東京都現代美術館では4/6(土)からシンガポールを拠点に活動するアーティスト、ホー・ツーニェンの個展を開催します。
ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティに独自の視点から切り込む映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスを制作してきました。既存の映像、映画、アーカイブ資料などから引用した素材を再編したイメージとスクリプトは、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出します。そのようなホーの作品は、これまでに世界各地の文化組織、ビエンナーレなどで展示され、演劇祭や映画祭でも取り上げられてきました。国内でも、当館で開催した「他人の時間」展(2015年)を含めた多くの展覧会に参加し、近年は国際舞台芸術ミーティング in 横浜(2018年、2020年)、あいちトリエンナーレ2019(2019年)、山口情報芸術センター[YCAM](2021年)、豊田市美術館(2021年)で新たな作品を発表し話題を呼びました。
本展では、ホーのこれまでの歴史的探求の軌跡を辿るべく、最初期の作品含む6点の映像インスタレーション作品を展示するとともに、国内初公開となる最新作を紹介します。ホーが監督と脚本を務めたデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》(2003年)は、シンガポールという国名の由来「シンガプーラ(サンスクリット語でライオンのいる町)」とその地を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説を巡りながら、イギリス人植民地行政官スタンフォード・ラッフルズを建国者とする近代の建国物語を解体します。3Dアニメーションを用いた《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)では、トラを人間の祖先とする信仰や人虎にまつわる神話をはじめ、19世紀にイギリス政府からの委任で入植していた測量士ジョージ・D・コールマンとトラとの遭遇や、第二次世界大戦中、イギリス軍を降伏させ「マレーのトラ」と呼ばれた軍人山下奉文など、シンガポールの歴史における支配と被支配の関係が、姿を変え続けるトラと人間を介して語られます。
ホーは他にも、既存の映像を転用し、マレー半島の近現代史とその編纂に影響を与えた人物に焦点を当てた作品を制作しています。第二次世界大戦中、マラヤ共産党総書記を務めながら、イギリス、日本、フランスの三重スパイとして暗躍したライ・テックを取りあげた《名のない人》(2015年)、マラヤ共産党とマラヤ危機について、党の機密情報に基づいた文献を残した、ゴーストライターとも言われているジーン・Z・ハンラハンを描いた《名前》(2015年)は、いくつもの映画の断片をつなげ、複数のイデオロギーに介在した謎多き人物に、同一性をもたせることなく、その内側に迫ります。
これらの作品を生み出す基盤となるプロジェクトが、2012年から進行中の《東南アジアの批評辞典》です。幅広いソースから抽出された東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムによって都度組み合わされる映像は、東南アジアというその呼び名が想起させる総体に抗う多層性、複数性を描き出します。
近年日本で制作した作品からは、山口情報芸術センター[YCAM]とのコラボレーション作品《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》(2021年)を展示します。VRと6面の映像で構成された本作では、西洋主義的近代の超克を唱え、大東亜共栄圏建設について考察した京都学派の哲学者たちの対話、テキスト、講演などが現前します。VRでは、戦争の倫理性と国家のための死についての議論が行われた座談会から、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する抽象的空間まで、京都学派の思想と哲学者たちの主観性を体現する空間に没入することができます。
ホーの最新作で新たな展開ともいえる《時間(タイム)のT》(2023年)では、ホーが引用しアニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって、時間の様々な側面とスケール—素粒子の時間から生命の寿命、宇宙における時間まで—を描き出すシークエンスに編成されます。それらが喚起する意味や感覚は、時間とは何か、そして私たちの時間の経験や想像に介在するものは何かを問いかけます。
会期:2024年4月6日(土)~ 7月7日(日)
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日
会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2F
観覧料:一般1,500円(1,200円) / 大学生・専門学校生・65 歳以上1,100円(880円) / 中高生600円(480円) /小学生以下無料
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
