンサー。

大いに盛り上げていただき、和気藹々の楽しい番組にしていただいています。


Photo:長谷部ナオキチ

話をするだけではなく、話を聴くこともアナウンサーの役割

高木優一:須藤さんはアナウンサーでありながら、介護の資格もお持ちですね。アナウンサーで介護の世界にも明るい方は珍しいのではありませんか?

須藤悟:病気になった人の話を聴くことを仕事の一部としているアナウンサーはいます。私たちアナウンサーは「話をする」だけではなく、人の「話を聴く」ことも実は仕事の一つなんです。独り暮らしの方が病気を患い籠もりがちになってしまうと、なかなか人と交わったり話をする機会がなくなってきます。すると気持ちが沈み込み鬱状態になっていくのです。そういう方から話を聴く。まあ、現役というより元アナウンサーにそういうことをされている方が多いのですけれども。

高木優一:男性でも、女性でもいらっしゃるんですか。

須藤悟:女性の方が多いような気がします。我々の世界では別段特殊なことではありません。とにかく熱心に話を聴く。傾聴してあげるということです。仕事として成立しているかどうかはわかりません。

高木優一:1年半前に番組を始めたときから、私は須藤さんにいじられていました。いきなり素人の私をいじるんですから。悔しいから返そうとするんですけれど、その上にまたかぶせてくる(笑)。また、番組にいろいろな士業の先生方がゲストとして出演されますが、ゲストに対しても、なるほど、こういういじり方をするのかと毎回感心しています(笑)。それに法律のことも詳しい。大学は法学部を卒業されたんですよね。

須藤悟:そうです。

高木優一:ゲストの士業の先生方と法律的なことをかなり突っ込んでお話しされるので、最初は驚きました。番組を始めた当初は、弁護士や税理士や司法書士の先生が順番に出演するというようなイメージを須藤さんも持たれていたと思うのですが「笑っていいとも」ではありませんが、企業の経営者や僧侶までゲストの輪が広がっています。

その中で、須藤さんは番組を上手に盛り上げていただけるので、大変助かります。さすがにプロのアナウンサーは違うなと思いますね。でも、興味がある話材のときは大いに盛り上げてくれるんですけれど、あまり興味がない場合はさらっと流しますよね。その流し方がまた上手なんです(笑)。私も途中から「この話あまり面白くないな」と感じると、その「つまらない感」が須藤さんにも移ってしまうんですよね。

須藤悟:完璧に見透かされていますね(笑)。

番組を盛り上げるプロのサービス精神とは

高木優一:番組進行のプロセスを簡単にご紹介ください。

須藤悟:ホストの高木さんやゲストの士業の先生に前もってお話を聞いて、それじゃ今回のテーマはこれでいきましょうと決めます。実際の本番のときはこちら側としては「私は何もわかりません」というスタンスで臨み、その前提で高木さんやゲストにお話をいろいろ聞いていきます。途中からエキサイティングしていくと、自分のつたない知識を基に突っ込んだ質問もし、時にはゲストに失礼と思う質問をしてしまうこともあります。

高木優一:えっ!ここでこの質問をするか」と時にどきっとすることもありますよ(笑)。でも、それは番組を盛り上げるというプロのサービス精神の一環でもありますよね。

須藤悟:それは言えますね。前もって打合わせをする中で面白い話がたくさん出てきます。実際に番組が始まると、こちらは実際には知っているけれど知らないというスタンスで臨んで、打合せ時に聞いた面白い話を効果的に引き出す工夫をいろいろと試みます。それをヤラセと捉えられると困るんですが。

高木優一:番組進行のテクニックですよね。それに、須藤さんは大変好奇心旺盛な方だから。

須藤悟:打合せから本番までの間に、あの話をどう展開させて行こうかと考えることはもちろんしますよ。

高木優一:やはりノセ方はお上手ですよね。さすがです。

須藤悟:それにしても番組に出ると結構緊張される方が多いんですけれど、高木さんは番組が始まった当初から全然緊張しませんよね。

高木優一:僕自身が楽しんでいますから(笑)。単純に弁護士が出てきて、ホストが質問をして弁護士がただそれに答えるというような、当たり前の相続の番組にはしたくなかったんです。それでゲストも士業の先生方だけではなく、袈裟を着た僧侶とか寿司屋のオーナーとか毛色の変わった人をお招きして、相続にまつわるさまざまなエピソードなどを面白おかしく話してもらう。そういう番組の方が楽しいじゃないですか。

須藤悟:なるほど、そうですよね。

高木優一:須藤さんの安定した話術と面白さがあるので、こちらとしても次はもっと面白そうな人物を連れてくるぞって思うんですよね。前もって知らせずに、当日に驚かせてやろうと(笑)。

あえて失礼の一歩手前まで迫っていく

高木優一:ところで、面白い人物といえば、最近、税理士で法人の客先を一軒も持っていないという事務所の方と知り合いました。相続税以外は扱いませんというスタンスなのですが、これまでの常識では考えられませんよね。安定供給が期待できる法人を扱わないなんて税理事務所なんて前代未聞です。本当に驚きました。ついにこういう新手のスタイルが出てきたか!って感じですね。高齢化社会になってくるのを機に、今までの常識では計れない新しいビジネスがどんどん登場してくるような気がします。

須藤悟:なるほど。

高木優一:番組の話に戻りますが、私の番組は士業の方たちがゲストの場合が多いので、どうしても会話が硬くなりがちと思われるのですが、自分で言うのもおこがましいけれど、その手の番組にしては、かなり楽しいというかノリがいいですよね。

須藤悟:私はまず高木さんをノセるようにしているんですよ。基本的に私は最初にお目にかかった人には、くだらない話材を投げかけたり、あえて失礼の一歩手前のことを言ってしまったりするんです。そこで引いてしまったり、シュンとなって何も言えなくなってしまう人もいるんですが、高木さんは最初からそうではなかった。そうなれば、思い切りノセちゃえっていう気にこちらもなりますので(笑)。でも、高木さんが連れてくるゲストの方も、失礼の一歩手前のことを言っても、ノッてくる人ばかりですよね。

高木優一:須藤さんの進行のテクニックはやはり素晴らしいですよ。さきほど言いましたように好奇心も旺盛でいらっしゃるし、普段はサッカーの実況などをやられているから、その実況のノリでガンガンに食い込んできますね(笑)。私としては須藤さんがすべて進行をコントロールしてくれるのですごく楽です。

須藤悟:失礼の一歩手前のギリギリのところまで突っ込んで話を引き出そうとするのですが、それがノリにつながっているんでしょう。それに食いついてこない場合は申し訳ないけれど淡々と進めていくしかないですね。あまりノリを強要すると負担になってしまうでしょうし。

高木優一:私はいい意味で須藤さんに遊んでもらっていると思っています(笑)。本日はどうありがとうございました。