ビルの5階。エレベーターを降りると、大きな窓の向こうに逗子の街が見渡せる。



「飲食店をやるなら路面店、せめて2階まで。
そう思っていたけれど、当時は全然空きがなくて。
とにかく早くやりたい気持ちが勝って、なかば勢いでこの5階に決めたんです」
『逗子の海畑 marche 太陽 umihatake.taiyo 』の店主、齋藤昭さんは当時の焦燥を笑い飛ばす。



大学生の頃に飲食業の面白さに触れ、自分の店を持つと決意。和食、イタリアン、フレンチ、さらには魚屋と、ジャンルを越えて厨房と現場を渡り歩いてきた彼が目指したのは、「地元の食材を、お腹いっぱい気軽に食べられる店」だった。



店名のように明るい空間の裏側には、齋藤さんが自らハンドルを握って通う、泥臭くも熱い仕入れの現場がある。
三崎漁港へ魚を、三浦半島の農家へ野菜を。養鶏場へ卵を求めて走る日々。
「朝一番に大根を抜こうと思っても、凍っていて抜けないんだよ」と、農家がこぼす畑の厳しいリアル。
水温の変化で網にかかる珍しい地魚。
生産者の懐に飛び込み、直接言葉を交わすことで、普通なら手に入らない食材が店に集まってくる。



「虫に食われていたり、規格より小さかったりする野菜は出荷できないからと、トラクターで潰されてしまう。でも、味は抜群にいい。だから安く譲ってもらって、その分うちは大盛りで出すんです」



今回撮影した料理には、そんな三浦半島の海と土の匂いが詰まっている。
たとえば、三浦のレタス農家が育てた瑞々しい葉を、これでもかと高く積んだ『畑サラダ』。



『海畑刺身盛り』には、齋藤さんが漁港で直接買い付けた三崎の地魚が並ぶ。
ヒラメとカレイを並べて食べ比べるような、その日限りの出会いが皿の上にある。

『地魚地野菜天ぷら盛り』も、少し曲がったり傷があったりする三浦野菜と地魚を、たっぷりと豪快に揚げた一皿だ。

そして、肉好きの胃袋を掴むのが『太陽肉盛り』。
役目を終えた横須賀・関口牧場のジャージー牛、通称「おばあちゃん牛」を圧力鍋で柔らかく仕込んだ自家製ローストビーフ。
そこに清川村・恵水ポークの自家製スモークベーコンと、藤沢の生ハムを合わせた、命を美味しく食べ尽くすための力強い肉の共演である。



「居酒屋でもないし、レストランほど肩肘張らない。ちょっといい『大人のファミレス』みたいな店ですかね」

目指すのは、「逗子で魚料理と言ったら太陽でしょ!」と誰もが口にする老舗になること。
妥協のない仕入れと、規格外をはね返す圧倒的なボリューム。



ビルの5階は今、三浦半島の最前線を味わえる、誰にとっても美味しく楽しい特等席になっている。

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336 いいね! ('26/02/26 05:02 時点)