
株式会社イロリオチャレンジを経営している永沢若菜さん。14年以上にわたり小学校教員として国内外の教育現場に立ち、JICA海外協力隊としてアフリカでの活動や、東京の離島、海外日本人学校での勤務も経験。多様な文化や価値観の中で子どもたちと向き合う中で、「学校と社会の間にある分断」に強い課題意識を抱くようになる。2025年4月、教育をキャリアの視点から再構築するために起業し、千代田区水道橋に〈イロリオキャリアラボ〉を開設。子どもから大人まで、一人ひとりが自分の人生を主体的に選び取るための場づくりに取り組んでいる。
「これをやってみたい」と話してくれるようになる

今の仕事を始めたきっかけを教えてください
私が今の仕事を始めたきっかけは、14年間小学校教員として働く中で感じてきた違和感でした。学校教育の中で子どもたちは一生懸命学んでいますが、社会との接点がとても少なく、将来の仕事や生き方が実感として結びつきにくいと感じていたのです。特に海外や離島など、特色ある地域で働いた経験を通して、教育の在り方は環境によって大きく左右されることを実感しました。だからこそ、教科の枠を超えて「人生全体」を見据えたキャリア教育に取り組みたいと思うようになり、学校の外から教育に関わる道を選びました。
会社設立までの経緯を教えてください
教員を辞めて起業することに対して、周囲からは驚かれることもありましたが、私自身はとても前向きな決断でした。担任したクラスを卒業まで送り出し、やり切ったという感覚があったからです。教員を離れる方の中には、ネガティブな理由を抱えているケースも少なくありませんが、私は教育そのものを嫌いになったわけではありません。むしろ、別の形で続けたいという思いが強くなりました。帰国後すぐに準備を進め、2025年4月に株式会社イロリオチャレンジを設立し、キャリア教育に特化した活動を本格的にスタートさせました。
会社の特徴を教えてください
イロリオチャレンジの特徴は、正解を教える場ではなく、問いを一緒に育てる場であることです。子どもでも大人でも、「何が向いているか」「何をすべきか」を外から決められるのではなく、自分自身の言葉で考え、選んでいくプロセスを大切にしています。水道橋のキャリアラボでは、対話を中心にしたワークやプログラムを行い、年齢や立場を超えて多様な人が交わります。学校でも会社でもない、第三の場所として機能することを意識しています。

お仕事で大切にしていることを教えてください
私が仕事で大切にしているのは、その人の人生に敬意を払うことです。これまで歩んできた道や、今置かれている状況には必ず意味があります。それを否定せず、丁寧に受け止めることが、次の一歩につながると考えています。また、キャリアという言葉を、仕事選びだけに限定せず、生き方全体として捉えることも大切にしています。焦らず、比べず、自分のペースで考えられる空間づくりを心がけています。
この仕事のどんなところが好きですか?
この仕事の一番好きなところは、人が自分の言葉で未来を語り始める瞬間に立ち会えることです。最初は自信がなかった方が、対話を重ねる中で少しずつ表情が変わり、「これをやってみたい」と話してくれるようになる。その変化を見るたびに、この仕事を選んでよかったと感じます。教員時代とは違う形ですが、今も変わらず、人の成長に寄り添えることが大きな喜びです。
今後やりたいこと等、展望を教えてください
今後は、キャリア教育をもっと身近なものとして地域に根付かせていきたいと考えています。学校や企業、地域団体とも連携しながら、年齢や立場に関係なく参加できる機会を増やしていきたいです。また、教育と社会の間にある分断を少しずつ埋める存在として、実践を重ねていきたいと思っています。キャリアラボが、その人らしい挑戦のきっかけになる場所であり続けることが目標です。
成功哲学を教えてください
私にとっての成功とは、誰かの価値観に合わせることではなく、自分で納得できる選択を重ねていくことです。遠回りに見える道でも、自分で考えて決めた経験は必ず力になります。うまくいくかどうかよりも、挑戦し続ける姿勢を大切にしたいです。その積み重ねが、結果としてその人らしい成功につながるのだと思っています。
インタビュー後記
永沢さんのお話を伺って強く感じたのは、「教育は場所を選ばない」ということでした。学校という枠を離れても、子どもや大人の人生に真剣に向き合い続ける姿勢は一貫しています。語り口は穏やかでありながら、その奥には確かな覚悟と行動力がありました。キャリアに悩む人にとって、イロリオキャリアラボは、答えをもらう場所ではなく、自分の答えに出会う場所なのだと感じるインタビューでした。
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