この事業を始めたきっかけを教えてください。
私が研究者として所属していた米国の大学で行っていた、MRI画像のAI解析によって病気を数値化するプロジェクトが出発点でした。
AIの進化で、MRI画像からさまざまな病気を定量的に評価できるようになり、「病院に眠る膨大な画像データを活用できるのでは」と考えたんです。
しかし、アメリカには病気になった人のデータしか存在せず、「正常な脳」の定義ができないことが大きな問題でした。
日本では健康診断の文化があり、20代から80代までの健常者データが豊富にあります。
実はこれは世界的にも非常に珍しいことで、日本にしかないこの貴重なデータが、私たちの研究の大きな財産になりました。
健常者のデータを解析する中で、どんな発見があったのでしょうか?
2018年から解析を始めたところ、40代、50代の段階で脳が正常から少しずつ逸脱している人が多いことが分かりました。
医師の目では「病気」とは診断されないレベルですが、数値で見ると確実に変化が起きている。
脳ドックを受けても9割の人が「異常なし」とされますが、実際には軽微な変化が始まっている人が少なくありません。
これを数値化できれば、“今は大丈夫”の裏にあるリスクを見える化し、悪化を防ぐチャンスを逃さずに済むと考えました。
脳の変化にはどのような生活習慣が関係しているのでしょうか?
脳の萎縮が見られる人ほど、高血圧・過度の飲酒・内臓脂肪・高血糖といった傾向があることが分かっています。
つまり、脳の健康は生活習慣に直結しているんです。
だからこそ、私たちは「認知症は運命ではなく、生活習慣病である」という理念を掲げています。
虫歯を歯磨きで防ぐように、脳の健康も日々の選択で守ることができる。そうした意識を持ってほしいと思っています。

予防の第一歩はどのように始めればよいでしょうか?
まずは、自分の脳の状態を“測定し、観測する”ことからです。
メタボ健診では腹囲85cm以上で指導対象になりますよね。
脳も同じように、数値化して「この人は少し危ない」と分かれば、早い段階で生活習慣を改善できます。
課題は費用面です。
脳ドックは2万〜3万円と高額で、気軽に受けられない。
腹囲測定のように安価でできる方法があれば、もっと普及するはずです。
“予防”をビジネスとして成立させるのは難しいと言われますが?
そうですね。
予防は本人の努力に依存する部分が大きく、ビジネスとして継続的な収益を上げにくいのが現実です。
ただ、ビジネスの形にすることで、大学の研究であれば巨大な予算が必要な長期データの蓄積を、参加者自身の費用負担でできるというメリットがあります。
この取り組みを10〜15年続ければ、他社にはない膨大なデータが手に入る。
それが、将来的に社会全体の認知症予防に役立つと信じています。

現在のビジネスモデルについて教えてください。
現在は、医療機関を通じて脳ドッグのオプションとしてサービスを提供しています。
脳ドックを受ける患者さんに、追加1万円程度でオプションとしてご利用いただく形です。
私たちの主な業務は、このサービスを導入してくれる病院を開拓することですね。
2021年に創業し、営業を本格化したのは2022年末。
ゼロからのスタートでしたが、いまでは毎月2000人以上の方に利用していただいています。急速に利用が伸びています。
理念について教えてください
私たちは、「認知症は生活習慣病であり、予防できる」という専門家の間ではもはや常識となりつつある事実を世の中の人にもっと知っていただき、「脳の健康を自らの手で管理する」ことを訴えたいです。
これまで多くの人が、認知症は“遺伝”や“運”によって決まるものだと思い込んでいました。
「なる人はなる」「ならない人はならない」、まるでくじ引きのように運命に任せている。
でも実際は、そうではありません。認知症の未来は、自分の手でコントロールできるんです。
たとえば、歯磨きをすれば虫歯や歯槽膿漏を防げるように、脳も日々の生活習慣次第で健康を保つことができます。
遺伝の影響はゼロではありませんが、最も大きな要因は「どう生きるか」にあります。
私たちが伝えたいのは、「認知症は運命ではなく、予防できる生活習慣病である」というシンプルな真実です。
だからこそ、まずは多くの人に“自分の脳の状態を知る”きっかけを届けたい。
そして、生活の中で少しずつ行動を変える人が増えていくこと。
その積み重ねが、将来の日本の医療や介護の姿を変えていくと信じています。
私たちの理念は、認知症予防の重要性を社会全体に発信し、
「自分の脳を守る」という文化をつくることこそが、目指す未来です。
今後の展開は?
これまでは病院経由が中心でしたが、今後は自社で直接顧客を獲得し、病院に送客するモデルを拡大したいと考えています。
また、企業の健康保険組合や人事部に働きかけ、働く世代の脳の健康管理にも力を入れていきたい。
また、今後は認知症を「病気」ではなく「加齢による体の衰弱」、すなわちフレイルの一環としてとらえていくことの大切さを新しい健康管理の在り方として提言していきます。
現在死因の3位は老衰であり、健康寿命を決める要因もフレイルに起因するものに占められています。長寿化が進む中、脳に限らず体のあらゆる臓器において、フレイルが私たちの健康を決める最大要因になりつつあります。
そのために脳だけでなく、体幹の臓器(筋肉、脂肪、血管、骨、肝臓、腎臓等)のフレイルを医療画像を通じてトータルに可視化していくために、今年体幹CT画像を利用した新製品を市場導入しました。
これにより、一年でも長く、健康寿命を延伸できるお手伝いをしていきたいと考えています。
最後に皆様へメッセージをお願いします
認知症は“突然なる病気”ではありません。
10年、20年という長い年月、脳の健康を放置した結果なんです。
歯を磨かなければ40代で歯を失うように、脳もケアしなければ機能が落ちていく。
だからこそ、「脳の健康を日常的にケアする」意識が大切です。
認知症は決して運命ではありません。
自分の未来は、自分で守ることができます。
その第一歩が、脳を「測ること」なんです。
区民ニュースを見ていただいた方へ
ご自身の今の脳のAI解析が通常よりお得に行えます。
新宿エリアにある医療機関のご協力により、12月末までの期間限定で、 MRI撮影(FLAIRのみ)+当サービスを価格10,000円(税込み)にてご提供しております。 ぜひこの機会にお試しください。下記QRコードまたはクーポンページ(https://www.corporate-m.com/coupon)よりご参照ください。

インタビュー後記
取材を通して強く感じたのは、医療画像解析という最先端技術が、「未来の当たり前」を静かに変え始めているということでした。
これまで“見えなかった”脳のわずかな変化を、誰もが早い段階で把握できるようになる。そのことは、認知症に対する社会の向き合い方そのものを大きく変える力を持っています。
株式会社エムが目指すのは、認知症になってから治療する社会ではなく、未来のリスクを知り、行動することで自分の脳を守れる社会。
脳の健康を測り、理解し、日常の選択を少しずつ変えていく。そんなシンプルで力強い一歩が、日本のウェルビーイングを底上げしていくのだと実感しました。
お問い合わせ
株式会社エム
東京都港区三田2-10-6レオマビル10F
TEL:03-6811-5890
HP:https://www.corporate-m.com/
*お電話相談の際、『区民ニュース』の記事を読みました。とお伝え下さい。
