【こんな本をそろえています!~江戸時代の書籍広告~】
 最近、インターネットなどを通じて情報社会がどんどん進展するに伴い、「広告」を目にする機会も増えているように感じられませんか?インターネット上の広告以外ではテレビCMがメジャーですが、本や雑誌、新聞といった紙の情報媒体に掲載されている広告が思い浮かぶ方も多いのではないでしょうか。いずれも多くの人の目に触れ購買意欲をそそることを目的とするものがほとんどで、広告は資本主義と結びつきの強い情報コミュニケーションといえます。
 日本に資本主義が入ってくる以前の江戸時代にも、現在の広告と同じような役割を果たしているものはいくつかありました。例えば、版本の末尾に付いている蔵版目録は版元が版権を持つ本を一覧にした書籍広告で、今だと研究書などで奥付の後に掲載されている出版社の書籍リストと同じようなものです。
 画像は、「狂文あづまなまり」という刊行物の下巻に掲載されている奥付と蔵版目録の部分です。この書物は、六樹園石川雅望(まさもち)という作家の天明6年(1786)から文化9年(1812)までの88の文章をまとめた作品集で、有名どころでは吉原細見の序文がふたつ収録されています。奥付からは文化10年の秋に出版されたこと、版元は江戸麹町平川町二丁目の角丸屋甚助という書物問屋であったことが分かります。奥付の後、4ページにわたる蔵版目録に列挙されているのは、この角丸屋甚助が版権を有している書物です。よく見ると本書「狂文あ(阿)づまな(那)まり」も掲載されているほか、葛飾北斎や曲亭馬琴など今でも人気が衰えない人の名前もちらほら。江戸時代の人になったつもりで、面白そうな本をさがしてみてはいかがでしょうか。
【参考文献】
粕谷宏紀「『狂文あづまなまり』について」(『日本大学人文科学研究所研究紀要』第32号、1986年)
粕谷宏紀「『狂文あづまなまり』の典拠について」(『語文』第67輯、1987年)
木越俊介「版本―刊記・奥付から印刷文化を探る」(国文学研究資料館編『本 かたちと文化 古典籍・近代文献の見方・楽しみ方』勉誠社、2024年)
諏訪春雄『江戸シリーズ 出版事始-江戸の本』(毎日新聞社、1978年)
【画像の出典】
「狂文 あつまなまり 下」(請求番号: CQ-026)
https://www.archives.metro.tokyo.lg.jp/detail...
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12 いいね! ('26/02/16 02:01 時点)