【秋企画展イチオシ資料の紹介―江戸・東京で発行された日誌たち】

 東京都公文書館では移転開館5周年を記念して企画展「アーカイブズってなんだ~東京都公文書館移転開館5周年記念~」を開催しています(会期:10月18日~12月17日)。
今回は展示資料の中から明治初年に刊行された日誌を紹介します。日誌というタイトルですが、内容はそれにとどまらず、江戸から東京へと移り変わる一大変革期に起こった様々な事件や、政府・東京府等の行った政策や法令等が印刷されています。
 慶応4年(1868)2月、明治新政府は新たな方針と各地で行われた旧幕府軍との戦況等を伝えるメディアとして、京都で『太政官日誌』の刊行を始めます。新政府が江戸を支配下におくと、江戸においても『太政官日誌』の印刷刊行が行われます。これと並行して、同年5月から6月上旬にかけて『江城日誌』が印刷刊行されます。6月から7月にかけては『鎮台日誌』、8月から10月にかけては『鎮将府日誌』が刊行されます。『鎮将府日誌』を引き継いだ『東京城日誌』は10月から明治2年(1869)3月まで刊行されたのち、『太政官日誌』に合流するかたちで廃刊となります。
 また慶応4年5月に、町奉行所の業務を引き継いだ市政裁判所が置かれると、『市政日誌』が発行されます。同年8月17日に東京府が開庁すると(執務開始は9月2日)『市政日誌』を継承して『東京府日誌』の発行が始まりました。その後、『東京府日誌』は体裁を変えながら、明治28年(1895)まで刊行され続けました。
 本企画展では『江城日誌』『東京城日誌』『市政日誌』『東京府日誌』を展示しています。意外と小さなサイズの日誌たちをぜひ間近でご観覧ください。

【紹介資料】
○江城日誌・自第1号至第15号(・慶応4年5月5日ヨリ)・全 慶応4年
請求番号:634.D4.02
○東京城日誌・自第1号至第8号・1(・明治元年戊辰10月-12月) 明治元年
請求番号:634.D4.10
○市政日誌・(第1~8号・付7月5日、10日、11日、12日即日出版)・戊辰5月ヨリ7月ニ至ル 慶応4年
請求番号:634.D4.04
○東京府日誌(第1、第2)、戊辰(8月、10月)・東京府布令書、(第1-第5)己巳(3月-5月)・1
請求番号:634.D4.12

【参考文献】
・朝倉治彦「解題」(朝倉治彦編『太政官日誌 別巻二』東京堂出版、1984年)
・同「解題」(朝倉治彦編『太政官日誌 別巻四』東京堂出版、1985年)

なお、この企画展に関連する講演会を11月28日(木)に開催します。
【講演内容】
「アーカイブズの活用 -歴史資料が伝える100年前の都市の暮らし-」
講師 山﨑鯛介教授(東京科学大学博物館)
「東京都公文書館アーカイブズのあゆみ -資料が語るその魅力-」
講師 高木謙一(東京都公文書館)
https://www.soumu.metro.tokyo.lg.jp/01soumu/archives/04tenji_kouen.htm

是非ご参加ください。

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17 いいね! ('24/11/24 05:02 時点)