まちの仕事人インタビュー
何でも相談できる脳神経内科医師
武蔵中原まちいクリニック 院長 町井 克行 (まちい かつゆき) さん インタビュー

1967年、三重県生まれ。順天堂大学医学部を卒業後、病院勤務を経て、ハーバード大学への留学。帰国後に病院勤務を経て、外資系製薬会社で新薬治験などに従事。2015年に『武蔵中原まちいクリニック』を開院。

不調の原因が分かりやすい脳神経内科

この仕事を始められたきっかけを教えてください。

田舎で開業医をしていた父の姿を見ていたことがきっかけですね。自分の専門を「脳神経内科」に決めたのは、医学部で「脳神経内科」を学んだ時に、脳、神経、筋肉の病気というのは、症状や経過の聴取、診察をしっかり行えば検査をしなくても診断できることに面白さを感じたからです。また、35年前には脳神経内科の専門医は他の診療科に比べても非常に少なく「専門医の少ない領域を目指そう!」「今後高齢化が進み対象となる患者さんが増加するだろう」と考えて決めました。大学卒業後は地元の三重県でトレーニングを開始しました。その後は、たくさんのご縁に導かれ再度上京したり、留学したり、製薬会社に勤務して新薬の開発治験業務にも従事しました。40代後半になった時に改めて「自分は何をやりたいのか?」と自問自答し、そのときに思い出したのが父の姿です。「医師として患者さんに寄り添いたい」という想いで2015年に『武蔵中原まちいクリニック』を開院しました。この場所にした理由は2つです。1つ目は近隣に診断や治療のことで相談できる医療機関が多いこと。2つ目は、自宅に近いこと。通勤時間も短縮できますし、患者さんとの生活環境が近いと会話も弾み、距離もグッと近づきます。そんなやり取りの中から得られる診断のためのヒントも多くなりますね。

仕事の特徴はどのような点にありますか?

高齢化に伴い脳神経内科が対象とする病気の患者さんが増えてきています。脳神経内科で診療する神経難病の多くは残念ながら根本治療法がありません。そのため、診断、症状軽減のための治療に加えて脳神経内科の専門医として患者さんの生活の質をどのように維持していくかアドバイスすることが多いです。ご本人が幸せに過ごすことが一番です。加えて、ご家族が介護で疲れてしまわないように、デイサービスやショートステイなどの施設の利用を案内するなどトータルのアドバイスをケアマネージャーと連携しています。近隣のクリニックからも脳神経内科専門医としてご相談をいただくことが多くなってきました。


何でも相談できる医師

どんな患者さんが多いですか?

10代から90代まで幅広い年齢層の患者さんに来ていただいており、月800人ほどの患者さんを診ています。最近は7割の患者さんは脳神経内科で対応すべき症状の方です。「頭痛」「めまい」「しびれ」などの一般の方にも身近な症状や「パーキンソン病」「アルツハイマー病などの認知症」「筋萎縮性側索硬化症(ALS)」「筋ジストロフィー」「ギラン・バレー症候群」などのさまざまな脳、脊髄、末梢神経、筋肉に原因がある病気の患者さんに対応しています。受診される症状で多いのは「頭痛」「めまい」「しびれ」ですが、神経難病の中では「パーキンソン病」が最も多いですね。そのほか「アルツハイマー病などの認知症」です。最近では進行を抑制する最新の治療の開発もあり治療の進歩も著しいです。まずは生活環境を整えていただくことを促しています。その他患者数は少ないですが、脊髄小脳変性症、筋萎縮性側索硬化症、筋炎、末梢神経障害など脳神経内科の教科書に記載がある稀な疾患の方もたくさん通院されています。患者さんの状態によっては、薬物治療と並行して、リハビリやデイサービス利用など活動性をアップすることを勧めています。次に多いのは患者さんからの直接のお問い合わせが7割、残り3割は他院からの紹介状を持参される患者さんです。患者さんへは「自分で判断しないで何かあった時に相談できるお医者さんを作る」ことをアドバイスしています。最近はインターネットの情報を見ることで症状や病気の情報を簡単に得ることができるようになってきましたので、治療のきっかけや参考にする分にはOKです。しかし、書いてあることを鵜呑みにしてしまったために、判断を誤り症状が悪化した患者さんは何人も見てきました。現在かかっている医療機関がある方は担当医師からの紹介状をお持ちいただくと、不調の原因を突き止めるうえでは助かりますまね。是非、かかりつけ医や専門医に相談して欲しいですね。

仕事をするうえで心掛けていることを教えてください。

“何でも相談できる医師”であるように心掛けています。これは、父の医師としての働き方のイメージが強いですね。父は地元の三重県で開業医をしていましたが、山間の地域で近隣に病院が少ないこともありどんな症状の患者さんにも対応していました。過去の病歴など、患者さんの生活環境や習慣について知っていることが診断のきっかけになることも多く、治療方法が定まることで生活のクオリティはあげることもできますね。雑談を交えながらいろいろな情報をキャッチできるようにしています。何かあれば気軽に相談してもらえるといいですね。症状に応じて他の医療機関を紹介することもあるため周辺の医療機関との繋がりを意識して作るようにして、常に最新の情報を持っていられるように心がけています。高齢者が多くなる社会の中で、より多くの人の力になるべくこれからも頑張ります。何か身体に不調を抱えている方がいらっしゃいましたら、お気軽にお越しください。


インタビュー後記

町井さんは好奇心旺盛だ。それは、大学病院を経ての留学や、製薬会社勤務などの経歴からも伺える。そんな町井さんは天職に就き、患者さんの診察や治療に好奇心のすべてを注ぎ込んでいる。決して患者さんを軽んじているのでない。尊重しているからこそ全力を注げているのだ。

お問い合わせ

名前:武蔵中原まちいクリニック

住所:神奈川県川崎市中原区上小田中6-23-10

電話:044-739-8010

公式HP:https://www.machii-clinic.com

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。