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遺言書が3通出てきてしまいました。
(1年前の記事です) 掲載日:2024/03/24
父が1月に急死し、亡くなってバタバタしていたのですが、そこから問題が発生し家族どうすればいいか分かりません。
公正遺言書が3通出てきました。平成25年のものと平成28年のものと平成31年のものです。勿論平成31年のものが直近の物ですが、平成28年のものに関しては1回目の遺言書である平成25年のものに関して撤回するという旨の記述があったのですが、最終回である平成31年のものには2回目である平成28年の遺言内容に関し撤回の記述が一つもありませんでした。この場合父の遺言は何を基準にするのでしょうか?遺言が混乱しているという事で遺言自体が無効になるのでしょうか?
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

前の遺言と後の遺言が矛盾するときは、「矛盾する部分について」後の遺言が優先します。
お父様がお亡くなりになられたとのこと、お悔やみ申し上げます。
お父様が遺言を3通残されていたとのことですが、結論的には、前の遺言と後の遺言が矛盾するときは、「矛盾する部分について」後の遺言が優先します。逆に言えば、矛盾していない部分についてはそのまま前の遺言が有効となります。
K様の場合、平成25年の遺言、平成28年の遺言、平成31年の遺言が出てきています。そして、平成28年の遺言では、平成25年の遺言を撤回する記載があるとのことでした。
もちろん、遺言は撤回可能です。そして、遺言の撤回は遺言でしなければいけない旨定められています(民法1022条)ので、平成28年の遺言による撤回は有効です。
ですが、平成28年の遺言がどの部分を撤回されているのかは内容を確認してみないと分かりません。遺言の撤回は全部撤回することもできますが、一部の撤回もできるためです。
また、平成31年の遺言には、特に撤回するという記載はないようですが、この平成31年の遺言は撤回という記載がなくても、平成25年、平成28年の遺言と矛盾した内容ならその部分についてだけ平成31年の遺言が優先します。
例えば、平成25年の遺言は、○○銀行の預金、車、家について書いてあったとします。そして、平成28年の遺言では平成25年の遺言の預金に関する部分は撤回する旨記載があったとします。さらに平成31年には撤回するという明確な記載はないけれども、家については平成25年の遺言の内容と矛盾する記載があったとします。
この場合、預金については、平成25年の遺言は平成28年の遺言で撤回され、遺言がない状態になり、遺産分割協議を行う必要が出てきます。
次に、車については平成25年の遺言が生きていますので、平成25年の遺言のとおりに名義の変更が必要です。
最後に家については、平成25年の遺言の内容が平成31年の遺言で撤回され、平成31年の遺言を使って名義変更をしないといけなくなります。
以上は、勿論遺言が有効であることを前提としています。自筆の遺言には有効性に疑問のあるものもあります。また、遺言が3つも出てきてどうしたら良いのかご不安に感じておられるとのことですので、是非、お近くの司法書士、弁護士、行政書士などの専門家へご相談下さい。
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