助成:公益財団法人吉野石膏美術振興財団
本展は複数の映像インスタレーションとVR作品(要事前予約/30分入替制)で構成されています。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/HoTzuNyen/
ホー・ツーニェンは、東南アジアの歴史的な出来事、思想、個人または集団的な主体性や文化的アイデンティティに独自の視点から切り込む映像やヴィデオ・インスタレーション、パフォーマンスを制作してきました。既存の映像、映画、アーカイブ資料などから引用した素材を再編したイメージとスクリプトは、東南アジアの地政学を織りなす力学や歴史的言説の複層性を抽象的かつ想起的に描き出します。そのようなホーの作品は、これまでに世界各地の文化組織、ビエンナーレなどで展示され、演劇祭や映画祭でも取り上げられてきました。国内でも、当館で開催した「他人の時間」展(2015年)を含めた多くの展覧会に参加し、近年は国際舞台芸術ミーティング in 横浜(2018年、2020年)、あいちトリエンナーレ2019(2019年)、山口情報芸術センター[YCAM](2021年)、豊田市美術館(2021年)で新たな作品を発表し話題を呼びました。
本展では、ホーのこれまでの歴史的探求の軌跡を辿るべく、最初期の作品含む6点の映像インスタレーション作品を展示するとともに、国内初公開となる最新作を紹介します。ホーが監督と脚本を務めたデビュー作《ウタマ—歴史に現れたる名はすべて我なり》(2003年)は、シンガポールという国名の由来「シンガプーラ(サンスクリット語でライオンのいる町)」とその地を命名したとされるサン・ニラ・ウタマに関する諸説を巡りながら、イギリス人植民地行政官スタンフォード・ラッフルズを建国者とする近代の建国物語を解体します。3Dアニメーションを用いた《一頭あるいは数頭のトラ》(2017年)では、トラを人間の祖先とする信仰や人虎にまつわる神話をはじめ、19世紀にイギリス政府からの委任で入植していた測量士ジョージ・D・コールマンとトラとの遭遇や、第二次世界大戦中、イギリス軍を降伏させ「マレーのトラ」と呼ばれた軍人山下奉文など、シンガポールの歴史における支配と被支配の関係が、姿を変え続けるトラと人間を介して語られます。
ホーは他にも、既存の映像を転用し、マレー半島の近現代史とその編纂に影響を与えた人物に焦点を当てた作品を制作しています。第二次世界大戦中、マラヤ共産党総書記を務めながら、イギリス、日本、フランスの三重スパイとして暗躍したライ・テックを取りあげた《名のない人》(2015年)、マラヤ共産党とマラヤ危機について、党の機密情報に基づいた文献を残した、ゴーストライターとも言われているジーン・Z・ハンラハンを描いた《名前》(2015年)は、いくつもの映画の断片をつなげ、複数のイデオロギーに介在した謎多き人物に、同一性をもたせることなく、その内側に迫ります。
これらの作品を生み出す基盤となるプロジェクトが、2012年から進行中の《東南アジアの批評辞典》です。幅広いソースから抽出された東南アジアに関連するAからZのキーワードとイメージが、アルゴリズムによって都度組み合わされる映像は、東南アジアというその呼び名が想起させる総体に抗う多層性、複数性を描き出します。
近年日本で制作した作品からは、山口情報芸術センター[YCAM]とのコラボレーション作品《ヴォイス・オブ・ヴォイド—虚無の声》(2021年)を展示します。VRと6面の映像で構成された本作では、西洋主義的近代の超克を唱え、大東亜共栄圏建設について考察した京都学派の哲学者たちの対話、テキスト、講演などが現前します。VRでは、戦争の倫理性と国家のための死についての議論が行われた座談会から、西田幾多郎の「無」の概念を象徴する抽象的空間まで、京都学派の思想と哲学者たちの主観性を体現する空間に没入することができます。
ホーの最新作で新たな展開ともいえる《時間(タイム)のT》(2023年)では、ホーが引用しアニメーション化した映像の断片が、アルゴリズムによって、時間の様々な側面とスケール—素粒子の時間から生命の寿命、宇宙における時間まで—を描き出すシークエンスに編成されます。それらが喚起する意味や感覚は、時間とは何か、そして私たちの時間の経験や想像に介在するものは何かを問いかけます。
会期:2024年4月6日(土)~ 7月7日(日)
開館時間:10:00-18:00(展示室入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日(4月29日、5月6日は開館)、4月30日、5月7日
会場:東京都現代美術館 企画展示室 B2F
観覧料:一般1,500円(1,200円) / 大学生・専門学校生・65 歳以上1,100円(880円) / 中高生600円(480円) /小学生以下無料
主催:公益財団法人東京都歴史文化財団 東京都現代美術館
助成:公益財団法人吉野石膏美術振興財団
本展は複数の映像インスタレーションとVR作品(要事前予約/30分入替制)で構成されています。
https://www.mot-art-museum.jp/exhibitions/HoTzuNyen/
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('24/03/09 22:01 時点)
