まちの仕事人インタビュー
身近な人を幸せにしたい
アイゼン法律事務所 代表弁護士 立山 大就 (たてやま ひろゆき) さん インタビュー

1985年東京生まれ。台東区在住。大学院卒業時に司法試験に合格。夫婦関係に関する事件の大手弁護士事務所に1年半勤務の後、『アイゼン法律事務所』を設立。趣味は剣道。最近の楽しみは神宮球場でお酒を呑むこと。

どんな困難な道でも一緒に進む

弁護士を目指したきっかけを教えてください。

初めて弁護士と会ったのは、両親が離婚した小学校1年生の時です。母についてくれた弁護士が家族を勇気づけてくれたことが印象に残っています。それでもすぐに弁護士になろうとは考えず、地球温暖化を防ぎたいと考え理系に進路を取った時期や、戦争を止めたいと考え国連職員を目指した時期もありました。弁護士を目指し始めたのは大学3年生で、新聞配達のアルバイトをしたことがきっかけです。当時、労働環境が悪く、周りの大人たちが経済的にも精神的にもギリギリの生活をして苦しんでいる姿を見て、“身近な人を幸せにしたい”と決意し、問題解決に直接関わることのできる弁護士になりたいと考えました。

事務所設立までの経緯を教えてください。

大学院卒業時に司法試験に合格し、離婚に注力している大手法律事務所へ入所しました。離婚を専門領域として選んだ理由は、自身の幼少期の体験からです。入所後、1年半で一般の弁護士が一生で取り扱う離婚案件の数倍の量を担当するという多忙な毎日を送りました。その中で、もう少しじっくり依頼者に寄り添う時間が欲しいと考えるようになり、その考えを実現するため独立しました。所名の『アイゼン』とは、雪山などを登るときに靴に装着する滑り止めの金具にちなんでいます。私たち弁護士が、依頼者のアイゼンとなって『どんな困難な道でも一緒に進む』という決意を表しています。

事務所の特徴はどのような点にありますか?

案件の8割が『離婚』『不貞(浮気など)』と専門領域を絞っています。年間150件以上の離婚相談を、私を含めた3人の弁護士で対応しており、国際離婚や養育費の一括払など、解決が難しいとされている問題についても実績があります。また、豊富な経験と実績から、離婚や不貞に対する裁判所の考え方を、熟知しているという強みがあります。

ご相談にはどんな方が多いですか?

ご相談にいらっしゃる方はほとんどがご紹介です。他の弁護士から「離婚は良く分からないのでお願いしたい」と連絡をいただくことも少なくありません。また、相談にいらっしゃる方はほとんどが女性の方です。これは、男性よりも女性の方が、家庭内で弱い立場になりやすいうえ、不安なことを他の人に相談して頼りたいという気持ちを持ちやすいからだと考えています。

“気持ち”と“経済面”の満足度のバランス

仕事をするうえで心がけていることは何ですか?

“身近な人を幸せにしたい”という考えの元、依頼者の幸せを第一に考えるということですね。弁護士は過去の判例等から事前にある程度は結果が予測できるため、依頼者の要望が高ければ高いほど、「そうはならないですよ」と依頼者を説得しがちです。それでも私は依頼者に寄り添い「出来ないと決めつけるのは、まだ早い」と、まずは一度考えてみるようにしています。また、離婚や不貞の裁判では、“気持ちの満足度”を求めるあまり、相手をやり込めてやろうという思いから不用意な発言をしてしまう依頼者がいらっしゃいます。一時的に“気持ちの満足度”は上がるものの、最終的には“経済面の満足度”の低下に繋がることが多いため、そうなりそうな場合には、事前に“気持ち”と“経済面”の満足度のバランスについて、じっくり確認をさせていただいています。

弁護士選びのポイントを教えてください。

ポイントは3つあります。まずは『経験と実績の多い弁護士を選ぶ』ことです。裁判の現場では専門書にも書いていない状況も発生します。また、離婚に関する裁判所の考え方なども一般にはオープンになっていないものなので、一定の現場経験がないと知ることはできません。次に『忙しすぎる弁護士は避ける』ことです。外からはなかなか分かりにくいかもしれませんが、電話やメールの返信など、対応の様子からも判断できます。やはりきちんと対応してくれる弁護士の方が安心です。最後に『相性の良い弁護士を選ぶ』ことです。弁護士への相談は一生に何度もあることではありません、依頼者にとって安心して任せられると感じられる弁護士を選ぶことが大切です。ちなみに、知り合いに弁護士がいる人は、『弁護士に弁護士を紹介してもらう』と良いでしょう。弁護士にもそれぞれ得意な領域があり、自分の苦手な領域については、得意としている弁護士へお願いしていることは良くあります。また、紹介された弁護士も丁寧に対応してくれるのでお薦めです。

記憶に残る依頼者とのやり取りはありますか?

離婚は精神的にも体力的にも非常に疲れます。以前ご相談に来られた女性は、いつも顔色が悪く、体調不良から肌荒れも酷く、常にストレスを抱えていらっしゃいました。離婚に決着がついた後、事務所を訪ねてくださったのですが、大きなストレスから解放されたことで、顔色も体調も良く、まるで別人のようにお綺麗になられていました。感謝の言葉もいただきましたが、こうした姿を拝見できることは大変嬉しいですね。

この仕事のやりがいは?

自分が関わることで『揉め事が解決し、幸せになっている』と感じられることです。ご相談の時点でかなり状況がこじれていることが多いため、殴り合いのけんかの中に割って入り、双方から殴られるようなことが何度もありますが、揉め事の解決が、依頼者はもちろん相手側にとっても問題から解放されることになるため、紛争を解決することで社会貢献にも似た意義を感じることもあります。

今後の見通しを教えてください。

現状、弁護士は問題が発生し揉め事が大きくなってからでないと出番がありません。私はそもそも揉め事が大きくならないようにして欲しいと考え、家庭でできる小さな揉め事の解消法を、ブログなどで発信していきたいと考えています。また、感情面を考えるとなかなか難しいかもしれませんが、結婚のタイミングで、離婚に関する情報は知っておいて欲しいと考えており、こちらについても発信することを考えています。これからも身近な人を幸せにするため、依頼者に寄り添い続けていきます。

インタビュー後記

常に明るく楽しく話してくれる立山弁護士。聞けば弁護士の話は難しいと思ってしまう人が多いため、その敷居を下げるために務めて楽しく話されているとのこと。その気遣いは、目の前の人を幸せにしようと考える立山弁護士の人柄を表していた。夫婦の問題は親しい人には話しにくく、中には「今の状況は私のせいかも・・・」と相談できないままどんどん追い詰められてしまう人もいるという。辛く苦しくなってしまう前に、まずはその場に踏ん張って立っていられるよう、アイゼンの役割を果たしてくれる立山弁護士に是非相談して欲しい。

お問い合わせ

名称:アイゼン法律事務所

所在地:東京都台東区上野5-19-4美鈴ビル7F

連絡先:03-5817-4036

HP:https://ai-zen.jp 

*ご相談の際は、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝えください。