私が子どもの頃、両親が共働きだったので、両親が帰宅してから夕飯を食べていました。その為、仕事が遅くなることが多かった金曜日や土曜日・日曜日などは、20時くらいに夕飯を食べる事も珍しいことではありませんでした。もちろん、もっと遅くなることもありました。

 

食卓には1台のテレビがあり、20時くらいに食事をすることの多い金曜日には、決まってある番組を観ておりました。テレビのチャンネル権は父親にあった我が家では、金曜日には父親が20時から「プロレス」を観るというのがお決まりでした。

 

私もよくわからないままに、金曜日にはプロレスを観るものなのだと、子供心に思っておりました。しかし、テレビに映るタイガーマスクの華麗な技などをみていると、プロレスに心を奪われるのに、そんなに時間を要することはありませんでした。

 

その時、観た海外レスラーは、子供心に恐怖を覚えたのを記憶しております。タイガージェットシンやアブドーラ・ザ・ブッチャーなどは、相手を「血だるま」にして、今思うとレスリングをするというより、凶器を使って相手を攻撃するのがいつものパターンでした。

 

そこに、勇敢にも立ち向かっていったのは、燃える闘魂・アントニオ猪木でした。海外レスラーにまったく怯むこともなく、そして、3カウントを奪って、お客様にアピール姿は子供でもかっこいいと思いました。

 

あの時、テレビに映っていたアントニオ猪木さんは30代後半から40代になるくらいだったと記憶しております。そして、ゴールデンタイムでのプロレスが16時からの放送に変わり、深夜の放送に変わって行きましたが、私はずっとプロレスは大好きで、何歳になっても猪木さんが出てくるだけでテンションが上がっている自分に気付いていました。

 

そんなアントニオ猪木さんが心不全のため79歳で亡くなってしまいました。私はこの仕事に就いて「人はいつかお別れの時がくる」というのは分かっている事ですが、いつまでも、お強い方だと子供心に刷り込まれていたので、勝手に無敵なのかもしれないと思い込んでいただけに、大変ショックな出来事でした。

 

どうやら家族葬が都内で13日に通夜、14日に告別式が営まれるそうです。一般のファンは参列することはできないそうですが、後日、ファンのためにお別れの会を開くそうです。しっかりと「お別れ」させてもらえる機会を作ってくれるそうです。

 

この報道を聞いた時に、やっぱり猪木さんは偉大な方だと改めて思いました。そして、坂口征二さん、藤波辰爾さん、長州力さんなど数々のレジェンドレスラーたちが、猪木さんの自宅を訪問してお別れをされたそうです。

 

やはり、お葬式はお世話になった方や大切な方に「お別れの言葉」を伝えに行くために行われる儀式であって欲しいと思います。ただただ、火葬するだけなんて、その方の人生を否定しているだけだと思います。

 

私はファンとして一度でいいから猪木さんとお会いしてみたかったし、闘魂注入されてみたかったと思っております。「人はいつかお別れの時がくる」というのを、改めて教えてくださいました。

 

有名人が亡くなった時に、会ってみたい人が亡くなった時に、「あの時会っておけば・・・」と思った事がある人もいるのではないでしょうか?

 

「人はいつかお別れの時がくる」というのは、お葬式の仕事を通じて理解できた言葉です。それでも、様々な都合で会えないままの事もあると思います。だから、せめてお世話になった方や大切な方に「お別れの言葉」を伝えに行くという文化だけは残って欲しいものです。

 

 

 

 

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著:一級葬祭ディレクター 小林大悟