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認知症の親の不動産処分について
(1年前の記事です) 掲載日:2023/11/05
認知症の父親名義の不動産を処分したいのですが、不動産に詳しい友達に相談したところそんな事出来ないよと断言され悩んでいます。
現在認知症の為、介護施設に入っており、自宅は空き家状態になっています。自宅不動産の権利書は父親名義のままのため、長男の私が処分したいのですが何か策はないでしょうか?母は既に他界しており、子供は私だけです。
※ 相談者のプライバシーに配慮し、実際の質問内容を一部改変して掲載している場合がございます。ご容赦ください。

成年後見制度を利用すれば、売却可能です。
不動産を処分するには、所有者が契約の意味、内容を理解した上で、売買契約を結ぶ必要があります。しかし、所有者が認知症を患っていると、契約の意味や内容を理解する能力が乏しくなってしまっており、売却することができません。
E様のお父様は、認知症を患われているので、売買契約を有効に結ぶことができず、このままでは不動産を処分するのは難しいです。
それでは、所有者が認知症を患っていると、常に売却できないかというと、そんなことはありません。
所有者の代わりに、別の人が契約を結べば良いからです。このような需要に応える制度として、成年後見制度があります。
この制度は成年後見人を家庭裁判所が選任し、認知症になった本人の代わりに、成年後見人が契約を結ぶ制度です。
ご相談者様の場合も、家庭裁判所へ成年後見人の選任を申し立てることで、お父様に代わり成年後見人が有効に売買契約を締結することができ、不動産を売却することができます。
成年後見の申立にあたっては、候補者をあわせて申し立てることができます。
誰を成年後見人に選任するかは、家庭裁判所が最終的には決定するため、必ずしも候補者が成年後見人に選ばれるはわかりませんが、裁判所へ誰を選んでほしいのか示すことができます。
現在、裁判所は、出来るだけ親族が後見人になることが望ましいとの考えの下運用されていますので、ご相談者様を候補者にした場合、成年後見人として選任される可能性が十分にあるかと思います。
もし成年後見人に親族が選ばれなかった場合には、司法書士や弁護士などの専門家が後見人に選ばれることとなります。後見人として、親族ではなく専門家が選ばれることもあることを考えると、成年後見の申立段階から、不動産を売却する必要がある旨を裁判所に相談しておく方が良いでしょう。
手続き上は、成年後見の申し立てを行ってから、不動産の売却の許可を別途得る必要があり、手続きが複雑になりますが、予め裁判所と相談しておくことでスムーズに進めることができます。
司法書士は、成年後見の申し立て、売却許可、不動産の名義変更の手続きを全てお任せいただけます。ご不明な点については、お近くの司法書士までお気軽にご相談下さい。
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