まちの仕事人インタビュー
【福祉施設の商品普及へ】退職後に始めた画期的なサービスとは
株式会社青葉ギフト 代表取締役 福地 寛芳 () さん インタビュー

株式会社青葉ギフト

代表取締役 福地寛芳

創業:2023年6月

今回、取材してきたのは株式会社青葉ギフトの福地社長です。定年間近で大手金融機関を退職し起業。福祉施設の方たちの工賃を上げるため、施設で作られた手作りの商品を普及させる画期的なサービスを生み出しました。福祉施設の知られざる現状と青葉ギフトのビジョンについて伺いました。

会社を立ち上げた経緯について教えてください

私は福祉とは全く無縁の金融業界で長年働いていましたが、退職する直前の2年間は企業としての社会貢献に携わっていました。

その際、福祉施設の工賃が非常に低いという現実を目の当たりにしました。

令和4年の厚生労働省のデータによれば、就労支援継続B型事業所(※)の平均工賃月額は17,031円(時給243円)であり、これは施設で働く人たちの自立には程遠い金額です。


「寄付すればいい」と最初は簡単に考えましたが、寄付は直接工賃に充てられない現状を知り、何とかしたいという思いが強くなり、青葉ギフトを立ち上げました。

福祉施設が作る商品を広く認知させて、売上を拡大し、工賃の向上に貢献することを目標としています。


※就労支援継続B型とは

障害者総合支援法に基づいた障害福祉サービスにおける福祉的就労(※)のうちのひとつです。

就労継続支援には「A型」と「B型」の二種類があります。

就労継続支援B型は、一般企業などで雇用契約を結んで働くことが難しい方に対して、就労の機会や生産活動の場を提供するサービスです。

「生産活動」をおこない、その対価として「工賃」を受け取ることができます。

生産活動の内容は事業所によって異なりますが、農作業や部品加工などの軽作業が多く、同じ就労継続支援でもA型と比べてより細分化された作業をおこなう場合が多いです。


会社の事業内容について教えてください

弊社が取り組む問題は大きく3つあります。

1つ目は、消費者側の問題です。

福祉施設が作る商品の流通は限られており、多くの施設が区役所のバザーなどでしか商品を販売できないため、消費者がその商品を知る機会が少ないです。どんな商品があるのか知ってもらい、購入するまでのルートをつくる必要があります。

2つ目は、福祉施設側の問題です。

社会復帰や就労支援が主業であり、販売活動に十分な時間を割く余裕がなく、せっかく企業から大量の受注を受けても生産が追い付かないという問題があるため、大きい注文の場合には、分散させる必要があります。

3つ目は、企業側の問題です。

企業は社会貢献や地域貢献を求められていますが、何を選ぶべきか悩むことが多く、結果として一施設への大量注文が難しくなっています。企業の担当者が楽に選べて社会貢献に繋がるようなギフトのニーズがあります。


この問題を解決するため、弊社ではデジタルギフトを発行し、福祉施設で作られた商品と交換できるサービスを提供しています。

例えば、パウンドケーキやクッキー、キーホルダーなどの商品から、利用者が好きな商品を選び、福祉施設で作られた商品と引き換えることができます。


消費者は福祉施設のことを知ることができ、福祉施設は分散して商品の受注を受けられるようになります。


ギフトを取り扱う企業の事例について教えてください

現在、多くの企業が社員への福利厚生やお客様向けのプロモーションに利用するケースが増えており、社会的責任を果たす手段としても高く評価されています。

特に金融機関や市区町村などが、社員や顧客に対してこのギフトを送ることで社会貢献活動の一環として高く評価されています。


神奈川県では「共に生きる社会」の実現に力を入れており、弊社もその一環として福祉施設の工賃向上に寄与しています。

これまであまり知られていなかった福祉施設の商品が、私たちのギフトを通じて多くの人に届けられることで、福祉と地域社会がつながるきっかけを作っています。


今後のビジョンを教えてください

弊社は、今後全国展開も視野に入れています。

現在は神奈川県を中心に展開していますが、将来的には地方の福祉施設とも連携し、地方創生に貢献したいと考えています。


地方で作られた商品を大都市圏で販売することで、地域経済の活性化を図り、福祉施設と企業、そして地域社会をつなぐインフラとしての役割を果たすとともに、共生社会作りの一助になれるようにしていきたいです。


編集後記

青葉ギフトという社名には、神奈川県の青葉区発の会社であること、新しいサービスとして「新緑」を象徴する意味、そして、樹木が厳しい冬を乗り越えて芽吹く「強さ」とその「美しさ」をみんなに伝えたいという思い、3つの意味が込められているそうです。前職で感じた企業側の負担と、その時に知った福祉施設の低工賃問題を見事に解決するサービスで脱帽でした。今年62歳を迎える福地さんの目は青葉のように生き生きとして、これからもうひと花咲かせようという意気込みを感じました。青葉ギフトのサービスは神奈川を飛び出し、全国の福祉施設で注目を浴び始めています。次のステップはギフトの配り手です。全国の福祉施設が抱える問題が少しでも緩和するために、地方貢献に力を入れている企業の目にも止まることを願います。

お問い合わせ

株式会社  青葉ギフト

〒227-0034

神奈川県横浜市青葉区桂台2-13-25

TEL:045-878-0998

FAX:045-345-0396

mail:support@aobagift.com

HP:青葉ギフト | 福祉とつながるデジタルギフト

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。