まちの仕事人インタビュー
「迅速・丁寧・正確」がモットー。元銀行員のママさん司法書士
司法書士事務所HIKARIパートナー 代表 鶴田 みのり (つるた みのり) さん インタビュー

司法書士事務所HIKARIパートナー代表司法書士。1985年東京都新宿区生まれ。明治大学情報コミュニケーション学部卒。大学時代に法律の魅力に取りつかれ、司法試験勉強に没頭。しかし旧司法試験のシビアさを目の当たりにし、一般企業への就職に転向。専門性をもって長く働いていきたいという思いから大学卒業後は三菱東京UFJ銀行に入行。しかし法律職への未練を捨てきれずに、働きながら司法書士試験に挑戦し見事合格。銀行退職後、都内の司法書士事務所に入所。相続、不動産決済、会社登記の実務経験を経て独立。「何かあれば鶴田さんに」といってもらえるオールラウンダー事務所として、相続、不動産、会社関係まで幅広く対応をしている。

銀行で11年勤めた後、司法書士へと転向された鶴田さん。司法書士になろうと思ったきっかけを教えてください。

どうしても法律に関わる仕事がしたかったからです。大学時代、法律の楽しさに目覚めてしまい、司法試験合格を目指して勉強していたんです。勉強すればするほど、こういう理由でこの判決が出ているんだと解像度が上がっていき、点と点が線でつながっていく感覚がやみつきになりました。ただ、当時はロースクールもなく、司法試験といえば合格率数%の超難関資格。在学中に芽が出なければ司法試験は諦める覚悟で勉強をしていました。そして卒業する年の春。残念ながら、司法試験には合格することができませんでした。そこから企業への就職に切り替え、なんとか三菱東京UFJ銀行の内定をもらうことができました。銀行での仕事は楽しかったですし、充実していたのですが、働きながらもどうしても法律への未練を断つことができませんでした。そこで、働きながら取れる法律資格はないかと調べていたところ、司法書士というものに出会ったんです。仕事の内容を見てみると、書類作成や予防法務が中心らしいと。もともと争いを好まない性格だったこともあり、司法書士は私のやりたいことにぴったりあてはまると感じました。予防法務中心の法律職という点に魅力を感じたこと。これが司法書士になろうと思ったきっかけですね。

働きながらの試験勉強は相当いばらの道だったと思いますが、それほどまでに強く法律家になりたいと思われていたのですね。念願の司法書士になった後から独立するまでの経緯を教えてください。

最初は都内にある司法書士事務所で働いていました。ただ、実は司法書士試験に合格した後、すぐに司法書士として働くことができなかったんです。というのも、夫の転勤の都合で合格後もしばらく海外生活をしていたので、日本で働くことができなかったんです。結局合格から4年後に、やっと司法書士として働き始められました。帰国直前に就活をしようと情報収集していたところ、知り合いの先生の事務所が募集をかけていることを知り、入所させていただいたというのが一つ目の事務所です。この事務所は相続・信託専門の事務所でしたので、ここで相続についてかなり鍛えられました。二つ目の事務所ではいままでやってきた相続業務に加えて、不動産の決済業務や会社関係の業務も経験させてもらいました。ただ、この頃、子供が体調を崩すことが増えてしまい、朝から晩まで働くという生活スタイルが難しくなってしまったんです。雇われで仕事をしている以上は決まった時間に働かなくてはいけないですし、たとえば不動産の決済などは司法書士が現地で立ち会わないといけない。でもそうすると子供に万が一のことがあったときに迅速な対応をすることが難しい。こういう葛藤を抱えるようになったんです。この時から独立を考えるようになりました。独立すれば自分のペースで仕事を受けることもできますし、時間も融通が利く。今の事務所に不満はなかったですし、ずっと働きたいと思っていましたが、このような事情があり、そして司法書士として幅広い業務への対応ができるようになったと確信したタイミングで独立という選択をするに至りました。


子育てをしながら仕事をするというのは本当に大変なことなのですね。独立後は幅広い業務に対応できることを強みとして依頼を受けているかと思いますが、司法書士がどのような仕事をしているのかご存じない方も多いと思います。具体的にどのような業務をしているのか教えてもらえますか。

