江戸川区 > 区民のミカタ > ビジネス > 中山 誠啓 > 詳細
宗教法人の事業承継の難しさ
(1年前の記事です) 掲載日:2023/05/13
私は寺の住職であり、宗教法人の代表役員も兼ねています。周りの寺が後継者不在で廃寺の可能性があると聞き不安になりました。
宗教法人の事業承継はどういう点が難しいのか、教えてください。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

宗教法人は以下の3つの理由で、同じ場所で永続的に維持されていくことが求められます。
したがって、宗教法人の事業承継においては宗教活動や信仰という機能の移動が難しく、地理的な制約を受けるという点で特殊性があります。
① 土地と宗教活動~歴史・信仰~
② 地域の繋がり~檀家・祭り~
③ 墓地の管理
① 土地と宗教活動~歴史・信仰~
宗教法人の中には、その場所にあることが歴史的・地理的に大きな意味をもつことが多いです。
たとえば山岳信仰では信仰対象の山やその近くに寺院があることに意味があります。事業承継により離れた平野にそういった寺院が移動したとすると信仰や宗教活動が失われてしまいます。
したがって、こういう宗教法人には事業承継に地理的な制約があるといえます。
② 地域の繋がり~檀家制度~
我が国の宗教法人の多くを占めるのは寺院です。その寺院を支えるのが檀家制度です。
檀家はお布施をして寺院を経済的に支え、寺院は檀家の葬祭供養を独占的に行います。
檀家と寺院は地理的に強い結びつきがありますから、寺院が地理的移動を伴う事業承継をするうえで制約となります。
③ 墓地の管理
宗教法人は、我が国の主要な墓地の管理主体です。
墓地は、容易に移動することができず、先祖代々の墓として固定的・永久的であることが求められます。
したがって、管理主体である宗教法人が墓地の所在場所から大きく離れて存在するのは想定しづらく、この点も、事業承継における地理的制約といえます。
ご質問を多く頂いています。回答には時間がかかる場合があります。