代表的な業務としては、相続、不動産、会社関係の3つかと思います。相続はご家族が亡くなった方の相続手続きのご依頼を受けることが多いです。ご依頼を受けるタイミングは、お葬式が終わって身辺整理が済んだタイミングが多いですね。そこから、被相続人がどれくらいの財産を持っているのか調査し、相続人がどれくらいいるのかを確定。ここがはっきりしたら、遺産分割協議に入ります。相続税の申告が必要なケースでは税理士と連携しながら一緒に手続きを進めますね。遺産分割協議が終わったら、不動産の名義変更登記や銀行預金の分配手続きをおこない、被相続人名義の財産が相続人に入れば業務終了となります。相続ではこの一連を一気通貫で対応しています。不動産は決済業務が中心です。決済日までの不動産会社との調整や銀行対応などをおこないます。決済日当日は売主にお金が振り込まれるのを待つだけという状態にできるよう、事前準備を完璧に整えることが仕事ですね。会社関係については、主に他士業の方から依頼を受けることが多く、登記手続きが中心になります。必要な手続きを説明してスケジュール案を作成。各種計画書などの書類作成もおこない、最終的に登記をして完了という具合です。

〇〇特化型の司法書士事務所が増えている印象ですが、鶴田さんはオールラウンダーとして幅広い業務ができる司法書士ということですね。今後特に注力していきたい業務はあるのでしょうか。

幅広い業務ができる司法書士を目指しているので、どこかに特化するというのは今のところ考えていません。強いていえば、相続発生前の生前対策業務はクライアントに柔軟な提案ができるので、個性を出しやすい領域だなとは思います。不動産決済などは極論誰がやっても同じかもしれませんが、相続発生前に生前対策として遺言書や家族信託の提案することは、司法書士によってクライアントに提供できる成果も変わってくるので、予防法務をやりたいと思い司法書士になった私には魅力的なポイントです。


誰がやっても同じ仕事ではなく、手掛ける人によって結果が変わるようなクリエイティブな仕事に魅力を感じているのですね。仕事をする上で大切にしていることはありますか。

スピーディーかつ丁寧にということを心がけています。どんなに忙しい時でも仕事は丁寧にしたいですし、対応もスピーディーにすることを大事にしています。ここは銀行員時代に叩き込まれた面なので、銀行員から司法書士に転向した私ならではの部分かもしれません。銀行員時代は営業もバックオフィスも両方経験しましていますし。あとはビジネス経験が長いので、一般的な士業よりもとっつきやすいかもしれないというのも特徴になるのかなと思います。実際にクライアントからは、「仕事が早くてすごく助かります」「次何かあったときも絶対にお願いします」と言われてとてもうれしかったですね。

銀行員としてのキャリアが司法書士としての仕事にもばっちり生きているわけですね。最後に読者にひとことお願いします。

相続登記が今年の4月1日から義務化になりました。内容としては、相続が開始して所有権を取得したことを知ってから3年以内に登記をする必要があるというもの。この制度変更で今後ますます「親族が亡くなったが誰に相談したらいいのか」と悩む方が増えていくと予想されます。誰に相談したらいいのかわからないというときはまずはご相談いただければと思います。個別の状況に合わせたオーダーメイドの対応をさせていただきたいと思っています。あとは会社の組織再編系の手続きについてお困りの方、ぜひご相談ください。私の実家も事業を営んでおり、私自身元銀行員ということで中小企業の役に立ちたいという気持ちは常に持っています。組織再編は会社の集大成です。会社の一大事を左右する責任重大な仕事ですが、持ち前のスピード感と丁寧さでお役立ちできればと思っています。特定の業務に限らずオールラウンドに対応ができるのが私の強みです。「これってなんだっけ?」みたいなご相談でもお気軽ご相談いただけると嬉しいです。


インタビュー後記

鶴田さんは非常にお話のしやすい、柔らかい雰囲気をお持ちの司法書士さんです。インタビュー中も常に笑顔。なんでも優しく包み込んでくれるような雰囲気が魅力的です。しかし、法律の話になると一変。柔らかい表情そのままに、専門家として的確かつ正確な助言をしてくれます。司法書士というと、不愛想なおじいちゃんが専門用語を並べたて、一方通行のコミュニケーションを仕掛けてくる印象が私にはありました。鶴田さんは真逆です。しっかり話を聞いてくれたうえで、「こういうのはどうでしょう?」というアドバイスをしてくれます。クライアントとのコミュニケーションを大切に、ニーズに沿った提案ができるのは、銀行員としての名残なのだと思います。じっくり膝詰めでご自身の悩みを相談されたい方は、一度鶴田さんとお話してみてはいかがでしょうか。

お問い合わせ

司法書士事務所HIKARIパートナー

東京都中央区銀座7丁目13番15号銀座菊地ビル5階

TEL:03-6264-0811

HP:https://hikari-partner.com/

*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。